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建設業界は世界で最も巨大な業界の1つであり、同時に人の力に頼りきり、技術革新が遅れている産業でもあります。中でも、建設費用の20%は建設プロジェクトの実行の際に生じてしまってた誤りを修正するのに使用されており、業界全体において、無駄なコストの削減が大きな課題でした。
今回は、建設の全工程を作り替えることを目指し、ロボティクスと人工知能により建設を近代化することをミッションに掲げているスペインのスタートアップ、”Scaled Robotics”をご紹介します。
画像引用元: Scaled Robotics 公式Facebookページ
Scaled Robotics(スケールド ロボティクス)とは、2016年にBharath SankaranとStuart Maggsによりバルセロナで設立されたたスタートアップ。彼らは、技術革新が遅れてしまっている建設現場の効率化に重きを置いています。現在、彼らの代表的なプロダクトとして、画像認識技術を通して建設の進捗や品質管理を行っていくロボットがあります。Scaled Roboticsは現在、ベンチャー企業の成長ステージの段階のうちシードステージに位置し、積極的な資金調達を行っており、まさに今建設業界で注目されているスタートアップです。
画像引用元:Robotics & Automation
Scaled Roboticsの自律走行数する4輪ロボットには様々なセンサーが搭載されており、360度カメラとLIDARシステムにより、3D調査とパノラマ撮影を実施します。そうして得た写真やビデオ、その他データを収集して組み合わせることで地図を作成します。その得られた地図がソフトウェアに蓄積され、設計でのミスや逸脱を自動的に識別したり、品質の管理を実施します。
主に3点あります。1点目に、4輪ロボットが識別した情報は、品質のステータスを反映されるように自動的に色分けされ、緑は「良好」、赤は「欠落要素」、オレンジは「逸脱要素」、白は「情報が不十分」と言うふうに表示されます。それにより、品質が対応が必要かどうかを判別されます。2点目に、360度カメラで収集された画像はそれぞれの要素ごとにタグ付けされ、タグをクリックすると進捗を確認することができます。
Scaled Roboticsは実際の現場に既に導入されており、具体的な導入事例としてオランダのDura Vermeerや、英国のKierなどの建設現場があります。元のデジタルモデルとリアルタイムの実際の現場を比較できるので、コストがかかってしまう前の早期の問題発見が可能になったことが報告されています。
画像引用元:建設業界ニュース
日本の大手建設会社では、現場でのロボット導入を進めています。鹿島建設では、高度な技術が求められる溶接現場に溶接ロボットを導入し、大林組ではAIを利用してコンクリートのひび割れを自動で検知するロボットを開発しました。また大和ハウス工業では、人間の関節や腰を支えてスムーズに作業しやすいようなロボットスーツを開発して導入を進めています。
少子高齢化により、建設現場の人材不足に悩む日本にとって、ロボットの建設現場での運用は大きなメリットが存在します。まず1点目に、建設現場の生産性の向上を図ることができます。また2点目に、建設現場の人材不足を解消することが期待できます。一方で、国土交通省は2015年に建設とITの融合を押し進めるために「i-Construction」を発表しており、今後日本の建設業界におけるIT化が急速に進むことが予想されます。
建設現場における効率性に特化したプロダクトを提供するスタートアップ企業、Scaled Roboticsをご紹介しました。同社や日本の建設会社を筆頭に、人手不足や非効率さで知られる建設業界がAIとロボティクスにより今後よりいい方向に変化していくことが伺えます。数年後には、建設現場に人間がいない未来が存在しているかもしれません。また同社から新しいプロダクトが出た際には、ContechMagでご紹介していきます。