2019年2月にゴールドマン・サックスを主体とした投資グループがスタートアップ企業のRabbet(ラベット)に800万米ドルを出資しました。
開発業者は施工時の材料仕入や職人の賃金などのために建設ローン(コンストラクションローン)融資を受ける場合が多く、施工の進み具合によって分割で振込が発生するため、複雑な業務処理が発生しています。建設ローンは通常の担保に対するローンではなく、返済がローンを元に行われた建設からの収益によって発生するため金融機関側からすると危険度が高くそのため、多くの確認作業が発生しています。
Rabbetはその業務の効率化を目指しており、詳細をこの記事で紹介していきます。
Rabbetは2017年にテキサス州を拠点として立ち上げた会社で、元はContract Simplyという名前で知られていましたが社名変更を行いました。Rabbetは、著名なシードアクセレレーターY combinatorの育成プログラムを修了し直近では2019年2月にゴールドマンサックスから800万米ドルの資金を提供を受けました。
複雑な建設ローンの組み立てを機械学習を利用することで業者、貸し手と借り手という建設の行程に関わるすべての人をつなぎ負担を軽減すること。と掲げています。
クラウド上に不動産業者がローン関係の書類をアップロードするだけで、そこから必要な情報を自動で抽出され、独自のフォーマットに集約されます。このフォーマットから建設の行程で使用された資金、資金の残高、そして建設の行程の進捗状況をどこにいても確認する事が可能になります。
情報を整理することで、現在必要とされている紙やExcelでの作業を省くことができます。
また機械学習により、貸し手の条件を記憶し、借り手側がその条件を簡単に確認する事が可能になり、手間と作業の所要時間を削減することもできるのです。また、クラウド上に情報が集められるため、借り手、貸し手、業者のすべての立場の人が同じ情報量を把握することが可能になります。
創業者でCEOのWill Mitchel氏はバージニア大学で建設や構造工学を学び、ワシントンD.Cで集合住宅の開発を行うなど10年以上不動産業に携わってきました。個人としては中学2年生でAutoCADを使うなど技術好きの少年だったそうです。
その過程で貸し手と不動産開発者と建築業者の繋がりを強固にすることで、建設の行程をスムーズに遂行する必要性を感じたと言います。ソフトウェアを活用しこの問題を解決することを目標としています。
建設ローンとは、建物を建てる土地はあるにもかかわらず、建物はその時点では存在しておらず、建設する資金として融資をうけるローンです。
支払タイミングも一括ではなく、建設工程の進捗によって分割されることが多く、一般のローンに比べて短期間で金利が高く設定されています。
また、金融機関において各支店ごとに融資検討が行われることも多く、支店ごとにフォーマットが異なったり、PDFやExcelとした分断されたファイル形式でやり取りされる場合が多くあります。結果、1つの建設ローン借入を実行するまでに書類としてある開発業者は2500ページから6000ページ近くの書類をやり取りすることがあるというインタビューもございます。
このように、建設業者も貸し手になる金融機関も多くの処理をする必要あり、業務量が問題になっています。
今回800万米ドルの投資を行ったゴールドマン・サックスは貸出を行う金融機関として、建設ローンの審査時にRabbetを実際に活用しておりました。
結果として、建設の行程で発生する複雑な金銭の問題を解決できる唯一の企業であると思うと高く評価し、今回の出資に繋がりました。
Rabbetが行った調査によると、41%の建設業者が請求後30から60日程度の期間支払いを待ち、46%が60〜90日の期間支払いを待っているそうです。
つまり調査によると業者側の多くが売上債権に苦しんでおり、従業員への支払いを遂行するために企業貯蓄を切り崩しや差し押さえに耐えている現状も明らかになりました。また、70パーセントもの業者が請求後30日以内の支払いが行われるならば、貸し手、借り手に対してディスカウントをオファーするという意思を表示しました。
Rabbetを活用することで、借り手は難解な情報整理や金銭管理の手順を簡素化する事ができ、それにより業者側はより早く支払いを受けることができます。
また、調査の結果から分かるように、迅速な支払いは借り手や売り手も業者からディスカウントを受けられる可能性を上げるため、建設の行程に関わる全員にプラスの効果をもたらすのです。
ローンの組み立てのオートメーション化を進めたRabbetのサービスを活用することでコンストラクションローンという比較的リスクが高く、利息も高いローンを組む際の関係者全員の負担を軽減し、支払いまでの時間を短縮する事により業者側はより早く支払いを受けられ、結果的に借り手、貸し手もディスカウントを受ける可能性が上がり、経済的なロスも少なくなると予想されます。