東急建設が出資!自動鉄筋組み上げロボットのToggle Robotics

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海外事例
  • 自動鉄筋組み上げロボット市場は、2022年の798億4000万ドル(約11兆3500億円)から2031年の1156億1430万ドル(約16兆4400億円)まで年平均4.1%で成長を見込む
  • ニューヨークのToggle Roboticsは、鉄筋加工から組み上げ、溶接までを自動化するソフトウェア及びロボットの開発を行う
  • 同社は2023年2月に東京建設CVCより資金調達を実施。建設DXの促進を目指す

はじめに

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人口の高齢化と若年層の建設産業離れによる人材不足は、現在世界中で深刻な問題となっています。この課題に対応するため、建設産業全体で、自動化、ロボット工学、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの導入が進んでいます。

今回注目するのは、鉄筋組み上げを自動化するロボットです。鉄筋組み上げは建物からインフラまで幅広く利用されている、鉄筋コンクリート製造において欠かせない工程です。全世界における自動鉄筋組み上げロボット市場は、2022年時点で798億4000万ドル(約11兆3500億円)のところ、2031年までに1156億1430万ドル(約16兆4400億円)へと、年平均4.1%で成長見込みです(注)。そこで本稿では、アメリカのToggle Robotics(トグル ロボティクス)についてご紹介します。一体どのような企業なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

注)Business Research Insight, “Automatic Rebar Tying Machine Market Size, Share, Growth, and Industry Analysis, By Type (Less than 30mm, between 30mm and 40mm, more than 40mm), By Application (Precast Products Factory, Building and Infrastructure Construction, Others) Regional Forecast To 2031“

Toggle Roboticsとは?

Toggle Roboticsは2016年にアメリカのニューヨークにて創業した、鉄筋の自動組み上げソフトウェア開発および、鉄筋組み上げロボットの開発を行う企業です。同社製品はコンピュータ上で組み上げ図面を生成し、アーム型ロボットにより自動で鉄筋を溶接、組み上げ、品質確認を行います。また、AIや機械学習によって蓄積されたデータを活用することで、鉄筋組み上げの効率向上や自由度向上を実現しています。

2023年2月に東急建設がグループ傘下のTOKYU-CONST GB Innovation Fund L.P.(運営:グローバル・ブレイン株式会社)を通じて300万ドルの出資を発表するなど、同社はこれまでに1480万ドルを調達済みです。2021年9月のシリーズAでの資金調達を含め、主要出資元として、Tribeca Venture PartnersNew York VenturesPoint72 VenturesCastor VenturesBlackhorn Ventures27V (Twenty Seven Ventures)などが名を連ねています。

これまでの自動鉄筋結束ロボットは、鉄筋の組み上げ自体はマニュアル作業で行い、平面方向の鉄筋結束をロボットが自動化するというものが主流でした。しかしToggle Roboticsのロボットは、鉄筋組み上げ自体をロボットが実施。しかも100kg以上の鉄筋の持ち上げ、BIMに忠実に曲げ加工、溶接することで、3次元に自由度の高い造形物を作ることができます。同社のロボット製品は主に、プレキャストコンクリート、すなわち工場で品質管理された鉄筋コンクリート部材を製造し、現場では部材同士を接合させる施工方法において活用が見込まれます。

BIM作成から鉄筋組み上げ、輸送までをワンストップで提供

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Toggle Roboticsが開発した鉄筋組み上げロボットWeaver Workcell(ウィーバー ワークセル)が、あらかじめ入力されたBIMに基づき、Toggleの工場にて鉄筋を組み上げます。終了した鉄筋製品は品質検査がなされた後、現場へと出荷されます。

Toggleは以上の、鉄筋の組み上げから輸送までをワンストップで提供することで、鉄筋組み上げコストと時間を大幅に短縮します。

アメリカ海軍工廠の建設プロジェクトにおいて鉄筋組み上げ工程にかかる時間を90%短縮

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Toggleのロボット自動化ソリューションは、設計と鉄筋の自動組み上げ技術により、およそ90%もの時間の短縮と75%のコスト削減、さらに安全性向上を実現することができます。

例えば建設事業者のMiller Bros.(ミラー ブラザーズ)は、海軍工廠の建設プロジェクトにおけるダクト堤防の補強工事、50個のマンホールスラブの設置、空中構造物の基礎工事などにToggle Roboticsのソリューションを活用しました。Toggleによる事前組み上げ鉄筋の納入により、近くの川からの氾濫の恐れがある掘削現場で、作業員が鉄筋かごを結束したり溶接したりする危険で時間のかかる労働をする必要がなくなりました。また、マンホールスラブだけで推定500時間を削減することが可能となりました。

まとめ

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いかがでしたか?今回は鉄筋の加工から組み上げを自動化し、プレハブ化した鉄筋組みの輸送までをワンストップで提供する、ニューヨークのToggle Roboticsをご紹介しました。

2023年の資金調達により株主となった東急建設は、建設産業における競争優位の源泉としてデジタル技術を位置付けており、今回の出資は建設DX(デジタルフォーメーション)のさらの促進へ向けた一手となっています。同社は今後どのように展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。