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ブロックチェーンを活用し通信環境に左右されない、電気自動車充電ソリューションを提供するXeal

  • 2010年時点で世界の電気自動車保有台数は1000万台を超え、今後もガソリン自動車から電気自動車へのシフトは加速していく
  • Xealは多世帯住宅や商業用不動産をターゲットに安価で導入可能な充電設備を提供
  • 特許出願中技術Apollo(アポロ)はオフライン環境でも認証や決済を可能にする仕組み

はじめに

画像引用元:国際エネルギー機関「電気自動車保有台数 2010-2020」よりContech作成

電気自動車市場は世界的に拡大しています。2020年時点で世界の電気自動車の保有台数は1,000万台を超え、そのうち中国が約50%、欧州が約24%、アメリカが約17%を占めています。アメリカのテスラを筆頭に、多くの自動車メーカーが電気自動車の製造に参入しており、欧州各国では2030年または40年までにガソリン・ディーゼルエンジン車の販売が全面的に禁止されるなどの規制も広がっており、電気自動車市場は今後より加速的に拡大していくことが見込まれます。

電気自動車の普及における最も大きな課題は充電設備の不足です。電気自動車の充電時間はガソリン車に比べて長く、充電器の種類や充電量によっては数時間以上かかる場合があります。さらに電気自動車は充電設備のあるエリアでしか利用できず、長距離移動には充電設備を確保する必要があります。よって充電設備をより手軽に、どんな場所でも利用可能にしていくことが、電気自動車の普及に欠かせないのです。

充電設備の普及には政府や企業による設置の促進が必要であるほか、通信機能を用いることで充電・走行データを追跡・活用していくことが重要となります。そこで今回ご紹介するXeal(シール)は、建設物の改修をほとんど必要とせず、またブロックチェーンを用いてオフライン環境でも。利用データを追跡・活用する機能を備えた電気自動車充電ソリューションを提供しています。一体どのような企業なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

Xealとは

Xealは2019年にアメリカ合衆国カリフォルニア州にて創業、現在ニューヨーク州に本社を置く企業です。アメリカ国内の多世帯住宅や商業用不動産をターゲットに、建設物の改修をほとんど必要とせずに導入可能な電気自動車充電ソリューションを提供しており、2022年末までに10000台の充電ソリューションを展開することを目指しています。

2022年11月にはシリーズBで4000万ドル(約54億6000万円)、2022年12月にデットファイナンスで1000万ドル(約13億6000万円)を調達し、合計調達額を6100万ドル(約83億2000万円)としました。シリーズBの主要株主にはニューヨークを拠点とするベンチャーキャピタル、Keyframe Capital Partnersの他、Alpaca VC、ArcTern Ventures、WIND Ventures、Moderne Ventures、Nexus Lab、個人投資家のRamez Naam氏が参画しており、デットファイナンスはカリフォルニア州のBridge Bankが引受先となっています。

Xealが提供するのはインターネットへの接続なしで利用、支払いが可能な電気自動車充電ソリューションです。このソリューションには特許出願中の技術Apollo(アポロ)が利用されており、場所を選ばず、また通信環境に左右されずに導入することができます。

Xealは銀行のUBS、不動産会社のFriedman Realty Group、不動産投資企業のStonewegと、パートナーシップを結び、電気自動車充電ソリューションの導入促進を進めています。

特許出願中技術「Apollo」とは?

画像引用元:Xeal公式ホームページ

Xealの電気自動車充電ソリューションの最大の特徴は、インターネットがなくても使えるオフラインシステムにあります。この仕組みを支える特許出願中技術「Apollo」とは、通信の際に暗号化されたトークンと分散型台帳技術を使用し、携帯電話と充電設備との間の通信のみで充電に関するデータの信用性を担保する技術です。

このApolloにより、Xealの充電ソリューションは完全にインターネットや中央サーバーなしで動作し、ユーザー認証、アクセス制御、デジタル決済、ソフトウェア更新、リモート診断などのスマート機能を利用することができます。これにより充電設備のプロバイダーはIT、ネットワークインフラの維持管理コストを抑え、ROIを最大化することができるのです。

また、Apolloを搭載したXealの充電ソリューションは、いかなる自動車ブランドのプラグの形状にも対応しているため、電気自動車のドライバーの全てがXealの充電ソリューションへとアクセスすることができます。

モバイルアプリから電気自動車の充電情報を管理

画像引用元:Xeal公式ホームページ

Xealは電気自動車のドライバー向けに、iOSとAndroid向けのモバイルアプリを提供しています。このモバイルアプリでは、電気自動車充電ソリューションの位置情報、充電セッション、エネルギー管理、利用状況等の情報を確認することができます。

このアプリにはApolloが使用されているためインターネットとの接続なしで利用可能なため、ドライバーの周辺環境に依らず、どのような状況でも充電インフラにアクセスすることが可能です。また、充電設備のプロバイダーはユーザーの充電情報を常に制御・監視することができます。

まとめ

画像引用元:Xeal公式ホームページ

いかがでしたか?今回は、建設物の改修をほとんど必要とせず、またブロックチェーンを用いた特許出願中技術、Apolloを用いることで、通信不要で利用データを追跡・活用する機能を備えた電気自動車充電ソリューションを提供しているXealをご紹介しました。同社は2022年の資金調達以降、他世帯住宅や道路上の駐車スペースの開発プロジェクトと連携して充電ソリューションの設置数を拡大させています。今後どのように事業を展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。