AIが建設の世界にも!?indus.aiが実現する建設現場の効率化

indus.aiインダスエーアイ 海外事例

  • サンフランシスコのindus.ai(インダス・エーアイ)というスタートアップ企業が建設現場の機械学習による効率化を目指している。
  • indus.aiが目指すのは「より少ない資本とより少ない資源を必要とする環境的に持続可能な方法で都市を建設することを可能にする世界」である。

はじめに

indus.aiというシードラウンドのベンチャーが、「機械学習×建設」という新たな切り口で建設現場の効率化を目指しています。一見親和性のないようにも感じる2分野ですが、どのような機械学習の活用がなされているのでしょうか。その全容に迫っていきます。

建設現場×機械学習スタートアップのindus.aiとは

2017年創業のまだまだ若いベンチャーであるIndus.aiは、まだシードラウンドのスタートアップですが、建設現場に対するSaaSとして面白い先進的な取り組みを進めています。

indus.aiは、カメラとIoTデバイスを用いて建設現場における重機やイベントの検出・追跡を行うAIを提供しています。indus.aiがチェックする建設現場の面積は1日あたり2400万平方フィート(東京ドーム48個分相当)にも及びます。これがProcoreという建設現場プラットフォームと接続することにより現在サービスを提供しています。

indus.aiが建設現場に提供する価値

具体的に建設現場において、indus.aiのようなセンシングデバイスと機械学習のプラットフォームが具体的にどのように役に立つのでしょうか?

彼らは主に6つのメリットを取り上げています。

①BIMに照らし合わせた建設の進捗状況の管理

BIM(Buiding Information Model)とは簡単に言えば、コンピュータ上の建物の3Dモデルに部材のデータや建設過程のデータを格納したものです。これによって建設の作業を可視化する動きが近年進んでいます。

inndus.aiはそれを元に現場の情報をチェックし、照合することで適切に建設過程が行われているか、遅れはないかチェックすることができます。

②安全性とコンプライアンスの確認

建設現場をモニタリングし、建設作業員がヘルメットや作業着を着用しているかを監視しています。また安全性の問題のサマリーが受け取れる仕組みも提供しています。

③自動の日報・警告

現場において工期の遅れや危険につながる潜在的なリスクに関して定期的に警告を受け取ることができます。また毎日自動での分析とレポートを受け取ることができます。

④労働活動の可視化

インタラクティブダッシュボードと呼ばれる建設現場における進捗や作業時間などを可視化したUI(ユーザーインターフェース)によって、労働の状況が一目でわかるようにしています。例えば重機の稼働率、現場作業員の日毎の増減、搬出、搬入のトラックの到着時刻などの情報がグラフを通してチェックすることができます。

⑤機器のアイドル時間の最小化

建設現場において重機が停止した際に警告が受信できるようになっています。機械が適切に作動していない時のタイムロスを減らすことにより効率化につながります。

⑥クレーム・紛争の解決の迅速化

建設に関わるステークホルダーがリアルタイムに状況を確認できることで、各プレイヤー間の後期の遅れなどの紛争に対して迅速な対応を促すことができます。

indus.aiの現場でのマネジメント

こうしたリアルタイムのデータ解析をどのようにマネジメントしているのでしょうか。

indus.aiのクライアントは建設現場の隣接する建物、構造物、クレーンなどに5~20台ほどのカメラを取り付けます。あとは24時間撮影されるビデオ映像がindus.aiのニューラルネットワークに接続されます。そこで100万を超える建設画像や映像で学習したAIがリアルタイムで処理していくという仕組みです。

これが実際にProcoreとindus.aiが共同することで提供しているサービスのデモビデオです。人や重機を認識している様子がよくわかるかと思います。

indus.aiのビジョン

こうした建設現場の効率化についてなぜ今取り組むのでしょうか。もちろん技術の発達やデバイスの登場が背景にありますが、これについてindus.aiは興味深い視点を提示しています。

彼らは2035年までに20億人の人々が都市部に住むようになると言われています。こうした背景がある中で年の中でいかに効率よく安全に建設活動を行なっていくかということは今後の課題になると彼らは考えています。

また2017年に出されたレポートによると建設現場はリアルタイムのデータ分析によって効率が50%も改善されると言われています。

さらにCEOのマットマン氏は建設現場の自動化について、次の様に語っています。

彼らがペンと紙、さらにはiPadを取り出すのは、制作時間を奪うことになります。将来における私たちの役割のビジョンは、労働者が最善を尽くすことができるようにこれらのプロセスの多くを自動化できるようにすることです。』(JOBSITE 2019.02.04)

こうしたビジョンからindus.aiは建設現場における自動化・効率化が目指しています。今後の発展・成長が大いに期待されます。

まとめ

建設現場におけるAIの活用は、VRやドローンの活用と並んで2018年の建設現場におけるイノベーションの注目分野に位置付けられています。indus.aiは2018年、370万ドル(約4億円)のシード資金の調達に成功しています。スタートアップとしてはまだまだこれから。建設現場の自動化に向けた今後の動き、拡大の動向に注目です。