スタートアップの事業トレンドの一つにスマートホームがあります。
スマートホームとは「家の中の電化製品や機能がインターネットでつないでスマホや音声でコントロールしたり、センサーやGPSでコントロールしたりすることで快適な暮らしを実現する家」のことです。
AmazonやGoogleなどの巨大ITがスマートホームの中心としてスマートスピーカーを開発するなど白熱している事業領域です。
このスマートホームに関しておもしろい取り組みをしているアメリカのベンチャー企業があります。それがKasitaです。
2015年創業のKasitaは、「マイクロホーム」とよばれる小型の住宅、しかも最先端の機能を備えた住宅を開発しています。
まずはこちらの映像をご覧ください。
コンパクトながら非常におしゃれで清潔感のある内部空間と、IoTを活用した日常の光景が見て取れると思います。
Kasitaは手がけるマイクロホームを「iPhone for housing」(住宅のためのiPhone)と呼んでいます。音声起動技術が搭載されているため、いわゆるスマートホーム(IoTを実装した住宅)でもある点が特徴です。
Kasitaの住宅は352平方フィート(32.7平方メートル)の居住空間に最新の技術を詰め込んでいます。
60以上のスマートホームデバイスによる機能を完備しており、これらをKasitaのアプリから制御できます。例えば照明や空調、ホームシアターなど様々なデバイスに簡単にアクセスすることが可能です。
彼らはオースティンでの実証実験において住宅価格は55,000ドル〜140,000ドル(日本円で600万~1500万円)の間に収まると試算しています。オースティンでの平均住宅価格が250,000~350,000ドル(日本円で3000万〜4000万円)と言われているので、半分以下のコストと言えます。
この安さは破格と言えるでしょう。
Kasitaの住宅が注目されるのは、スマートホームとしての凄さだけではありません。この小さな家を積み上げることができるという点です。
写真からわかるように、一つの集合住宅のようにこの小モジュールを積み上げることが可能です。
これには彼らが「Kasitaドック」と呼ぶドッキングステーションが必要になります。
この機能を活用すると最大10階建ての高さまで積み上げることが可能だそうです。現在はオースティンのみですが、今後は設置に向けて都市に働きかけていくことを検討しているようです。
Kastaの成長力をみるときに、重要になるのはスマートホーム市場の成長性です。
コンサルティング会社ATカーニーの調査によると2015年時点でのスマートホームの市場規模は約140億ドル(≒1.5兆円)であるのに対し、2030年にはその約30倍の4000億ドル(≒44兆円)に跳ね上がると予測されています。成長市場であることは間違いありません。
また、地域別にみると北米が圧倒的に多く2030年までに2100億ドルに達することが見込まれています(アジア・太平洋地域で2000億ドル)
日本においてもスマートホーム市場は、ハウスメーカーだけでなく、通信キャリアや家電メーカーなどがそれぞれのアプローチで家のIoT化にむけてサービスを投入しております。
モバイルハウスという切り口で新しい住宅の形を提案しつつ、スマートホーム市場に向き合うKasitaのアプローチはこれからも注目すべき動きの一つかと思います。