世界的CADメーカーAutodeskが買収! PlanGridが目指す建設現場におけるクラウド化

海外事例

  • サンフランシスコのPlanGridというスタートアップ企業がAutodesk社より8億7500万ドル(約989億円)で買収に合意。
  • PlanGridは施工図面のデジタル化による建設現場の効率化を目指している。
  • PlanGridが目指すのは、デジタル化による「建築生産の変革」である。

はじめに

2018年11月20日、Autodesk(オートデスク)がアメリカの建設スタートアップPlanGridへの8億7500万ドルでの買収を発表しました。建設業界注目の大型買収。この記事ではPlanGridとはどのような会社か、その全容に迫っていきます。

PlanGrid(プラングリッド)とは

2011年、PlanGridは、女性の建設エンジニアTracy Youngらによって設立されました。建築工学管理学 学士号を持ち、建設技術者としてそれまで働いていた彼女は、建設プロセスにおける書類の多さとそれによって生じる作業の煩雑さに課題意識を持ちました。

そして、当時発表されたApple社のiPadに図面を表示させることを構想します。当時C向け(消費者向け)に発売されたiPadに初期から目をつけて建設に持ち込んだことは彼女の先見の明といえるでしょう。

そして彼女が立ち上げたPlanGridは多くの建設現場で、ゼネコン、下請け業者、オーナーがプロジェクトの作業をリアルタイムに共有することを支援するツールです。
プロエジェクト計画、進捗写真、現場報告など様々な様々な情報にアクセスできます。

こちらがPlanGridの紹介ムービーです。

非常にイメージが分かりやすいのではないでしょうか?
建設現場でiPadを持った作業員が移動する姿が印象的です。まさに今の日本の建築現場のイメージよりも未来のようにみえるのではないでしょうか。

建設現場では大量の図面を扱うことになります。それにより生じる労働者の時間的なコストは膨大です。
PlanGridはクラウドによってこれらの煩雑さを一気に解消しました。
PlanGridは現在、従業員400名、顧客12,000名、有料ユーザー12万人を抱え、世界中の100万以上の建設プロジェクトで使用されています。

AutodeskがPlanGridを買収した理由

Autodeskはなぜ大型の買収に乗り出したのか。これにはAutodeskが目指す建設の効率化の未来があります。

AutodeskはAutodesk RevitというBIM(Building Information Model)ソフトウェア、Autodesk BIM 360という統合プラットフォームの開発を行ってきました。

これは簡単に言えば、建設のプロセスにおけるあらゆる情報(建物に用いられる部材の種類、個数など)を全てコンピュータ上の建物の3Dモデルに格納することで建設プロセスを効率化するものです。
Autodeskはこれらの仕組みとPlan Gridの現場情報のデジタル化を連動させることによってより効率的な建設現場を目指したと思われます。

また、買収の理由の一つとなったのがPlanGridが提供するシンプルで美しいインターフェースです。
見た目の美しさだけでなく、建設工程の多くの分業に対応するため作業過程での変更を即座に全員の端末に同期することができる点が大きな強みです。また施工現場の状況をワンタップで撮影できるなど機能の充実も魅力的です。

日本における建築現場のクラウド化

建築現場のクラウド化はについては兼ねてから注目されている分野でしたが、なかなか日本においては普及が追いついていませんでしたら。
最近の建築テックの盛り上がりにより日本でも、スタートアップが登場しています。

ANDPAD(アンドパッド)
https://andpad.jp/

Photoruction(フォトラクション)
https://www.photoruction.com/

まとめ

今回、巨額で買収されたPlanGridですが、世界の建築市場規模は約1300兆円と言われており、まだまだ生産性向上の余地が多くあります。今後も、効率化、クラウド化の流れは多く見られていくことでしょう。