目的の資材をいかに早く安くしかも高品質に手に入れるかで、建設現場での作業スピードは大いに左右される。その効率化を最大限まで可能にしてくれるのが、アプリを用いて注文からたった2時間で資材が届く仕組みを実現させたカナダのスタートアップRenoRunである。
RenoRunは資材購入を効率化させ、より効率的な作業現場つくることを目的としおり、本記事ではその発想と提供するソリューションに注目して紹介します。
RenoRunは2016年に設立され、カナダのモントリオールに本社を置き、トロントとテキサス州オースティンにオフィスを構えています。シリーズAの資金調達では、Inovia CapitalとObvious Venturesが共同で主催し、ScaleUp Ventures、Real Ventures、Maple VC、Silicon Valley Bankが参加した中で、2,250万カナダドル(約18.5億円)を調達した。
同社は注文からたった2時間で資材が届く仕組みを提供しており、現在アプリを通して5万点もの建築資材が購入できます。RenoRunによると過去12か月で顧客増加率は300%を超えており、従業員数は過去10ヶ月で7人から90人に増加したとのこと。
RenoRunのCEO兼創設者であるEamonn O’Rourke氏は、次のように述べている。
「材料を使い果たすと、建設工程に影響するだけでなく、誰かがさらに木材、乾式壁、または他の材料を買いに行かなければならない。この古くからある問題を解決するためににRenoRunを開発した。目標は、作業員が時間通りに効率的に勤務を終了できるようにすることであり、それがまさに私たちが行っていることです。」
計画的またはジャストインタイムの建築資材および資材を計画、調達、および納品することにより、請負業者の時間と費用を節約します。手順としてはAppleまたはAndroid用のRenoRunアプリを使用して注文していく。ユーザーは、RenoRunカタログの5万点の製品から選択するか、「カスタムオーダー」機能を使用して、RenoRunサービスエリア内から無数の製品を選択する事もできる。RenoRunカタログのアイテムの価格は地域店舗との幅広いパートナーシップにより強い競争力がある。
従来の現場において、必要なものをすべて手に入れるために作業員は1回の材料調達で複数の販売店に出向かなければならず、その都度時間とお金の浪費を招いていた。RenoRunのサービスを用いる事で、作業員は短時間に複数サプライヤーから提供される資材を一回の配達で完了できる。つまり「現場に作業員を留まらせる」ことで生産性の最大化へと繋がる。
RenoRunはアプリから各現場における資材の注文状況をデータとして大量に保有している。こちらは従来は顕在化していなかったものであるため、そのデータを活用し必要な建材の提案する、今後は事前の建設計画を共有することでタイミングで資材をジャストインタイムで配送するなどといった活用が可能になる。
RenoRunのドライバーは会社に直接雇用されており、潜在的に危険な現場に材料を配達する際の安全性を観察・管理するためのトレーニングや、高品質の材料を選択するための訓練も受けている。また、車両に収まるあらゆるアイテムを配送し、最大18フィート、最大3500ポンドの製品を収容し、最低注文なしで60ドルの定額料金で提供する。
RenoRunカタログからのアイテムは2時間以内に配信され、カスタムオーダーは注文が行われた時間に応じて4時間以内または同日以内に配信されるが、ユーザーは事前に配信をスケジュールすることもできる。
RenoRunをより一般的なオンラインコマースと区別するのは、建設業界に関する知識と集中力といえる。同社の創業者は全員、建設業界で活躍してきた背景を持つ。彼らの大事にする根本的な価値観として、請負業者へ優れた経験を提供し信頼性を時代に最適な方式で築き上げる事により、住宅建設およびリフォーム業界でまったく新しい業種となり得るだろう。例えば彼らは毎回のデリバリーで現場のクルーへ無料コーヒーも一緒に届けている!
日本の建設・建築業界においても人手不足が深刻な問題となっており、いかにITを用いて生産性を上げるかが議論されている。現在、現場の業務効率化については、図面や工程表、仕様書などの共有などを目的とした現場とのコミュニケーションツールが注目されつつある。
日本においてオンラインで建築資材を注文可能なサービスとしてMonotaro(モノタロウ)が挙げられる。2000年に住友商事と米国グレンジャーインターナショナルが共同で出資した会社で、間接資材調達をオンラインで実施することを目的に事業開始し、当初は製造業を中心に製造機器の部品を販売から開始されている。2011年には健在販売の新会社も設立しており、現在の顧客の19%が建設工事業となっている。RenoRunのような2時間宅配は行っていないが、独自の配送センターをもち現場などに直接配達するサービスなども実施している。
Monotaroは2019年度12月末(計画)では、登録業者数408万事業者、売上1300億、利益率28.6%という高い成長をみせている。
Monotaroが成長著しい中、富士経済の調査によると住宅設備・建材の市場規模は2018年6兆199億円だったものが、2030年には5兆4175億円へと縮小に転じると言われている。原因としては2020年度以降は、新設住宅着工戸数の減少が見込まれる。
日本のスタートアップでも、建材比較サービスtrussなどは、建材の多様化に対して未だに紙カタログでチェックせざるおえない業界慣習に着目して、横断比較できるサービスを開発し成長している。
RenoRunが短納期のコンセプトを建設業界に適用し、ゼネコン請負業者のコミュニティへ影響を及ぼしているように、一つのサービスが業界全体を再定義する機能を備えている。
資材購入配送に革命をもたらしたRenoRunは今後北米への進出を予定しており、さらなる大きな市場で真価がとわれるようになっていくだろう。