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ロフトの什器にも採用!DUS architectsのエコな3Dプリント技術!

・3Dプリント技術は、環境負荷が大きいという指摘が強まってきている
・DUS architectsは、リサイクル可能なバイオプラスチックの開発に成功
・3Dプリントを用いた様々なプロジェクトを主導する注目の企業

はじめに

3Dプリント技術は、開発・制作過程のコスト削減や24時間のフル稼働、自由度の高い造形など、製造業を激変させる技術として大きく取り上げられてきました。一方で、プラスチックを大量に使用するこの技術は環境負荷が大きいのではという指摘も強まってきています。今回ご紹介する「DUS architects (ダズ・アーキテクツ)」は、こうした環境問題を解決しながら、3Dプリント技術を用いて様々なプロジェクトに挑戦しています。では、3Dプリント技術で今何ができるのか、早速見ていきたいと思います。

DUS architects って?

画像引用元:https://houseofdus.com/#project-kamermaker

DUS architects(ダズ・アーキテクツ)は2004年、ハンス・バーミューレン、ヘドウィグハインズマン、マルティーヌデウィットの3人によって設立されたオランダの建築デザイン会社です。3Dプリントで製造業に革命を起こすという彼らには、大きな特徴が2つあります。

1つ目は独自のプリンター。KamerMakerという2.2m四方、3.5mの高さと個室サイズほどの大きさの3Dプリンターは、なんと持ち運んで使うことのできる移動式。プリンターと同じ大きさのモノまで出力できるので、パーツごとに作れば、その場で住居を作り出すことも可能ですこのようにポータブルかつ大規模な3Dプリンターは、世界的にも類を見ません。

2つ目は素材。従来、3Dプリントに用いられるプラスチックはゴミになった際、分解されないものとして、環境への影響が指摘されてきました。そこで同社は、世界最大の接着剤メーカー「Henkel(ヘンケル)」と数年をかけ、リサイクル可能なバイオプラスチックを開発。そして完成した素材は、一度作品として組み上げたものを再びチップに戻して100%再利用できるのだそう。

 では、それらの技術を用いてDUS architectsがどのようなプロジェクトに取り組んでいるのか、その一部をご紹介します。

文化と技術を学ぶCanal House Living Lab

画像引用元:https://houseofdus.com/#project-3d-print-canal-house

DUS architectsが主導するプロジェクトの一つに「Canal House Living Lab」があります。オランダの伝統的な住居であるカナルハウスを、3Dプリンタを用いてフルサイズで再現しようというこちらの試み。25を超えるパートナーとの共同研究により、国際的に高い評価を受けています。

オランダ・アムステルダムは400年の歴史を誇る環状運河地区で知られており、100kmを超える運河が張り巡らされています。その運河沿いにそびえ立つカナルハウスはまさに伝統的なシンボルなのです。つまり、同伝統的な住居と最新のテクノロジーの融合こそが、このプロジェクトの大きな見所だと言えます。

3Dプリントカナルハウスの内部 画像引用元:https://houseofdus.com/#project-3d-print-canal-house

また、「Canal House Living Lab」は予約制で一般公開されており、3Dプリンターが一層ずつ積み上げていく様子を、来場者は見ることができるのです。伝統的な住居に触れながら、最新技術を目の当たりにすることができる、建設現場をそんな学びの場として使っている点こそが、「Canal House Living Lab」最大の魅力なのです。

たった8つのパーツで家が建つ!3D Printed Urban Cabin

画像提供元:https://houseofdus.com/project/urban-cabin/

突然ですが、皆さんはタイニーハウスという言葉をご存知でしょうか。定義は様々あるようですが、大体は20㎡四方以下の、小さな家を指します。タイニーハウスに住んで最低限のものだけで生活するというミニマルなライフスタイルがオランダなどで人気を集めているのですが、DUS architectsはこれを3Dプリントによって建設しています。

それがこの「3D Printed Urban Cabin」。たった8つのパーツから構成され、室内面積わずか8㎡のタイニーハウスです。変わった形をしていますが、黒一色でありながら微妙な凹凸によって作り出されている美しいパターンや、入り口のステップ部分に流し込まれた環境に優しいエココンクリートなど、最小限の設置面積でありながら様々なこだわりが詰まっています。

画像提供元:https://houseofdus.com/project/urban-cabin/

しかし、まだ実用化には至っておらず、現在はDUS本社の敷地内に設置されているのみとのこと。実用化すれば、手軽で安く、環境にも良い住居を提供することが可能になり、災害時の仮設住居などとしても活躍することが期待されています。

銀座ロフトの店舗什器!日本工芸とのコラボも

画像提供元:https://houseofdus.com/project/loft-store-tokyo/

DUS architectsの3Dプリント技術は日本でも見ることができます。それが「銀座ロフト」の店舗什器。4フロアにわたる広大な店舗は、ロフトの中でもフラッグシップストアになる大型店です。店舗デザインを手がけたスキーマ建築計画の長坂氏がDUS architectsに「新しい3Dプリント家具を」という言葉で店鋪什器を依頼しました。

画像提供元:https://houseofdus.com/project/loft-store-tokyo/

こちらは3Dプリントで作られたペン専用のディスプレイラック。商品が映えるよう、実際のロフトの商品に合わせたオーダーメイド什器になっています。全体には薄く金属の彫り込みがしてあり、静止している商品に動きを出す役を担っています。

画像提供元:https://houseofdus.com/project/loft-store-tokyo/

DUS architectsは、店舗什器にも日本の伝統工芸品的なユニークさを出したいと考え、デザインを進めていきました。その結果生まれたのがこちらのカウンター。日本の和紙から着想を得て、しなやかな層がデザインされています。白い空間に対照的な真っ黒なデザインは、ジュースサーバーの実演販売をとても特別な空間に感じさせてくれます。

まとめ

オーダーメイドの新しい住宅ソリューションを、世界中に提供することを目標とするDUS architects。その技術は住宅のみならず、什器や公共建設などに大いに役立てられています。建設における常識を変えつつあるこの技術は、技術や環境の問題を少しずつクリアし、我々の生活に近づいてきています。DUS architectsの今後から目が離せません。