2020年からの新型コロナウィルスの感染拡大によって、多くの国が行動制限を講じ
たため、石油・石炭・天然ガスなどのエネルギー資源の需要は大幅に低下。その結果、石油ガス業界は大きな打撃を受け、多くの石油ガス関連企業が業務の縮小や停止を余儀なくされました。
その一方、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーは、その出力が需要の影響をほとんど受けない為、発電における割合を押し上げる結果となり、2020年の再生可能エネルギー導入容量は前年比45%超の伸びを示し、過去最高に達しました。
今回ご紹介するWorkrise(ワークライズ)は、以前に当メディアでご紹介したRigup(リグアップ)を前身とする企業で、高度に熟練した技術を持つ請負業者とエネルギー企業をマッチングするためのプラットフォームの開発運営を行なっています。
Workriseは2014年にアメリカ(オースティン)にて設立されたRigUpを前身とする企業であり、2021年の事業拡大に伴い、社名をRigUpからWorkriseへと変更しています。
社名変更以前は、石油・ガス業界向けのマッチングプラットフォームを展開していました。しかし、風力や太陽光などの再生エネルギーへの需要が高まった事などもあり、2021年からは再生エネルギー・建設・警備業界向けにもマッチングサービス事業を展開しています。
同社は2021年5月、シリーズEラウンドにおいて、アメリカを代表するベンチャーキャピタルAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)や創業100年を超える資産運用会社BaillieGifford(ベイリーギルフォード)から、3億ドル(約343億1,300万円)の資金調達を実施。
また、2019年には評価額10億ドル(約1,065億円)以上となり、ユニコーン企業への仲間入りを果たしています。そして、これまでに同社は計8ラウンドの資金調達で総額7億5250万ドル(約860億6,900万円)の資金調達に成功しています。
それでは、こうして注目を集めるWorkriseが提供するマッチングサービスとは一体どのようなものなのか、早速見ていきましょう。
Workriseが展開するマッチングサービスでは、事業者が請負業者の検索や求人募集・人材管理・支払い・請負業者との連絡などをプラットフォーム上で行う事ができます。
Workriseのマッチングサービスでは、事業者が求人募集や請負業者の検索を行う際に、スキルや所在地、経験歴、特定のキーワードなどの詳細なフィルタリングが可能となっており、プロジェクトのニーズに沿った優秀な人材を効率的に雇う事ができます。加えて、請負業者とはプラットフォーム上で連絡のやりとりを行えるので、シームレスなマッチングが可能。
また、同サービスでは専用のモバイル向けアプリも展開しており、事業者は外出先などで急な人材が必要となった場合にも、ニーズに沿った人材を手軽に雇用する事ができます。
従来は事業者との契約や支払い手続きの際に、面倒な書類のやり取りなどがありましたが、同サービスでは迅速かつシームレスな手続きを実現。
・契約
請負業者と事業者がマッチングした後は、上記画像の様な始日・場所・賃金率が記された契約フォームが請負業者へと送信されるので、請負業者は容認を選択するだけで契約が締結されます。
・支払い手続き
請負業者がプラットフォーム上で作成したジョブシートを元に、事業者側との支払い手続きが行われます。ジョブシートの作成は非常に簡単で、フォームに契約先事業者の名前と勤務ロケーション、開始日・終了日を入力するのみとなっています。そして、作成されたジョブシートを取引先事業者へと提出した後、それが事業によって承認されると、最短で翌日に給与の支払いが完了します。
この様なシームレスかつ迅速な手続きは、Workriseが提供するプラットフォーム上で、契約から支払いに至るまでの全ての契約プロセスを一貫して行えるからこそであると言えます。また、請負業者や事業者双方にとって、煩雑な手続きが省力化されることは、業務の大幅な効率化へと繋がります。
充実したサポート&トレーニングプログラムもWorkriseが展開するサービスの魅力の1つです。同サービスでは、24時間年中無休の電話又はチャットによるサポートを請負業と事業者の双方へ提供。同社のサポートはサービスの利用方法などだけではなく、請負業者の労働環境指導や事業者への人員配置アドバイスなど、広範囲をカバーする内容となっています。
実際に、コロナウィルス流行下の建設現場では、従業員の感染が確認された際にWorkriseのオペレーターが主導となり、48時間以内に請負業全員の感染検査を完了するなど、万全のサポートが行われています。このようなコロナウィルス対策は、ヒューストンに本拠を置くデジタルヘルス組織imawareTMと提携する事で実現しています。
また、同サービスには請負業者向けの充実した保険も完備されており、安心して働ける環境が整えられています。一般賠償責任2500万ドル(約28億4,000万円)
Workriseはマッチングサービスだけではなく、技術者の育成にも尽力。昨今、風力や太陽光などの再生エネルギーが急速な発展を遂げている中、それらに対する適切なスキルを持った人材不足が問題となっており、深刻な人材不足はコストの高騰や発展の阻害を引き起こしています。
そして、それらの解決を目指す為、同社では技術者育成のためのトレーニングおよび再トレーニングプログラムを開始。このトレーニングはオンラインやWorkriseが運営する訓練施設にて行われます。
同プログラムによって、再生エネルギー分野の人材が増えていく事は勿論の事ながら、請負業者のキャリアアップにも繋がる事が期待されています。
今回は人材マッチングサービスのWorkriseについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?再生エネルギーの発展が期待される同業界において、効率的な人材のマッチングや労働環境の整備は最重要課題であると言えます。そして、その様な状況の中で、同社が展開するサービスや活動が、より一層の再生エネルギー普及に繋がることが予想されるので、今後の同社の同行には注目です。