画像引用元:Attentive.ai公式ホームページ
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近年、建設業界ではデジタル化と業務効率化が急速に進んでいます。世界の建設見積ソフトウェア市場は、2024年に約15億ドル(約2380億円)と推計されており、2030年には約26.2億ドル(約4150億円)に達すると予測されています。2025年から2030年にかけての年平均成長率(CAGR)は10.2%と高く、今後も力強い成長が見込まれています。その背景には、Building Information Modeling(BIM)技術の普及があり、設計・施工プロセスの精度向上やヒューマンエラーの削減を実現することで、建設プロジェクト全体の生産性向上に大きく貢献しています。
こうした市場環境の中で注目を集めているのが Attentive.ai(アテンティブ・エーアイ)です。一体どのような企業なのでしょうか。次に、その特徴や強みについて詳しく見ていきましょう。
Attentive.aiは、建設業界向けAI積算プラットフォーム「Beam AI」(ビーム・エーアイ)を提供するスタートアップです。2017年に創業し、北米を中心に事業を展開、すでに1,100社以上の建設・フィールドサービス企業に導入されています。2025年、同社はシリーズBラウンドで3,050万ドル(約48億円)を調達しました。ラウンドはInsight Partnersがリードし、Vertex Ventures、Tenacity Ventures、InfoEdge Venture Fundが参加しています。
同社が解決しようとしている課題は、建設業界の中でも特に遅れているプレコンストラクション領域の非効率性です。インフラ、産業施設、データセンター建設が急増する一方で、入札の成否を左右する積算業務はいまだに手作業の数量拾い(テイクオフ)やスプレッドシートに依存しています。その結果、積算には膨大な時間がかかり、入札機会の損失や人的負荷の増大が常態化していました。
Attentive.aiのソリューションが、AIによる積算自動化を実現する「Beam AI」(ビーム・エーアイ)です。同社はもともと、航空画像とAIを用いて造園・舗装などの保守作業向け計測を自動化していましたが、その技術を建設積算に応用しました。Beam AIは、機械、コンクリート、鉄骨、土木、ユーティリティ、屋根工事など幅広い工種に対応し、数量拾いをほぼ完全に自動化します。人の確認を組み合わせたヒューマン・イン・ザ・ループ型モデルにより、100%完成したテイクオフを提供する点が特徴です。
導入効果として、積算作業時間を最大90%削減し、四半期あたりの入札件数を約2倍に増やした事例も報告されています。Attentive.aiは今後、積算から入札管理、コラボレーションまでを統合したプレコンストラクション基盤を構築し、AIを建設業の意思決定中枢にすることを目指しています。
画像引用元:Attentive.ai公式ホームページ
Attentive.AIのソリューション、Beam AIは、建設積算業務の中核である数量拾い(テイクオフ)をAIで自動化する、プレコンストラクション向けの統合ソリューションです。従来、図面の読み取りや数量算出に多くの手作業と時間を要していた積算プロセスを、AIによって大幅に効率化し、積算担当者がより多くの入札案件に集中できる環境を提供します。
Beam AIの最大の特徴は、完全自動化されたテイクオフ機能です。AIが図面内の仕様、注記、サマリー、矛盾点までを検出し、人間の積算担当者のように数量を算出します。成果物は入札対応可能な形式で提供され、PDFやExcel、共有リンクとしてそのまま見積や入札パッケージに活用できます。さらに、直感的な編集ツールにより、ユーザー自身が数量や図面上の要素を柔軟に調整することも可能です。
また、入札管理を支援するダッシュボード機能を備え、案件ごとの進捗、期限、アドエンダ、RFIを一元管理できます。アドエンダが発生した場合でも、AIが追加・削除された数量を自動で検出し、差分を反映した最新のテイクオフを再提出できるため、再作業の負担を大きく軽減します。Beam AIは、積算業務を「速く、正確で、拡張可能」なワークフローへと進化させるソリューションです。
Beam AIの価格設定は、利用量に応じた「年間クレジット制」を採用しています。ユーザーは年間で使用する測定可能な図面枚数に応じて、あらかじめシートクレジットを購入します。課金対象は、AIが実際に面積・長さ・数量などのテイクオフを行った「測定可能シート」のみで、案件単位や従量課金、ユーザー数による追加料金は発生しません。
価格はボリュームディスカウント型となっており、年間500〜1,000枚では1枚あたり約35〜45ドル、1,000〜2,000枚で約30〜35ドル、2,000〜4,000枚では約25〜30ドル、4,000枚以上は個別見積もりとなります。最大10名まで追加費用なしで共同利用が可能です。
Beam AIは年間500枚以上の積算を行うチームを主な対象としており、AIとQAチームによる24〜72時間以内の成果物提供によって、積算工数の大幅削減と入札件数の倍増を通じたROIの最大化を狙った価格設計となっています。
画像引用元:Vinco Builders公式ホームページ
Attentive.aiが提供するBeam AIは、建設見積業務における生産性向上を実現するソリューションとして、実際の現場で高い効果を上げています。総合建設会社であるニューヨーク州のVinco Builders(ヴィンコ・ビルダーズ)では、Beam AI導入以前、1件の積算業務に8〜20時間を要しており、週あたり2〜3件の入札対応が限界でした。見積担当者は手作業による数量拾いや図面確認に多くの時間を割かれ、事業拡大の足かせとなっていました。
Beam AI導入後は、積算作業時間が2〜8時間へと大幅に短縮され、1案件あたり最大で75%の時間削減を実現しています。これにより、見積精度と拾い出しの詳細度が向上すると同時に、週あたりの入札件数は従来の約2倍に増加しました。実際に同社の見積担当者からは、「最大20時間かかっていた作業が、現在では数時間で完了するようになった」との声も寄せられています。
このような成果により、限られた人員でもより多くの案件に対応できる体制が整い、見積担当者は付加価値の高い業務に集中できるようになりました。Beam AIは、建設会社の競争力強化と持続的な成長を支える実用的なAIソリューションとして活用されています。
画像引用元:Attentive.ai公式ホームページ
建設見積業務を取り巻く環境は、案件の大型化・複雑化や人材不足を背景に、これまで以上の効率化と精度向上が求められています。Attentive.aiのBeam AIは、AIを活用した自動数量拾いと高精度な積算支援により、こうした課題に対する有効な解決策を提供しています。
実際の活用事例からも明らかなように、Beam AIの導入によって作業時間の大幅な短縮と入札対応力の向上が実現され、限られたリソースでも事業拡大を目指せる環境が整います。単なる業務効率化ツールにとどまらず、見積担当者がより戦略的で付加価値の高い業務に注力できる点も大きなメリットです。
今後、BIMやAI技術の進化とともに、建設業界におけるデジタル活用はさらに加速していくと考えられます。その中でAttentive.aiは、プレコンストラクション領域の中核を担う存在として、業界の変革を支えていくことが期待されます。