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建設現場の人材・資材に特化した管理プラットフォームを展開するRhumbix

  • 全世界の建設管理プラットフォーム市場は2022年に63億ドル、2030年に100億ドルへと年平均成長率9.3%で伸びる見込み
  • 米国スタートアップRhumbixはタイム・アンド・マネジメント(工数単価方式)に対応した人材・資材を管理するプラットフォームを展開
  • 建設現場で利用される主要基幹システムとシームレスな連携が可能

はじめに

画像引用元:Rhumbix, Inc

先進国の建設業界は、高齢化による労働力不足、サプライチェーンの不安定さという課題に直面しています。そこで人材や建設資材といった重要な経営資源に関する情報を適切に管理するための、管理ツールが、企業のROI(投資利益率)改善のための重要な手段となっています。

建設現場では、予算管理、コスト予測、コミュニケーション、経営資源(人材・資材)の追跡といった、重要な企業活動において、情報を集約して管理することが求められています。様々なステークホルダーが最新情報にアクセスできるクラウドベースのソフトウェアが主流となっています。全世界における市場規模は、2023年に63億ドル(約1兆億円)、2030年に100億ドル(約1兆6000億円)へと年平均成長率9.3%で成長する見込みです(注)。

今回ご紹介するのは建設現場の人材・資材管理に特化した管理プラットフォームを展開するアメリカのスタートアップRhumbix, Inc(ルンビックス)です。一体どのような企業なのでしょうか。詳しくみていきましょう。

注)Construction Management Software Market Size – By Deployment (On-premise, Cloud), Building Type (Commercial Buildings, Residential Buildings), End-User (Builders & Contractors, Construction Managers, Engineers & Architects), Application & Forecast, 2024 – 2032

Rhumbixとは?

Rhumbixは2014年にアメリカのサンフランシスコにて創業された、建設プロジェクト管理プラットフォームの開発運営をするスタートアップです。2021年9月に1100万ドル(約17億円)の資金調達を実施し、これまでの累計調達額を4590万ドル(約71.5億円)としました。筆頭株主には人材企業を得意とするBlackhorn Ventures、ニューヨークのTenfore HoldingsといったVCが参画しているほか、カリフォルニアのVCであるGlynn Capital Management、WND Ventures、TFX Capital、Greylock、個人投資家のDarren Bechtelが参画しています。

Rhumbixが力を入れるのは、建設現場の人材・資材の管理です。大型の建設プロジェクトには1日数百人〜数千人の人材が関わり、建設資材も膨大で、人材の勤怠や作業情報、建設資材管理について、それぞれのモバイル端末から情報を入力・管理することが望ましく、そこでRhumbixは、スマートフォンとウェブに対応した管理プラットフォームを開発。これまでの登録人材数はのべ329万人、44億ドル(6860億円)分の給与を取り扱い、23万5000件のプロジェクトに導入実績があります。

タイム・アンド・マテリアル(工数単価方式)に対応した人材・資材管理機能

画像引用元:Rhumbix, Inc

タイム・アンド・マテリアル(T&M;工数単価方式)とは、建設プロジェクトに一般的に使用される契約方式で、元請け企業が請負先の作業時間や資材量に基づいて請負企業に支払いを行うことを指します。建設プロジェクトには、その予算規模を正確に見積もることが困難なプロジェクトが多数存在します。そこで固定金額で契約を行うのではなく、作業単価に応じた変動価格で契約を行うのです。

以上の契約方式でプロジェクトの投資効率を高めるためには、人材の実際の労働時間や実際の資材の使用量を適切に管理することが鍵です。そこでT&M管理機能が役割を発揮します。

RhumbixはT&M管理機能の完全なデジタル化をサポートするものです。現場の人材がそれぞれの端末で労働時間を申告し、勤怠や給与、保険、賞与といった労務情報をRhumbixのプラットフォームが一元管理します。Rhumbixには位置情報の共有機能や作業へのアサイン機能などもついており、作業員がいつどのような作業を実施したかも追跡することができます。

建設資材についても同様に、現場の担当者が実際の資材の搬入状況や使用状況をリアルタイムでプラットフォーム上に情報を集約し、一元管理する仕組み。これらの機能により、正確な人材・資材コストを把握し適切に管理することができるのです。

また建設現場では必須のデイリーレポーティングの自動発行機能もついています。現場の人材が入力した作業進捗に基づいて、各日の作業進捗を統合して可視化します。これにより予実管理やプロジェクトの意思決定をサポートします。

建設管理の基幹システムとのシームレスな連携

画像引用元:Rhumbix, Inc

Rhumbixは、ほぼ全てのデータについてAPIのエンドポイントを備えており、顧客が利用する他のシステムと連携することで、現場データの価値を高めて利用することが可能になります。

対応しているのはProcore、Autodesk、Oracle、SAP、Sage 100、Sage 300、Viewpoint Vista、Viewpoint Spectrum、COINS、QuickBooks、ComputerEaseなど、建設企業でこれまでに利用されてきた様々な基幹システムです。RhumbixのオープンAPIや標準的なファイルエクスポート機能により、様々なシステムと容易にデータを連携することができます。また、オンプレミスの基幹システムの場合でも、データ連携の経験を多く保持しているため対応することができます。

まとめ

画像引用元:Rhumbix, Inc

いかがでしたか?今回は建設現場の人材・資材に特化した管理プラットフォームを展開するRhumbixをご紹介しました。Rhumbixはタイム・アンド・マネジメント(工数単価方式)の適切な人材・資材管理をサポートする機能を強みとしています。また主要基幹システムとのシームレスなデータ連携が可能なことも強みとなります。同社は今後どのように展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。