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まるで施工現場のストリートビュー!「HoloBuilder」が挑む施工管理の効率化とは。

  • アメリカのスタートアップ企業「HoloBuilder」は建設施工にまつわる問題にソリューションを提供している。
  • 「HoloBuilder 360 SiteStream」は360度カメラを活用して施工管理をサポートするプラグイン。
  • HoloBuilderを活用することにより、書類作成の作業効率が50%改善し、施工管理に伴うコストの削減が実現した。

画像引用元:HoloBuilder公式ブログ
360 SiteStream for General Contractors: Livestream your job site and digitize your workflow.

はじめに

建設現場において、重要な役割を担う施工管理。しかし、毎日進んでいく工事の様子を管理する方法は非常にアナログです。施工管理者は、現場で膨大な量の写真を撮影し、図面を引き、さらにはそれらの書類を絶え間なく整理することを余儀なくされています。

また、多くの人がプロジェクトに携わるにも関わらず、状況を把握するためには現場に足を運ぶしか道がなく、コストや時間の効率化が難しいのも現実です。

しかし、近年では新しいテクノロジーの出現により、こういった問題に解決の兆しが見え始めました。中でも注目をしたいのが、建設現場に360度カメラを用いたVR技術を取り入れるという革新を起こしたアメリカの企業「HoloBuilder」です。

HoloBuilderとは

HoloBuilderはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコをベースにした建設技術系スタートアップです。テクノロジーを用いて建設を支援するプロダクトのデザインや開発、サービス型ソフトウェアの販売行なっています。
彼らは、世界初の360度ライブストリーミングを行うためのプラグイン「HoloBuilder 360 SiteStream」を開発。これにより、創業1年目にして225 万ドル(約2.5億円)の運用資金を調達することに成功しました。

HoloBuilderは現在、世界で1,000社以上の建設会社に導入され、12,000以上のプロジェクトを支えています。

360度カメラを活用した作業の効率化

HoloBuilderは、360度カメラで撮影した球体画像から建設現場をデジタル化できるプラグインです。
これまでの施工管理では、とにかくたくさんの写真を撮影することで現場の様子を記録していたのですが、360度カメラを使えば、たった一度シャッターを押すだけで死角なしの撮影ができるため、部屋全体の様子を記録できるようになりました。

また、HoloBuilderを使用すると、撮影した画像は自動的にサーバーにアップロードされ、図面などの文書と一緒に管理ができます。これにより、データを細かくフォルダ分けをする必要もなくなり、煩雑な書類作業にかかる時間の大幅な削減を実現しました。

なお、世界をリードする建設会社のひとつであるSKANSKAも、アメリカのワシントン州で”The Charter Seattle, a Curio Collection by Hilton”の建設に際しHoloBuilderを導入し、書類や写真の整理にかかる時間を50%削減したと報告されています。同ホテルは建築面積約17,187平米、16階層という大規模な建築物。加えて、ステークホルダーの拠点が国内外に散らばっているという状況でしたが、HoluBuilderの使用により、関係者と進捗を管理し、離れた場所からでも迅速な判断が行えるようになりました。

VR技術でいつどこでも現場の確認ができるように

従来のカメラで撮影する画像は画角が小さいため、大きな建設現場の全体図を捉えることは困難でした。しかし、360度カメラで撮影し、HoloBuilderにアップロードすると、撮影した画像はVRに変換されます。こうしてVRキャプチャにより作成された仮想の建設現場では、離れていてもまるでその場にいるかのように現場を確認することが可能です。

これにより施工管理者は逐一現場に足を運ぶことなく、進捗を確認したり、ミスの有無を確認したりすることができるため、移動時間や、それにかかるコストの大幅な短縮を実現します。

実際のVRキャプチャはこちらから

また、Wi-Fi環境さえ整っていれば、これらの様子は24時間ライブストリーミングで確認することも可能です。

まとめ

施工管理という点にフォーカスし、建設業界に刷新的なアイデアを打ち出したHoloBuilder。今回の記事では360度カメラを活用したプロダクト「HoloBuilder 360 SiteStream」を中心にご紹介しましたが、彼らはAIを用いた書類管理ファイルなどもリリースをしており、建設業界をテクノロジーで牽引しています。

まだまだ日本での知名度は低いですが、世界中の建設企業がその名を口にする日も近いかもしれません。