家賃支払いから経済的格差に切り込む!? 金融サービスEsusu Financialとは

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海外事例
  • アメリカでは個人の金銭的な信用度を図る数値として、クレジットスコア制度が導入されているが、経済的格差からクレジットスコアを構築できずにいる人々がいる
  • Esusu Financialは家賃支払いによるクレジットスコアの構築を可能にするサービスを展開
  • アメリカ国内の250万戸超の住宅が同社のサービスを利用しており、総リース量(GLV)はアメリカ全体で30億ドル(約3460億円)以上

はじめに

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アメリカには、個人の財務歴を元に金銭に関する信用度を数値化するクレジットスコアという制度があります。クレジットスコアはローン審査や入居審査、就職試験など、多くの場面で個人の信用度を測るためのデータとして活用されます。

そして、クレジットスコアを獲得する上で最も重要なのは、ローンやクレジットカードの返済又は支払いを滞りなく続けていく事です。ですが、そもそもクレジットスコアが無い・低いという場合は、ローンが組めない、クレジットカードが作れないという問題が発生します。

実際に、アメリカ消費者金融保護局の2020年のレポートによると、移民やアフリカ系アメリカ人などの貧困層の4500万人超がクレジットスコアを構築するための手段がない為に、クレジットスコアを持っておらず、経済的に疎外されていると報告されています。

今回ご紹介するEsusu Financialは(エススフィナンシャル)は、従来クレジットスコアの獲得に関係のなかった、家賃支払いによるクレジットスコアの向上や構築を支援するサービスを展開している企業です。

家賃支払いによるクレジットスコアの構築を支援するEsusuFinancialとは?

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Esusu Financialは2016年にアメリカのニューヨークにて設立された企業で、賃貸人の家賃支払いデータを3大信用情報機関(Equifax、TransUnion、Experian)に報告することで賃貸人のクレジットスコアの向上や構築を可能にするサービスをアメリカにて展開しています。

現在、250万戸超の住宅が同社のサービスを利用しており、総リース量(GLV)はアメリカ全体で30億ドル(約3460億円)以上とのこと。また、同社は、全米集合住宅協会(NHMC)のリストにある大手家主の35%と連携しており、提携企業には、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)、Related Companies(リレーティドカンパニーズ)、Starwood Capital Group(スターウッドキャピタルグループ)、Winn Residential(ウィンレシデンタル)などの大手が名を連ねています。

画像引用元:https://jp.techcrunch.com/ 左Samir Goel氏 右Abbey Wemimo氏

CEOであるナイジェリア生まれのアメリカ人Abbey Wemimo(アビー・ウェミモ)氏とインド系アメリカ人のSamir Goel(サミール・ゴエル)氏は移民家庭出身の人物。両氏は移民やアフリカ系アメリカ人が、他の人に比べてクレジットスコアが低いか、クレジットスコアを持っていない為に経済的に不安定な状況にいることを身をもって体験し、同社の設立に至ったとのこと。

2022年1月にはSoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド)がリードするシリーズBラウンドにおいて、1億3000万ドル(約150億円)を調達。このラウンドで評価額は10億ドル(約1150億円)に達し、世界的にも数少ない黒人経営のユニコーン企業として名を連ねました。

それでは、こうして注目を集めるEsusu Financialが展開するサービスとは一体どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

アメリカにおけるクレジットスコアとは?

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前述した通り、クレジットスコアはアメリカにおける個人の金銭的信用度を示す数値で、住所氏名や電話番号などの基本的情報をはじめ、借入金残高、クレジットカード使用状況、返済や支払の状況などの情報が含まれます。

クレジットスコアは一般的にFair Isaac Corp.(フェアアイザック)社が提供するFICOスコアという手法により300~850点の採点が行われ、スコアが高いほどローンが組みやすくなる上、預金金利が高く設定されたり、ローン金利が低く設定されるなど生活に大きな影響を及ぼします。

クレジットスコアを向上させるEsusuFinancialのサービスとは?

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従来、家賃の支払いは高額である上に毎月の支払いにも関わらず、クレジットスコア構築の為の評価には繋がっていませんでした。というのも、家賃の支払い記録をレポートとして、信用調査会社へ提出する術がなかったからです。

そこで、同社では賃借人のクレジットスコア構築を強化するために、プラットフォームに登録した賃借人の期日までの支払データを取得し、信用情報機関(Equifax、TransUnion、Experian)に報告するサービスを提供しています。

同社はサービス利用料として、不動産管理者とオーナーに3500ドル(約40万円)のセットアップ料と1世帯あたり毎月2ドル(約230円)を請求し、入居者(賃借人)には年間契約料として50ドル(約5760円)を請求する事によって、収益を上げています。

入居者側のメリット

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EsusuFinancialのサービスは個人での契約は行えず、サービスを導入している物件に居住することでのみ利用する事が出来ます。入居者は煩雑な手続きを行う必要はなく、入居後にEsusuFinansialのプラットフォーム上で本人確認の為の簡単な情報入力を行うのみとなっています。登録後は家賃の支払いを行うと、不動産管理業者から同社が支払い情報を取得し、レポートを信用情報機関への提出を行います。

同サービスの利用により、入居者は18か月で平均51ポイントのクレジットスコアの向上が見込めるとのこと。また、同社が提供するアプリを利用すると、家賃の支払い状況やクレジットスコアの増減を確認する事ができるなど、付帯サービスにも力を入れています。

オーナー、不動産管理業者のメリット

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同サービスは入居者だけではく、オーナーや不動産管理業者にとっても非常に有益なサービスとなっています。同サービスの導入により、期日までの家賃の支払いが25%増加するとのこと。というのも、期日通りの家賃の支払いがスコア向上のための重要な条件になっており、家賃の延滞はスコア低下の原因となるためです。また、入居者にとっても魅力的な同サービスを導入する事で、新たな入居者の獲得も期待できます。

その他にもオーナーや不動産管理業者に向けて、Esusu RentRiskというサービスも提供しています。こちらは、予測される不動産収入の流れに関するデータを確認できるサービスで、データは入居者の家賃支払い情報を元に作成されます 。

同データでは、入居者の詳細な家賃支払い状況が確認できるだけではなく、過去の支払い状況などを元に導かれた家賃延滞のリスクをスコアとして確認できます。このサービスにより、不動産管理者は、延滞などの恐れがある賃貸人を事前に予測する事が可能になり、賃貸人へのケアを早期に行えます。

家賃救済ローンEsusu Rent Relief Fund

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EsusuFinincialが2020年4月に調査を実施したところ、パンデミックの影響により62%のユーザーが家賃を期限内に支払えないことが判明し、同社は家賃救済ファンドを立ち上げ、クラウドファンディングや非営利のインパクト投資ファンドを通じて50万ドル(約5800万円)近くを調達しました。

救済ローンの利子は0%となっており、受給資格のある希望者が簡単な申し込みを行う事で、承認後に同社から不動産管理者へ家賃として支払われます。この様な取り組みからも、同社が賃貸人や不動産管理者に寄り添った柔軟なサービスを展開している事が伺えます。

まとめ

今回は集合住宅向けのラストワンマイル配送を行うFetchをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?同社が展開する配送サービスへの需要は、eコマースの成長に伴い、急激に増加しています。日本においてもラストワンマイル配送の領域は、宅配便ロッカーPUDO(仏ネオポストとヤマト運輸の合弁)、各運送会社のコンビニ受け取り、ecbo pickup(ecbo cloakを運営)、配達効率化サービス トドク(207社)などが様々アプローチで参入している。今後もeコマースの成長が見込まれていますので、同社の動向には注目です。