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住宅メンテナンスもサブスクで!戸建て住宅管理サービスをワンストップで提供するHumming Homes

  • 2022年度の全世界の不動産管理サービス市場規模は193億3000万ドルで、2029年度までに372億5000万ドルへと成長
  • Humming Homesは住宅管理の専門業者マッチングサービスをサブスクリプションで提供
  • Humming Homesは専属コーディネーターによる住宅管理の支援サービスも実装

はじめに

画像引用元:Humming Homes 公式Twitter

2022年度の全世界の不動産管理サービス市場規模は193億3000万ドルであり、2029年度までに372億5000万ドルへと成長することが予測されています。これはCAGR(年平均成長率)にして10%弱という高水準となります。ワークフローの自動化や手作業、手入力による仕事を減らしていくことでオペレーションを最適化したいと考えている企業や消費者にとって、SaaS(Software as a Service)やCloud(クラウド)ベースのソフトウェア関連製品への需要は高く、こうした需要が不動産管理サービス市場の成長を牽引しています(注)。

この不動産管理サービス市場の一角を占めるのが、消費者向けの住宅管理サービスです。全米不動産協会によると、2020年から2021年にかけての戸建て持ち家購入の40%は40歳以下の人々によるものとなっています。この世代はテクノロジーに精通していますが、これまで賃貸に住んでいた人が初めて家を購入するため、住宅の管理や修繕のために何をいつすべきか、どの業者が信頼できるか、いくらかかるかといったことをすぐに知ることができる専門知識もありません。そこで、以上の顧客層がアクセスしやすく住宅管理に関わる作業を効率化する仕組みが求められているといえるでしょう。

今回ご紹介するHumming Homes(ハミング ホームズ)は、特に初めて戸建て住宅を購入する層を対象に住宅管理をサポートするサービスをワンストップで提供しています。いったいどのような企業なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

(注)FORTUNE BUSINESS INSIDER “Property Management Market Size, Share & COVID-19 Impact Analysis, By Component (Software as a Services), By Deployment (Cloud and on-Premises), By Application (Residential and Commercial), By End-User (Property Managers, Housing Associations, Real Estate Agents, and Others), and Regional Forecast, 2022-2029”

住宅管理サービスをサブスクリプションで提供するHumming Homesとは?

画像引用元:Humming Homes 公式Medium

Humming Homesは2020年にアメリカ合衆国のニューヨークにて創業された企業で、郊外の戸建て住宅所有者を対象に、専門業者をマッチングする住宅管理ソリューションをサブスクリプション(月額)方式で提供しています。

2021年10月にはインターネット企業を中心に投資事業を展開するGreycroft(グレイクロフト)を筆頭株主としてシードラウンドにて560万ドル(約7億8600万円)を調達し、合計調達額を810万ドル(約11億3800万円)としました。今回の資金調達にはニューヨークのテクノロジー関連企業を中心に投資事業を展開するAlleyCorpの他、Thrive Capital、Sound Ventures、New Valley Ventures、Abby Miller Levyが参画しています。

2022年7月にはフロリダ州マイアミでの展開を開始し、ハンプトンズ(ニューヨーク州)、ウエストチェスター郡(同)、フェアフィールド郡(コネチカット州)、南フロリダ(マイアミ&パームビーチ)の5つの市場で事業を展開しています。現在の顧客規模は数百戸で、住宅価値にして約5億ドル(約703億円)を管理しています。

Humming Homesが主要顧客とするのは、5万ドル以上の戸建て購入者を対象とした「マスアフルエント」層です。Humming Homesの共同設立者兼CEOであるAdeel Mallick(アデエル マリック)氏は、「米国の平均的な住宅所有者は、毎年住宅価格の1〜2%をメンテナンスと改良に費やしている。Humming Homesのターゲット層は米国の全住宅のわずか10%だが、住宅サービス市場における支出全体の50%近くを占めている」と述べています。

住宅所有者と業者をマッチングするオンラインマーケットプレイス

画像引用元:Humming Homes公式ホームページ

信頼できる業者を見つけるのは大変なことです。特に新しい住宅所有者にとっては、スケジュール、調整、価格比較、仕事の質の測定など、業者の管理は手間がかかるプロセスです。そこでHumming Homesは、審査を通じて選定した信頼できる業者のネットワークを構築しています。

業者の例としては、造園、プール管理、電気工事、空調設備、家事代行、清掃サービス、インテリアデザイン、煙突掃除などがあり、ホームコーディネーターは24時間年中無休で対応しています。業者はHumming Homesに登録することで、Humming Homesを介した顧客との迅速なコミュニケーションや支払いを受けることができます。

Humming Homesのオンラインマーケットプレイスは、一見してThumbtack(サムタック)Angi(アンジー)のようなサービスと似ていますが、Humming Homesの強みは業者のマッチングを積極的にナビゲートし、スケジュールの調整や価格比較、仕事の質を担保する「ホームコーディネーター」の仕組みにあります。

Humming Homesのホームコーディネーター

画像引用元:Humming Homes 公式App Store

Humming Homesは基本料金月額250ドル(約35000円、地域や住宅規模によって変動)で、住宅所有者向けに以下のサービスを提供しています。

ホームコーディネーターによる住宅管理のサポート

Humming Homesのホームコーディネーターが、Humming Homesによる審査をクリアした業者をマッチングし、手配を行います。定期的なメンテナンスや居住者が留守の際の対応も可能です。ホームコーディネーターは住宅の規模やこれまでの住宅管理のデータに基づき、今後の管理計画をカスタマイズすることもできます。また、業者の詳細な比較表をExcelで作成したり、それぞれのプロジェクトにどれくらいの費用がかかるかをあらかじめ比較検討することができます。

アプリによる情報の一元管理

過去の住宅管理情報はアプリの「ダッシュボード」に一元管理されています。この機能には、過去のプロジェクトの詳細、請求書、今後のプロジェクトの発注状況、ホームコーディネーターとのチャット、今後の作業提案などが含まれています。

まとめ

画像引用元:Humming Homes公式ホームページ

いかがでしたか?今回は、一戸建て住宅所有者を対象に、専門の業者をマッチングする住宅管理ソリューションをサブスクリプション(月額)方式で提供するHumming Homesをご紹介しました。Humming Homesの強みは、住宅所有者と業者をマッチングするオンラインマーケットプレイス、及びマッチングや住宅管理全体を支援するホームコーディネーターによるサービスを提供しています。テクノロジーに人的支援を掛け合わせることで独自の価値を生み出しているといえるでしょう。同社は今後どのように展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。