スペイン発の建設DX!CO2を50%削減し工期短縮を実現する「011h」とは

画像引用元:EU-Startups公式ホームページ
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  • 建設プロセスおよび建物のライフサイクルから排出されるCO2は全排出量の38%を占め、建設分野における環境配慮の要請が高まっている
  • スペイン・バルセロナを拠点とするスタートアップ011hは、住宅建設プロセスおよび建物の省エネルギー化を進める建設管理プラットフォームを展開
  • 建設プロセスにおいては環境配慮建材、設計の効率化、モジュール化を促進、完成建物も省エネルギー化を達成し、建設産業の環境性能の向上に貢献

はじめに

画像引用元:011h公式ホームページ

建設産業および建物は、世界全体でのエネルギー消費量の35%を占め、またCO2排出量の38%を占めています。パリ協定で定められた2050年度のネットゼロ(温室効果ガスの排出量と吸収・削減量を差し引きゼロにする)の目標達成に向け、建設分野における取り組みが強く求められています。

そこで今回ご紹介するのは、スペインのバルセロナを拠点に建設プロセスや住宅設計における徹底した環境配慮をサポートする建設管理ソリューションを展開する011hです。一体どのような企業なのでしょうか。詳しくみていきましょう。

建設管理ソリューション 011hとは?


011hは2020年にスペイン・バルセロナに創業された環境配慮型の建設管理ソリューションを展開するスタートアップです。2025年10月10日に約2,000万ユーロ(約36億2000万円)の資金調達を実施し、脱炭素・工業化建設(Industrialised Construction)プラットフォームとして急成長を遂げています。最新の資金調達ラウンドはリード投資家としてはShip2B Venturesと、スペインの公的研究開発機関CDTI(Centro para el Desarrollo Tecnológico e la Innovación)が参画。加えて既存投資家としてSeaya VenturesBreegaSicarが継続参加しています。

011hは伝統的な建設プロセスが持つ「設計・生産・施工の分断」「材料サプライチェーンの非効率」「高炭素排出」という課題に着目し、これを「素材から施工までをワンストップ化」「デジタルプラットフォームによる流通と工程統合」「低炭素構法の普及」という形で改革しようとしています。具体的には、エンジニアドウッド(集成材)、軽金属構造、プレファブ・コンクリートといった複数構法・複数素材を柔軟に組み合わせることで、設計段階から工場生産化・現場施工に至るまで時間・コスト・CO₂排出を同時に削減するモデルを確立しています。

建設現場を変える011hの3つのソリューション

画像引用元:011h公式ホームページ

同社のソリューションは、大きく三つの柱で成り立っています。
第一に、プレハブ部品(マスティンバー壁・床、構造用木質部材、金属・コンクリート併用構造など)を工場で生産し、現場組み立て型の建築方式を採用する点です。これにより品質が制御され、工期が短縮されるだけでなく、CO₂排出量を従来比で50%以上軽減するという実績も提示されています。

第二に、供給チェーンおよび部材調達のデジタル化です。011hはサプライヤー・ポータル、デザイナー用プラグイン、建築統合ダッシュボードといった専用ツールを自社開発し、設計段階から部材仕様・コスト・納期・持続可能性指標をリアルタイムに把握できる環境を整えています。これにより、設計・調達・施工の分断をなくし、意思決定の迅速化・リスク低減・透明性向上が実現されています。

第三に「スケーラブルな多世帯住宅」を念頭に置いた事業モデルです。011hは一般市場向け・低価格住宅向け問わず、多世帯住宅プロジェクトを対象に展開しており、高品質・省メンテナンス・エネルギー効率20 %向上などを特徴としています。

建設設計時にコストとCO2を把握するRevitのプラグイン

画像引用元:011h公式ホームページ

011hでは、設計段階から施工・調達を一気通貫に可視化・制御するデジタルプラットフォームを構築しており、その中核に「Designer Toolkit」と呼ばれるRevit用プラグインがあります。公式サイトによると、このプラグインは設計者に対して、あらかじめモジュール化された建築部材ライブラリ(マスティンバー壁・床、GLT構造、金属・コンクリート併用部材など)をRevit環境内に統合し、使いやすい形で提供しています。

この仕組みによって、設計者は「部材仕様・コスト・納期・持続可能性(LCAデータ)・施工性」などの情報を、設計モデル上でリアルタイムに取得できるようになります。たとえば、ある壁構成を選択すると、その部材の調達可能性と納期、CO₂排出量の見込みが即時に表示されるといった体験が設計フェーズで可能になります。つまるところ、設計と調達・施工の分断をなくし、「早期の意思決定」「仕様確定」「コスト圧縮」「リスク低減」を実現することが目的です。

さらに、011hのプラットフォームではRevitで設計されたモデルがそのまま製造・現場組立フェーズにも連携されます。具体的には、設計データがサプライヤー・ポータルおよび施工ダッシュボードに流れ、部材の発注・工場生産・物流・現場施工までのワークフローがデジタルにトレースされます。公式サイトでは「BUILD-HUB of suppliers」「Design to Buildをリアルタイムに繋ぐ」ことを掲げており、Revitプラグインはこの流れを支える入口という位置づけです。

011hの活用事例

画像引用元:011h公式ホームページ

スペイン・アリカンテ県サン・フアン・デ・アリカンテ(Calle Pedagoga Amelia Asensi Beviá, 03550)に位置する「Fioresta」は、011h が AEDAS Homes と協働して展開している集合住宅プロジェクトです。本プロジェクトは2棟構成、51戸の規模で、軽量木質構造を中心とした建築方式を採用しています。

建築面積は約5,930 m²で、従来工法に比して工期を4か月超短縮しており、木材構造による低炭素設計の成果が明確に示されています。特に、ライフサイクルアセスメント(A1‐5段階)において、CO₂排出量が約 337.85 kg/m²に抑えられており、一般的な集合住宅の700-800 kg/m²に比べて半分以下の水準を達成しています。また、エネルギー効率および持続可能性認証も重視されており、AEDASの「Ecoliving」認証において最高レベル(AA)を取得しました。

この他にも011hは、バルセロナ近郊において「Life Habitat」プロジェクト(8戸)、アリカンテ州「Fioresta」(51戸)、バルセロナ市北部「Casernes」(56戸)などのプロジェクトを竣工。これらでは認定木材を用いており、それぞれ1,000トン以上、2,000トン規模のCO₂削減の実績があります。

まとめ

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いかがでしたか?今回は環境配慮型住宅の建設プロセスを支援する建設管理プラットフォームの011hをご紹介しました。同社は「脱炭素建設」+「デジタルワークフロー」+「工業化住宅」という三つの柱を備えたソリューションを展開し、伝統的建設産業が抱える非効率・高CO₂・手作業依存を、素材・設計・施工それぞれの段階で再構築。短納期・低炭素・高品質住宅を提供するモデルを提示しています。同社の今後の展開が注目されます。