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セルビア発、建設プロジェクトを一括管理するBuildconとは?

  • アナログな方法での施工管理が原因で工期の延滞や予算超過が発生
  • Buildconの先進的なサービスはセルビア国内外で大きな注目を集めている
  • 施工管理を独自のアプリケーションで一元化し、問題を解決

はじめに

画像引用元: https://www.photo-ac.com/

建設現場では日々、工事関係書類や報告レポートといったさまざまな情報が溢れており、それらの整理や正確な共有はプロジェクトの進捗速度だけではなく建設の品質をも左右します。しかし、従来の建設現場では紙ベースで情報が保存され、情報の共有も電話や電子メールなどの方法で行われていました。

これらのアナログな方法での情報管理及び施工管理は非効率的なもので、これらが原因となり、実際に90%の建設現場で工期の延滞や予算超過が発生していると言われています。このような損失は建設プロジェクトにおいて大きな問題であり、早急に改善しなければならない課題です。

今回は建設現場における情報処理や施工管理をICT化することによって、それらの問題の解決を試みる企業Buildcon(ビルドコン)についてご紹介します。

Buildconとは?

画像引用元:https://www.buildcon.org/

Buildconは2015年にセルビア共和国の首都ベオグラードにて創業された企業です。同社は、建設プロジェクトにおける情報を一元化し、クラウドで共有するプロジェクト管理サービスを提供しています。

CEOのJanko Stojanovic氏は土木工学を専門とする家庭の出身で、建設業界に長く身を置いてきました。そんな同氏は、次第に建設プロジェクトにおける伝統的で非効率的なやり方に対して疑問を持つようになり、それらを改善するため高校時代からの友人とBuildconを設立。

設立当初の同社は、​​マーケティングマネージャーIlija Dragisic氏・​​土木技師Janko Stojanovic氏・デザイナー​​Igor Milanovic氏の3名で構成されていましたが、彼らをサポートしてくれるエンジニアがいませんでした。そのような中、ベオグラードで開催されたスタートアップイベントにて、​​IT情報サービス会社30Hillsオーナーの​​Djordje Filipovic氏と出会い、現在Buildconが展開しているサービスの実現に至りました。

同社はベンチャーキャピタルSeedCamp(シードキャンプ)や、世界で最もアクティブに投資を行っているアクセラレーターの一つである500Startupsに参加し、100,000€(1,300万円)以上の資金調達に成功。セルビアにおいて500 Startupsからの資金調達に成功しているのは、BUildconを含め2社のみであり、このことからも同社がセルビア国内外で注目を集めている企業である事が伺えます。

それでは、そんなBuildconが提供するサービスとは一体どのようなものなのか、早速見ていきましょう。

オールインワンの管理アプリケーション

Buildconは建設現場の情報を一元化し、管理・共有するためのWebおよびモバイルアプリケーションを展開。従来は紙ベースでの情報管理や、電話やメールによる情報共有を行なっていましたが、同アプリを利用することによって、アプリ一つで情報の共有や施工管理を行う事ができます。

それでは、同アプリの主な機能を3つ、詳しくみていきましょう。

1.シームレスな情報共有

画像引用元:https://www.buildcon.org/

同アプリの魅力の一つは、建設プロジェクトに関わる人々が同アプリ一つで場所を問わず情報の共有や交換を行えるという点。従来の建設現場では、プロジェクトにおける情報が紙ベースのアナログな方法や、デジタル化していたとしても資料はエクセルやワードファイル、やりとりは電子メールでスケジュールは個人のカレンダーといった具合に、複数のアプリケーションが用いられていました。この様な統一されていない情報管理は、作業効率を著しく低下させるだけではなく、時に重大なミスを招くことも。

Buildconが提供するアプリケーションでは、これらの複雑な情報管理を一元化する事が可能に。その利用方法も非常に簡単で、利用者がアプリ上でプロジェクトファイルを作成し、プロジェクトに関係する資料データや進捗データを入れるのみとなっています。同アプリ上では、チャット形式での意見交換や資料に対するコメントなどを行えるため、電話やメールでの煩雑な連絡が不要となり、スムーズで明瞭な情報共有することも。

また、スマートフォンで撮った写真をその場でプロジェクト上にアップロードすることもできるので、何か不具合がある箇所などを見つけた場合には、無駄な労力をかけることなくリアルタイムで情報共有及び解決策の提案を行う事ができます。

2.一目でわかる進捗状況

画像引用元:https://www.buildcon.org/

Buildconが展開するアプリの2つ目の特徴は、プロジェクトの進行状況や資金の流れを一目で確認できる点にあります。同サービスでは、プロジェクトごとに設定されたタスクや期限をもとに、プロジェクトの進行状況を%表示で確認する事ができます。そして、プロジェクトの進行に伴い発生したコストもリアルタイムで表示されます。

このように、一目で各プロジェクトの進行状況や発生コストの確認ができる事によって、管理者は適切な指示を行う事が可能になると共に、コスト面での無駄を早い段階で修正できます。また、現場の作業員も数値で進行状況を確認する事ができるので、進行状況や期限に基づいた計画的な意識を持って、日々の作業を行う事が可能になります。

3.独自のソフトウェアによる高度な情報処理

画像引用元:https://www.buildcon.org/

3つ目は、優れたソフトウェアによる高度な情報処理。同アプリには独自のソフトウェアが組み込まれており、作業の進捗状況をもとに日次・週次・月次のレポートを自動で作成できます。これにより、従来は作業後に事務所に戻って行っていたレポート作成業務を省略する事ができます。

さらに同社のソフトウェアには建設に関するベンチマークや予測のデータモデルが多数組み込まれており、レポートの結果にもそれらを反映させています。このようなデータは建設プロジェクトにおいて、有用な情報であると同時に、作成に手間のかかるものであったので、これらの自動化は大幅な作業の効率化につながります。
このような事務作業の省略化は、作業員の負担を軽減するだけではく、常に正確なレポートを利用者に提供します。

まとめ

今回はプロジェクト管理サービスのBuildconをご紹介しました。多くの情報が溢れている建設現場では、効率的に情報の管理を行う事が非常に重要なので、今回ご紹介したBuildconのサービスが多くの建設現場で活用される事が期待されます。また、Bulldcon以外にも以前当メディアでご紹介した、FieldwireLabs(フィールドワイヤーラブス)などの多くの企業が施工管理のICT化に乗り出しており、今後の展開が注目されます。