Categories: 海外事例

環境配慮認証管理サービスを提供するGreen Badger

  • 環境や人権に配慮した建設のあり方、グリーンコンストラクション・コンプライアンスに注目が集まる
  • アメリカ合衆国のGreen Badger(グリーン バッジャー)はLEEDやESGコンプライアンスといった関連認証取得のプロセスを管理するサービスを提供
  • Green badgerのマネジメントソフトウェアにより、LEEDやESGコンプライアンス関連業務にかかる時間を65%短縮することが可能

はじめに

画像引用元:Green Badger公式ホームページ

持続可能な社会の実現を目指す取り組みとして、建築や都市の環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy & Environmental Design)や、環境問題や人権問題への配慮を意味するESG(Environment, Society and Governance) 関連の認証制度が注目度を増しています。建設産業においては、環境に配慮した建設市場は年平均成長率にして11.8%を超える速度で成長し、2030年度までに7740億ドル(約101兆7000億円)の市場規模となることが見込まれています。一方で、環境や人権への配慮を証明する認証取得のプロセスは容易ではありません。

今回ご紹介するGreen Badger(グリーンバッジャー)は、企業の製品や建設物のLEED及びESGコンプライアンス関連認証を管理するSaaS型のサービスを提供しています。一体どのような企業なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

Green Badgerとは?

Green Badgerは2013年にアメリカ合衆国ジョージア州にて創業された企業で、建設事業者に環境・人権配慮関連の認証取得や建設プロジェクトのマネジメントをサポートするツールを提供しています。

2022年7月にシードラウンドにて112万5000ドル(約1億4800万円)の資金調達を実施し、これまでの合計調達額を130万ドル(約1億7100万円)としました。環境特化建設関連企業への投資実績が多いShadow Venturesが筆頭株主として参画しており、その他にGroundBreak Ventures、Hamilton Ventures、個人投資家が参画しています。直近の調達資金はサービスの改善、特に顧客の建設事業者がグリーンコンストラクション・コンプライアンスへと準拠するプロセスを自動化する機能の強化に使われる予定です。

主なプロダクトは次の3点、①建設環境性能評価システムLEED関連のマネジメント、②人権や環境配慮のESG関連指標準拠のマネジメント、③LEED準拠に関するコンサルティングサービスです。顧客としてはゼネコン、建築家、廃棄物事業者、不動産オーナーが想定されています。

LEED及びESGコンプライアンスとは?

画像引用元:Green Badger公式ホームページ

まずはじめにLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)とは、1998年に米国グリーンビルディング協会によって創設され、以来、グリーンビルディング認証プログラムの代表格として人気と認知度を高めている認証制度です。LEEDは165カ国以上で建築物の認証を実施し、現在までに75,000以上の建物が認証されています。

LEEDの認証プロセスでは、エネルギー効率、節水、室内空気質、持続可能な素材などの基準に基づいて、建物の環境パフォーマンスを評価します。建物は、評価プロセスで獲得したポイント数に応じて、ベーシック認証からプラチナ認証まで、さまざまなレベルのLEED認証を取得することができます。

続いてESGコンプライアンスとは、企業が環境、社会、ガバナンス(ESG)の基準やベストプラクティスを遵守することを指します。ESGコンプライアンスには、通常、エネルギーや水の使用、廃棄物管理、人権、労働慣行、多様性と包括性、役員報酬、役員の多様性などの分野における企業の業績の監視と報告が含まれます。

投資家やステークホルダーが持続可能で責任あるビジネス慣行をより重視するようになったため、ESGコンプライアンスの重要性は近年ますます高まってきています。ESGパフォーマンスの高い企業は、投資家、顧客、従業員にとってより魅力的であると同時に、環境・社会リスクを低減し、長期的な財務パフォーマンスを向上させると考えられます。

LEED及びESGコンプライアンス関連認証制度の管理ツール

画像引用元:Green Badger公式ホームページ

Green Badgerは、建設プロジェクトにおけるLEED認証関連の文書管理プロセスを自動化するサービスを提供しています。このサービスではLEEDクレジットの進捗をリアルタイムで追跡し、材料データベースからLEED製品の属性を自動入力することができます。また、IAQ(室内空気質)やESC(砂防・沈殿物管理)の検査報告書をモバイルアプリを使って現場で作成することも可能です。このサービスには次の3つの強みがあります。

  • LEED文書関連業務に費やしていた時間を年間平均400時間削減可能。
  • 圧倒的な透明性により、課題を事前に回避し、リスクを低減。
  • 経験不要で簡単に使えるため、LEED文書管理の専門知識のレベルに関係なく、誰でも利用可能。

画像引用元:Green Badger公式ホームページ

また、Green BadgerのConstruction ESGプラットフォームは、ESGデータを取得し、プロジェクトや企業の報告要件を自動化するために設計されています。このサービスでは、炭素、エネルギー、水、廃棄物、M/WBE、ウェルネスなど、様々なサステナビリティ指標の測定と追跡、サステナビリティ目標に対する進捗状況の追跡、業界標準に対するベンチマーキングが可能です。このサービスには次の3つの強みがあります。

  • 直感的で使いやすいダッシュボードにより、全ESG指標を一箇所で追跡可能。プロジェクトの正確な報告を行うために、認定炭素会計士を必要としない。
  • ESG指標のカスタマイズを容易にし、より包括的なサステナビリティレポートの作成が簡単に。投資家向け広報活動、顧客需要、企業理念やブランドマネジメントに役立てることができる。
  • ボトルネックを発見し現場での炭素、エネルギー、水、廃棄物の削減への戦略的取り組みや建設・開発活動の影響を削減するための実行可能なステップの模索に役立てることができる。

まとめ

画像引用元:Green Badger公式ホームページ

いかがでしたか?今回は、環境や人権に配慮した事業を認定するLEEDやESGコンプライアンスへの準拠を管理するGreen Badgerをご紹介しました。これらの認証制度は近年注目を集めていますが、その準拠にかかるプロセスは膨大です。そこでGreen BadgerはLEEDやESGコンプライアンスを管理するツールを作成し、企業の管理コスト削減をサポートしています。今後同社はどのように展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。