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残土処理のオンラインマーケットプレイスを展開する Soil Connect

  • 世界の残土・廃棄物管理市場は拡大を続け、処理コストや環境負荷の低減が大きな課題となっている
  • Soil Connectはオンラインマーケットプレイスを展開し残土のマッチングや搬出入管理を効率化し、コストと時間の削減を実現する
  • 近距離調達やデータ活用により、建設現場の生産性向上とCO2削減に貢献しており、今後の普及が期待される

はじめに

画像引用元:Soil Connect公式ホームページ

世界の残土処理・廃棄物管理市場は年々拡大しており、建設現場における土の搬出・処理もその重要な一部として位置付けられています。世界の固形廃棄物管理市場規模は2019年時点で2,851億6,000万ドル(44兆8,266億円)に達し、2027年には3,665億2,000万ドル(約57兆6,100億円)へ拡大すると予測され、年平均成長率は3.3%とされています(Fortune Business Insight 2025)。

固形廃棄物とは、家庭・商業施設・工場などで発生する不要物を指し、紙類、プラスチック、金属、ガラス、有機物など多様な素材が含まれます。これらを適切に収集・処理・処分する固形廃棄物管理は、公衆衛生と環境保全の観点から極めて重要です。国や地域、都市部と農村部、産業廃棄物と一般廃棄物などによって処理方法は大きく異なりますが、いずれも人々の生活の質を守り、経済発展を支える基盤として整備されています。

建設現場で発生する残土も固形廃棄物の一種であり、その適切な扱いは都市開発やインフラ整備の効率性に直結します。特に近年は環境規制の強化や都市部の受け入れ先不足により、残土処理のコストや輸送負担が増加し、現場運営の大きな課題となっています。こうした背景から、効率的で透明性の高い残土マネジメントの需要は世界的に高まっており、デジタル技術を活用した新たなソリューションが注目されています。

このような市場環境の中で、Soil Connect(ソイルコネクト)は残土の流通や管理を効率化するサービスを展開しています。いったいどのような企業なのでしょうか。詳しくみていきましょう。

Soil Connectとは?

Soil Connectは2019年に創業された、アメリカ・ニューヨーク州プレーンビューを拠点とする建設・土木業界向けの土(dirt)取引・管理プラットフォーム企業です。同社は、土を「持つ側」と「必要とする側」をつなぐマーケットプレイスを提供し、土の調達や運搬にかかるコストを平均5ドル/ヤード削減するなど、非効率だった土取引の透明化と効率化を実現しています。

直近では、Heartland Venturesがリードし、Cemex VenturesAM VenturesTIA VenturesGS FuturesStellifi VCなどが参加する資金調達を金額非公開にて完了しています。この調達により、プロダクト開発や市場拡大をさらに加速させる方針です。

Soil Connectが解決しようとしている課題は、建設現場における「土の過不足」と「マッチングの非効率性」です。従来、余剰土の処分や必要土の確保には高コストや時間的ロス、不透明な価格などの問題がありました。こうした課題に対し、Soil Connectはマッチングアルゴリズムを活用したマーケットプレイスを提供し、近距離かつ適正価格で土を取引できる環境を整えることで解決を図っています。

さらに2024年には、土量や搬出入速度、スケジュール、予算などをリアルタイムで管理できる「Dirt Production Management」機能や、土の市場価格や需給バランスを提供する「Dirt Commodity Market Data」サービスを発表し、プロジェクト管理の高度化を支援しています。ユーザー数は1万2,000人を突破し、2024年には4,000万ヤード以上のマッチングを実現するなど、利用規模も拡大しています。顧客は平均34%もの調達・運搬コスト削減を達成しています。

新CEOにはJonathan Alvarado氏が就任し、共同創業者のCliff Fetner氏はアドバイザーとして経営に関わり続けています。Soil Connectは今後も、データとテクノロジーを活用し、建設業界の土に関する課題解決をリードする企業として成長を目指しています。

Soil Connectのソリューション

画像引用元:Soil Connect公式ホームページ

Soil Connectは、建設現場の残土マネジメントを抜本的に効率化するためのデジタルソリューションを提供している企業です。最大の特徴は、従来アナログかつ非効率だった「土の売買・搬出入・管理」を、デジタルプラットフォームと広範なネットワークによって最適化する点にあります。同社は、土を探す、余剰土を処理する、搬出入を追跡する、適正価格を把握する、といった一連のプロセスを一体化し、コスト削減とスケジュール短縮を同時に実現します。

中心となるのが、土の需要と供給をマッチングする「Marketplace」です。従来、現場担当者は電話や仲介業者に頼り、遠方の採取場に依存することが多く、輸送費の増大やスケジュール遅延を招いていました。Soil Connectは、近隣現場の余剰土と不足土を直接結びつけることで、輸送距離を大幅に短縮します。これにより、燃料費、ドライバーの稼働時間、トラックの摩耗などのコストが削減され、ひいてはプロジェクト全体の費用負担が軽減されます。近距離での土マッチングは信頼性も高く、交通事情による遅延リスクも抑制できます。

さらに、Soil Connectは「eTickets」というデジタル荷積み追跡アプリを提供しており、すべての運搬データをリアルタイムで可視化します。紙の伝票管理が不要となり、正確な搬入出量の把握、即時の検収、迅速な請求処理が可能となります。これにより、現場管理者の事務作業が減少し、搬送業者は迅速な支払いを受けられ、双方にメリットがあります。

また、同社は「Dirt Reports」サービスとして、地域ごとの土の市場価格、需給バランス、季節変動といったデータを提供し、より正確な見積もりや入札戦略をサポートしています。価格の透明性が高まり、過剰な中間マージンを避けながら、公正な取引が行えるようになります。

Soil Connectの活用事例

画像引用元:Soil Connect公式ホームページ

Soil Connectのプラットフォームと技術は、現場の突発的な課題にも強みを発揮します。北テキサスの建設プロジェクトでは、ARCO/Murrayが想定外の21,000立方ヤードの余剰粘土を抱える問題に直面しました。当初は3カ月間の現場保管が認められていましたが、その後自治体が突然保管禁止の方針へ変更。罰金リスクが発生したうえ、土の搬出には約40万ドル、8~9週間が必要と見積もられていました。さらに、大量のトラック台数を正確に管理することも難しく、現場運営にも大きな負担が予想されていました。

この状況を打開するため、ARCO/MurrayはSoil Connectと連携し、同社の広範なネットワークとマッチング力を活用することにしました。Soil Connectは迅速に近隣の受け入れ先候補を見つけ、ARCO/Murrayが電話一本かけることなく、運搬業者と複数の埋設先をつなぎました。初日の搬出ではSoil Connectが追加のトラックを確保し、1日の運搬回数を50~60回から130回へ増加させ、搬出期間を2日短縮することに成功しました。

また、Soil Connectのデジタル荷積み管理アプリ「eTickets」を活用することで、トラック1台ごとの運搬量がリアルタイムで記録され、正確な実績管理と迅速な請求処理が可能になりました。これにより、現場担当者の事務作業が大幅に削減され、運搬業者の入金サイクルも早まりました。さらに、土の受け入れ先が予想より近距離に確保できたため、トラックの回転率が向上し、作業効率が飛躍的に向上しました。その結果、ARCO/Murrayは58,000マイル以上のトラック走行を削減し、CO2排出量も130.2トン削減するという環境面での大きな成果も得ました。

最終的に、迅速な残土撤去により自治体による罰金は発生せず、クライアントはスケジュール遵守が可能に。運搬業者は早期支払いが実現し、ARCO/Murray自身も18万ドル超のコスト削減を実現しました。Soil Connectのネットワークとテクノロジーがもたらした成功事例として、同社の価値を象徴する好例となっています。

まとめ

画像引用元:Soil Connect公式ホームページ

いかがでしたか?今回は、Soil Connectが提供するデジタル技術とネットワークを活用した革新的な残土マネジメントの仕組みをご紹介しました。従来の非効率な土の売買や搬出入の課題を、データとマッチングによって大幅に改善し、コスト削減・時間短縮・環境負荷低減を同時に実現できる点は、建設業界にとって大きな価値があります。

今後も機能拡充や市場拡大が進むことで、残土管理の新しいスタンダードとして定着していくことが期待されます。同社の今後の展開が注目されます。

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