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現場を駆ける4足歩行ロボ!建設現場を多方面から支えるTrimbleの新製品とは

  • 昨今、建設業界の労働不足が深刻化し、テクノロジーの導入が急務に
  • Trimbleは最新のテクノロジーで作業の効率化や安全性の向上を実現し、多方面から作業員の負担を軽減
  • 同社が2019年にリリースした新型の4足歩行ロボが作業員をリスクから解放すると、大きな注目を集めている

はじめに

昨今、建設業界では建設(Construction)とテクノロジー(technology)をかけ合わせた「ConTech」に関する取り組みが急速に増加し、建設業界では飛躍的に作業効率や安全性が向上しています。当メディアでも取り上げているこれらの取り組みは、労働力不足などが深刻な問題となっている建設業界において、最も重要な関心事項と言えます。

今回ご紹介するTrimble(トリンブル)は、そうしたIT企業の中でも特に数多くのテクノロジーを現場に提供し、効率化や安全性の向上に大きく貢献をしている企業です。一体どのような企業なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

Trimbleとは?

画像引用元:https://www.trimble.com/

Trimble Inc.は1978年にアメリカ合衆国カリフォルニア州にて創業された企業です。Trimbleは「Transforming the way the world works(世界の働き方を変える)」というタグラインのもと、最新のテクノロジーの活用による生産性、品質、安全性、持続可能性の向上を目指しています。同社では農業、建設、天然資源産業、公益事業、運輸など様々な分野の産業に世界150か国以上でサービスを提供しており、2,000を超える特許を取得しています。

また、同社はGPSに関連した製品やソフトも多く展開しており、米国内の衛星ナビゲーションシステム市場ではトップのシェアを持っています。衛星ナビゲーションシステム市場は2025年までに1287億ドル(約14兆円)になる産業であると言われるほど急成長を遂げている産業であり、同社の将来性も高いものであることが伺えます。

そして、コロナ禍の2020年4Qの売上高においても、前年比1%増で8.3億ドル、営業利益は1.48億ドル営業利益率は17%で過去と平均しても高い水準にあります。また、株価は1990年の上場以降最高値を更新し続けており、2020年3月には大幅な株価上昇をしています。

画像引用元:https://www.nikon-trimble.co.jp/

さらに2003年には日本の光学機器メーカー、ニコンとのジョイントベンチャーである、ニコン・トリンブルを設立。ニコン・トリンブルでは測量・測位技術をコアとした開発・製造・販売を行っており、近年では3Dレーザスキャニング、GIS、移動体計測等の新しい技術を日本国内に導入し、多くの実績を積み上げています。

今回は簡単に同社の取り組みに触れながら、Trimbleが新たに展開する製品をご紹介していきたいと思います。

3DレーザースキャナーTrimbleX7

画像引用元:https://www.trimble.com/

Trimbleの主要なサービスの1つとして知られるのは、スキャン作業や点群合成処理にまつわる工程の「完全自動化」を可能にする3DスキャナーTrimbleX7です。TrimbleX7は構造・設備などの施工や維持管理の現場で点群を素早く取得し、BIMで作成されたデータとの整合性確認を行うことができる現場完結型の3Dレーザースキャナーです。同機器の導入により利用者は、今まで測量にかかっていた多くの作業を現場で完結させることが可能になり、大幅な時間短縮と効率化を実現します。

同機器の特徴には以下の2つが挙げられます。

誰でも扱えるシンプルなワークフロー

画像引用元:https://www.trimble.com/

従来、3Dスキャナーの使用には専門的な技術が必要であると同時に、観測地点であるターゲットの設置が必要でした。しかし、TrimbleX7は独自のソフトウェアであるTrimble Perspectiveを搭載したコントローラー1つで、専門の技術を有していない作業員でも測量を即時に行うことが出来ます。また、同機器は高精度な自動整準により観測地点であるターゲットを設置せずとも測量を行えるため、より効率的に測量作業を行うことが出来ます。

スピーディーなデータ処理

画像引用元:https://www.trimble.com/

従来の3Dスキャナーによる測量では、測量データの解析にオフィスソフト使う必要があったため、実際に測量してから実用に至るまで大きなタイムラグが生じていました。ですが、Trimble Perspectiveでは測量したデータをタブレット端末上でリアルタイム処理を行うので、即座に現場で合成された点群データを確認することが出来ます。

こうすることで観測漏れや点密度の確認を現場にてチェックすることが可能になり、オフィスと現場を何度も行き来するコストがなくなりました。さらに、3Dスキャナーを使用するハードルも大きく下げたことで、携わることのできる人員の確保も容易になったと言えます。

ヘルメット一体型デバイスTrimbleXR10

画像引用元:https://www.trimble.com/

同社からは作業員に装着して使用するタイプの製品も豊富。その中の一つがMixed RealityデバイスTrimbleXR10です。TrimbleXR10Microsoft社の最先端Mixed Realityデバイス、Microsoft HoloLens 2をベースに同社が開発したヘルメット一体型デバイス。同デバイスは3次元のBIMモデルを現実空間へ重畳する事で、2Dの図面では確認できなかった情報を3次元的に視覚化することができます。同デバイスの運用にはクラウド型3Dモデル運用サービスTrimble Connect for HoloLens(TCH)が使用され、3D設計データをクラウドに上げると自動でモデリングデータに変換されます。

TrimbleXR10の機能の中で特徴的な機能には以下の2つが挙げられます。

設計データと現場の干渉確認

画像引用元:https://www.trimble.com/

施工前や施工途中にTrimbleXR10で3D設計モデルと現場を照らし合わせて確認す事によって、進捗状況の確認や施工ミスがないかなどを視覚的に確認する事が出来ます。更に、施工予定の躯体や配管などを既存の構造物と3Dモデルを照らし合わせながら見ることで、相互に干渉しないかの確認作業が省力化できます。

このように、同デバイスを活用する事によって、利用者は3D設計モデルと現場を視覚的に照らし合わせた直感的で正確な現場管理を可能にし、作業を効率化することが出来ます。

オンタイムでの正確な情報共有

画像引用元:https://www.trimble.com/

TrimbleXR10を介してピックアップされた現場の情報はTrimbleXR10を通じてクラウドに上げることができます。その際にタスクの期限や詳細の追加、作業員やオフィススタッフの中からメンバーを選択し共有することができ、必要なメンバーとオンタイムで情報をやり取りすることを可能にしています。
また、離れた場所にいても、Trimble XR10を装着することで現場作業員と視界を共有することも。そのため、スタッフはオフィスにいながら、同じ映像を共有した状態で手順の確認・指示を効率的に進めることが出来ます。

新登場の無人3D測量ロボットSpot

画像引用元:https://www.trimble.com/

そして、本記事の目玉でもある機器がこちら、4速歩行測定ロボットのSpot。SpotはTrimbleとロボット工学会社BostonDynamics(ボストンダイナミックス)が提携し開発した4速歩行測定ロボットです。同ロボットはBostonDynamicsが展開する4足歩行ロボットSpotをベースに、Trimble製のGNSS受信機Trimble SP986、先述した3DレーザースキャナーTrimbleX7を搭載したものです。

SpotはTrimble Field Linkレイアウトソフトウェアを介して制御が可能であり、自動運転で現場のスキャン測定を実行。無人のまま移動を続け、現場の正確な3Dモデリングを完成させていきます。そして、収集された測量データは自動的にTrimbleのクラウドプラットフォームにて保存され、その後の建設計画などに役立てられることになります。

Spotは高い機動力を備えており、地理的に過酷な状況においてもGNSS受信機の位置情報を元に正確な現場測定を行うことが可能です。また、測定の予約を現場作業が終了した夜間などに設定しておく事によって、翌日の出勤の際に測量データを受け取るなど、活用の仕方はさまざまです。

また、同機器は2019年11月のリリース以降大きな注目を集めており、2020年5月にはアメリカの大手建設会社Hensel Phelps(ヘンゼルフェルプス)が主導する、デンバー国際空港拡張プロジェクトに導入された実績を持ちます。

このようにSpotを利用する事で、作業員は効率的にに測量を行うことが可能な上、危険な作業からも解放されます。労働力不足が嘆かれる建設業会において、安全性の担保された現場で安心して働くことができるというのは離職率の低下にもつながり、作業効率化以上のメリットが期待できます。

まとめ

今回は最新のテクノロジーで作業の効率化や安全性の向上を目指す企業Trimbleをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?どの取り組みも、現場の労働力不足解消に大きく貢献するものばかりだったかと思います。また、同社が展開するサービスは今回ご紹介したもの以外にも多岐に及び、同社の今後の展開が注目されます。