従来は空調機器・配管・電気・電化製品などの住宅設備に不具合が生じた場合、住宅所有者は数ある請負業者の中から修理業者を自宅に招き、診断及び修理を行うのが一般的な解決方法でした。しかし、こうした方法は問題解決までに多くの時間や費用を要し、非常に効率の悪いものでした。また、例えば生ゴミ処理機が詰まってしまったという問題であれば、リセットを行えば改善するなど、住宅で発生するトラブルの約40%は、専門的な技術や道具を必要とせずとも解決できるケースだという事実もあります。
今回ご紹介するHomeX(ホームエックス)は独自のプラットフォームを活用し、住宅所有者と請負業者をマッチング。そしてオンライン上での設備診断や修理方法の指南を可能とするサービスを提供しています。
HomeXは2017年にアメリカ合衆国シカゴにて創業された企業です。同社では、オンライン上で住宅所有者とHomeXのライセンスを持つ技術者をマッチングし、空調機器・配管・電気・電化製品などの不具合を診断修理するサービス、HomeX Remote Assist(ホームエックスリモートアシスト)を展開しています。同社のCEOのMichael Werner(マイケル・ワーナー)氏は、同サービスは開始から1年足らずで400%以上の成長を遂げ、2020年にはプラットフォーム上の請負業者の数が約5倍に増加したと述べています。
HomeXCEOのMichael Werner(マイケル・ウェルナー)氏はGlobe Union Group(Gerber PlumbingFixtures、DanzeFaucets)や75年にわたる家族経営のWerner LadderCo.の社長を務めた経験を持つ人物です。彼はホームサービス業界での長年にわたる経験から、建設業界での細分化されたサービスや労働人員不足に問題を感じ、同サービスを立ち上げました。
また、HomeXの共同創業者の1人であるCTOのSimon Weaver(サイモン・ウィーバー)氏をはじめとする複数のチームメンバーは、2012年にAmazonに買収されたスタートアップEvi(イービー)で、アプリを介してコミュニケーションできるAIプログラムの開発に携わっていた経験を持っており、同社が展開するサービスにも高度なAI技術が組み込まれています。
こうした実績と経験が評価され、同社は2021年4月にはNew Mountain Capital(ニューマウンテンキャピタル)が主導する資金調達ラウンドで9000万ドル(約98億円)を調達しています。
それでは、こうして注目を集めるHomexが提供するサービスとは一体どのようなものなのか、早速見ていきましょう。
同社が展開するHomeX Remote Assist最大の特徴は、診断から修理までを一貫してオンライン上で行えるという点にあります。従来、住宅設備トラブルが発生した際には、修理業者が現場に赴き診断、修理するという方法が一般的でした。ですが、同社が展開するサービスではオンラインで問題の診断から修理までを行うことが可能に。同サービスは24時間年中無休で稼働しており、平均して15年以上のキャリアを持つ専門スタッフがトラブルの対応にあたります。それでは、同社のオンラインによるホームサービスがどのようなメリットを生むのか、3つのポイントに分けてみていきましょう。
同サービスの利用の流れは利用者がプラットフォーム上で専門家とマッチング後、ビデオ通話やチャット、または電話などで無料の診断を行いトラブルの評価をする事から始まります。この無料オンライン診断によって、専門家が直接出向いての作業が必要なのか、利用者本人による修理が可能なのか、費用がどの程度掛かるのかという事がわかります。
また、同社のプラットフォームにはAI技術が組み込まれており、一般的によく見られる問題については、HomeXのAIアシスタントによる問題の診断や解決策の提示が可能。そして、同サービスを継続して利用する事によって、利用者のプロファイリングが自動で作成され、プロファイリングを元にした、定期的なメンテナンスのリマインダーなどが利用者に提供されます。
このようなオンライン診断は、利用者にスピーディーで適正な価格の修理サービスを提供することを可能にします。また、修理請負業者は現場に行かずともオンライン上で問題の診断や対処、メンテナンスの打診が可能となるため、より多くの案件の獲得が可能に。そして、現場での作業が必要なケースにおいても、事前に必要なパーツの準備や作業の段取りを組むことが可能となるので、より効率的に修理及びメンテナンスを行うことができます。
診断の結果、利用者による修理が可能な問題と判明した場合には、利用者はビデオ通話を通して専門家の指示をリアルタイムで受けながら修理を行うことができます。
費用に関しては無料診断後、必要とする道具や修理に要する時間などを基に20ドル(約2,000円)~50ドル(約5,000円)の価格設定がされます。そしてこの金額は、従来の自宅に修理業者を招く方法に比べて、平均で100ドル(約10,000円)も安価なものです。さらに、無料診断後に出された見積もり金額は作業後に変更されることがないので、利用者は安心してサービスを受ける事ができます。
また、専門家による修理が必要となった場合は、アプリ上で専門の修理業者の手配を行う事が可能。この手配の際には無料診断の結果を事前に共有する事ができるので、現場に到着後に効率的に作業を進める事ができます。
ここまで、同社の一貫したオンラインサービスについてご紹介してきましたが、接触を伴わない同社のサービスはコロナ禍において大きな注目を集めています。同サービスはオンラインで修理を可能にすると共に、直接の訪問が必要な場合においても、事前にオンラインでの診断が可能となるため、コロナ的観点からも利用者に安心なサービスを提供。また、同社の訪問修理サービスでは事前に扉をあけておいてもらう、手続きは全てオンラインで行うなど、訪問修理の際のコロナ対策も徹底しています。
今回はオンライン上で、住宅設備トラブルの診断及び修理を実現する企業HomeXをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?今後は同社が展開するサービスにより、住宅設備トラブルの解決がよりスピーディーで低価格にものになる事が期待されます。また、同社が展開するサービスは、コロナ禍で需要が急増しており、今後の展開が注目されます。