さまざまな理由で不動産を早急に販売する必要がある住宅所有者とって、なるべく高額での取引や買い手が見つかるまでのスピード感は非常に重要なポイントです。そのような中、現在アメリカで注目されているのが「iBuyer」(アイバイヤー)。iBuyerとは、従来の不動産プロセスを省略し、オンラインで住宅の査定と販売を完結させるサービスの事です。
iBuyer企業大手には、アメリカ初のオンライン買取再販プラットフォームであるOpendoor(オープンドア)やofferpad(オファーパッド)などが挙げられ、両社共に上場企業となっていまます。そして、Opendoorが2014年の設立以来10万件以上の取引を行なっている事からも、アメリカ国内において、iBuyerが急成長を遂げている事が伺えます。
iBuyerを利用することで、オンライン上でのスピーディーな物件査定と売却が実現しましたが、査定価格が低く見積もられてしまったり、状態の悪い物件は売却できないなど、運用にあたりいくつかの不満が挙がっています。
今回ご紹介するSundae(サンデー)は、iBuyerと似た形態を持ちながらも、iBuyerとは違った独自の不動産取引サービスを展開する企業です。
Sundaeは2018年にアメリカのカリフォルニア州にて創業された企業で、迅速かつ適正な価格で不動産取引を行うための不動産取引サービスをアメリカ国内の22都市にて提供しています。同社が展開する不動産取引サービスでは、一般的な不動産サービスとは違い、住宅販売業者や投資家向けに住宅の販売を行なっています。
同サービスは失業・病気・離婚などのさまざまな理由で、不動産を早急に販売する必要がある人々を支援することを目的としてスタートしており、状態の悪い住宅であっても、同業他社に比べて高い価格でスピーディーに不動産販売を行えるのが、最大の特徴です。
同社は2021年7月にFifth Wal(lフィフスウォール)とGeneral Global Capital(ジェネラルグローバルキャピタル)が主導するシリーズCラウンドで、8000万ドル(約92億6,300万)の資金調達に成功。同社はこれまでに、計4ラウンドの資金調達を行い、総額1億3572万ドル(約157億1400万円)を調達しています。
それでは、こうして注目を集めるSundaeが展開するサービスとは一体どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
Sundaeのサービスでは手数料や煩雑な手続きを必要とせずに、不動産の販売をスピーディーに行う事ができます。ここでは、利用の流れを5つのステップに沿ってご説明させていただきます。
1.申し込み
最初の手順として、利用者はオンラインプラットフォーム又は電話で、個人情報や住宅情報をカスタマーアドバイザーに連絡。
2.住宅の査定
アドバイザーとの簡単なやり取り後、同社と契約している専門家が実際に現地に訪れ、住宅の検査や売り手とのミーティングを行います。
3.Sundaeマーケットプレイス上で販売
2で取得した情報やミーティングの内容を踏まえ、販売される物件がSundaeのマーケットプレイス上にアップロードされます。販売価格は査定を基に算出された金額が最低価格として設定され、購入希望者はオークション形式でオファーをします。この際、購入希望者とのやりとりは全てサポートスタッフを介して行われるため、安心して取引を進めることができます。また、買い手側は写真・3Dツアー・住宅検査レポートなどの物件プロファイルの閲覧がオンライン上で可能なため、現地に赴かずとも精度の高い判断ができます。
4.オファーの承諾
サポートスタッフによってまとめられた購入オファーの中から、売り手は最も最適なオファーを選び契約。もちろん、納得できるオファーがなければ引き続き掲載を続けることも可能です。オファーに問題がなければ契約成立となりますが、1~4のここまでの行程は最短10日程で完了するとのこと。
5.契約成立後
契約成立後は引越しやその他の費用の為に、売り手は1万ドル(約115万円)のキャッシュアドバンスを取得できます。また、引き払い後に住宅に残された備品などを無償で処分するサービスなどもあるので、余計な費用をかける事なく、速やな引越しが可能。
従来の不動産取引やIBuyerでは、状態の悪い物件は修理を行なった上で販売するか、市場価格を大幅に下回る低価格で販売されるケースがほとんどでした。しかし、同社の展開するサービスでは、状態の悪い物件であっても修理や清掃を必要とせず、他社に比べて高額な不動産販売を行う事ができます。
この様な不良物件の高額での現状販売を可能にする要因として、いくつかの特徴が挙げられます。
・不動産業者や投資家向けである
同サービスでは不動産業者や投資家向けに不動産販売を行なっているため、修理を前提とした販売を可能としています。また、売り手にとっては、従来であれば取引の出来なかった相手と同社プラットフォームを通して取引する事ができるようになるので、スピーディーかつストレスフリーな不動産売買を行えるようになる。
・専門家による詳細な検査
専門家による実地での検査や所有者との綿密なミーティングを行う事によって、物件の適正価格を査定できるだけではなく、買い手にとって有益な情報が作成されます。例えば、同社の検査レポートには物件の現状だけではなく、修理にいくら掛かるのか、修理後にはどの程度の不動産価値が見込めるのかなど、不動産業者や投資家目線の詳細な情報が盛り込まれている。
似たサービスであるiBuyerでは、査定から契約成立までが非常にスピーディーである一方、実地での検査が行われない為、契約成立後の内見の際に問題が発見されるなどのケースが多発していますが、同サービスは信頼できる検査の基に販売が行われるので、買い手にとっても利用しやすいサービスとなっています。
・手数料がかからない
同サービスで不動産販売を行う際には、売り手側に手数料などの料金が一切発生しません。このことにより、他社では仲介手数料などが売上金から引かれるのに対して、Sundaeでは売り手がオファーされた金額を全額受け取る事ができます。
では、一体どこから収益を上げているのかというと、同社では売り手ではなく買い手側から販売手数料を徴収する事によって収益を上げています。
今回は不動産取引サービスを展開するSundaeをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?今後はアメリカでの不動産取引重要が更に増加することが予想されていることから、同社サービスの需要も高まることが予想されます。また、テクノロジーの発展により、さまざまな不動産取引サービスが誕生しているので、今後の不動産取引業界の動向には注目です。