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建設工事の入札・調達管理プラットフォーム「BuildingConnected」をCADメーカーAutodeskが買収。設計から建設領域の一気通貫の工事ワークフローを目指す。

  • Autodeskが「BuildingConnected」というスタートアップ会社を2億7,500万米ドル(約300億円)で買収
  • BuildingConnectedは建設プロジェクトの入札管理やリスク分析など、施行準備段階での利用できるソリューションを提供。
  • BuildingConnectedが目指すのは、データ管理による工事業務の下準備の効率化である。

はじめに

2018年12月20日、Autodesk(オートデスク)がアメリカのConTech スタートアップ BuildingConnectedへの2億7,500万米ドル(約300億円)で買収を発表しました。世界的ソフトウェア会社による大型買収。

この記事ではBuildingConnectedとはどのような会社か、その全容に迫っていきます。

建設工事の入札・調達管理プラットフォーム「BuildingConnected」とは

BuildingConnectedは、アメリカ合衆国サンフランシスコに本社を置き、長年変化のなかった建設業界に変革をもたらしているスタートアップ会社です。創業者でCEOのDustinDevan氏は2012年に6年間勤めていたゼネコンをやめ、BuildingConnectedを創設しました。

DustinDevan氏は効率性の低い建設業界において、入札プロセスが一定の基準で統合される必要性を感じていました。

従来の建設作業の下準備では、名刺や紙資料から1件1件連絡するなどの多大な時間と工数がかかっていました。入札管理プラットホーム「Bid Board Pro」の構築により、建設業におけるプロセスの単純化を可能としたのです。

「Bid Board Pro」では、簡単に入札を行うことができ、一目で入札の金額や時間などの状況がわかるように表示されています。また、表示されている業者のページを開くことでより詳細の情報を入手できます。

このシステムにより、Bid Board Proユーザーは無料ユーザーの約2.3倍の入札数を得ていることがわかっています。

また、連携しているスケジュールアプリを利用することで、入札期限や新着状況などを見逃さないようにすることが可能です。また、アプリ上で管理されていることで、会社全体で把握することができ、仕事の効率化にもつながります。

現在、BuildingConnectedは、70万人以上の建設専門家のネットワークを構築しており、不動産所有者やゼネコン業者が請負業者を見つけることを助けています。全米TOP20ゼネコンのうち13が顧客になっています。

下請け業者のリスク分析する「TradeTapp」

AutodeskにBuildingConnectedが買収される直前に、BuildingConnected自身がプロジェクトリスクを分析する「Trade Tapp」を買収しています。

下請け業者の選定が悪いと工程に問題が発生し、多くの損失を生みます。Trade Tapp(トレードタップ)は請負業者が下請け業者を選定する際に、効率的に精査し、業者のリスクを分析した上で入札させることが可能です。

この機能が、BuildingConnectedと統合されることで、工事の下準備プロセスにおいてより安全性を高めることが可能になります。

なぜAutodeskはBuildingConnectedを買収したのか

AutodeskはCADソフトウェアとして最大手ですが、建設業界のフローをみると、CADが使用される設計分野は一部になります。そこで、建設業の設計から構築、運用といった一連の流れの中を自社に取り組むことを目的としています。

AutodeskのCEO、Andrew Anagnost氏は下記のようにプレスリリースで語っています。

建設ワークフローのデジタル化と自動化に投資していきます。Autodeskは設計だけでなく、構築、運用を横断で結びつけることを目標としています。BuildingConnected、Autodesk BIM 360、Revit、AutoCAD、およびPlanGridとAssemble Systemsの買収とサービスの統合により、包括的な建設サービスを市場に提供し次の10億ドル規模の事業を構築していきます。

同様に建設現場でのクラウド化ツールPlan Gridも買収しています。
世界的CADメーカーAutodeskが買収! PlanGridが目指す建設現場におけるクラウド化

まとめ

ConTech分野では、Autodeskが建設バリューチェーンを抑えるために活発に買収を繰り広げています。

生産性の低い業界といわれる建設業ですが、デジタルシフトはますます進んでいくことでしょう。現在、米国を中心に大きく動いていますが、今後日本においても同様の動きが起こることは間違いないでしょう。