近年日本の住宅では、リノベーションの際に一般的な壁紙ではなく、塗装仕上げを選ぶという人が増えています。塗装仕上げは壁紙とは一味違った個性的な質感を楽しめることや、ペンキの混ぜ方次第で無限通りの色を選べることが人気の理由の一つです。
しかし内外装の塗り替えには時間と手間がかかります。業者の選択から壁の清掃、作業時の家具の保護など手間のかかる工程が多数あることに加え、仕上がりのイメージがつきにくく、なかなか塗料の色や種類が決められないという場合もあるのではないでしょうか。
アメリカでは内外壁を塗装仕上げにすることが一般的ですが、今回ご紹介するPaintzen(ペイントゼン)は、こうした塗装の相談から専門業者の予約、必要な道具の購入や配送までをまとめて引き受けてくれるサービスを提供しています。どんな便利なサービスなのか、詳しく見ていきましょう。
Paintzenは、データとテクノロジーを用いて、手早く、手間なく、満足度の高い内外装の塗装作業を提供している企業です。2013年にアメリカ合衆国に創業され、2018年より大手化学メーカーのPPG Industries, Inc (PPGインダストリー)の傘下となっています。
同社は、即時見積もりを含むオールインワンの塗装サービスを提供しており、塗装作業に必要な塗料の選択から、消耗品や塗料の配送、専門業者のマッチングをオンラインで行うことができます。
塗装したい不動産のタイプや部屋のサイズ、部屋の数などのいくつかの質問に答えるだけで、同社独自のシステムによって必要な塗料と消耗品の量が正確に計算され、希望している現場近くの専門事業者が紹介されます。
同プラットフォーム上で見積もりと専門塗装業者の発注依頼を行えば、48時間以内に作業を開始することができます。作業に必要な塗料と消耗品は現地に配送されるため、迅速な開始が可能になり、顧客は予約以外の手間がかかりません。
また、Paintzenは法人向けの内装工事にも対応しています。上記の画像はアメリカ合衆国のSOHOオフィスの作業例ですが、塗装だけでなく壁紙も併用し、遊び心ある内装デザインを実現しています。こうした作業方法の選択肢があるのも、専門の事業者を仲介するサービス設計の強みだと言えます。
Paintzenは手間のかかる塗装作業を簡単で迅速に行うサービスを提供していますが、同サービスは経験豊富な塗装専門業者をネットワークでつなぐことによって初めて成り立ちます。どのように事業者側のネットワークを構築していったのでしょうか?
塗装を希望する顧客にとって、信頼のおける業者を選定することはもっとも難しい課題の一つです。コストを抑えて思い通りの仕上がりを実現するためには、経験豊富な業者に最適な塗料の選定やイメージのすり合わせを依頼することになりますが、信頼のおける業者を見つけるためには口コミや作業例をいちいち探して吟味する必要がありました。
Paintzenに登録されている業者は5年以上の塗装経験を持ち、作業例や評価によってランクづけされています。また、同社のオンラインプラットフォーム上では簡単に見積もりを出せるほか、現場の作業状況に最も適した経験を持つ業者が自動的に選定されるため、上記の手間をかけずに予約を完了することができるのです。
また、業者を介さず自分の手で塗装を行いたいという場合でも、上記の質問への回答を基に必要な塗料や消耗品を選定し、自宅に配送するというサービスも提供しています。このように、多様なニーズに合わせて高品質なサービスを提供することによって、顧客の満足度を高めています。
内外装を塗装することが一般的なアメリカでは、一定の塗り替え需要があります。
経験豊富な塗装事業者は各地に点在してますが、こういった地元の事業者の多くは顧客の獲得に困難を感じているといいます。特に現場の下見から見積もり、スケジューリングなど時間とコストのかかる下準備を行う必要がありながら、準備を行ってもなお、見積もりや塗装後の完成イメージについての顧客とのすり合わせにうまくいかず、キャンセルされてしまうということがありました。
Paintzenのオンラインプラットフォームでは、塗装を希望する顧客は、いくつかの質問に答えるだけでで標準的な見積もりを手に入れることができ、また色見本や完成イメージのすり合わせもオンライン上で済ませることができます。
Paintzenは顧客の予約完了後にインテリアの状況や希望の完成イメージ、見積もりなどの詳細が全て整った作業指示書によって塗装事業者に作業を発注するため、事業者これまでの下準備へのコストを抑え、作業に集中できるようになるのです。実際 94%の作業依頼が、1回目の発注で承認されていると言います。
また、Paintzenのプラットフォーム上に掲載されるための手数料等は不要で、かつ高品質の作業ができる事業者ほど高い評価を得ることができるため、事業者にとってはコストなしで顧客を獲得できるというメリットがあるのです。
こうしてサービスへの顧客満足度を保ちながら事業者の利益に考慮したサービス設計を行うことで、優良な塗装事業者を惹きつけているのです。
日本でも、単純な塗装業者のマッチングサービスではありませんが、リフォーム業者のマッチング事業で、取扱額2000億を超えるホームプロを筆頭に、リフォマ、SuMiKaなど様々な業者紹介サービスが伸びています。矢野経済研究所によると2020年の市場規模は6.4兆円(2018年比3.2%増)が予測されており、今後も安定基調が予測されています。
今後もリフォーム市場におけるサービスは需要が高まっていくと考えてよいでしょう。