わずか90日で78戸の住宅の建設に成功!? モジュール建設のVeevとは?

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海外事例
  • 米国で住宅不足が深刻な問題となる中、効率的な建設を行えるモジュール建設が大きな注目を集めている。
  • Veevのモジュール建設は、従来の4倍の速さで住宅を建設できるだけではなく、低価格で高品質な住宅の建設を実現。
  • 2022年2月に行われたシリーズDの資金調達では、4億ドル(約503億1,400万円)の資金調達に成功。

はじめに

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近年アメリカでは住宅不足が大きな問題となっており、Realtor.comが行なった調査では、524万戸の住宅不足が発生しているという事が判明しています。このように深刻な住宅不足ですが、主な原因として考えられているのが、労働力不足や新型コロナウイルス流行による住宅需要の増加、ウッドショックによる建設資材の高騰などです。

そして、この様な状況下で注目を集めているのが、工場であらかじめ資材の加工を行い、それらを現地に運んで組み立てるモジュール建設です。その理由が、従来の建設方法に比べて、工期を短縮できるだけではなく、少ない労働力で建設を行う事ができる点。住宅不足解消の一手として、大きな期待が寄せられています

今回ご紹介するVeev(ヴィーブ)は、機械・電気・配管(MEP)などが内蔵されたプレハブパネルを活用したモジュール建設によって、スピーディーかつ無駄のない住宅建設を実現する企業です。

モジュール建設のVeevとは?

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Veevは2008年にアメリカのカリフォルニア州にて創業され、テルアビブ(イスラエル)に研究拠点を持つ企業で、同社のモジュール建設では、従来の4倍の速さで住宅を建設できるだけではなく、低価格で高品質な住宅の建設を実現しています。実際に、2020年10月にカリフォルニア州サンノゼで行われた建設では、わずか90日で78戸の住宅の建設に成功しました。

2008年の設立当初VeevはDragonflyGroup(ドラゴンフライグループ) という社名で、一般的な不動産開発および不動産資産運用を行なっていましたが、活動の中で現在のモジュール建設に通じるアイデアを思いつき、2017年からはモジュール建設に焦点をあてた技術開発を開始。そして、2019年には本格的なモジュール建設事業への参入を機に、社名をDragonflyGroupからVeevに変更しました。

そして、2022年2月に行われたBond(ボンド)が主導するシリーズDの資金調達では、4億ドル(約500億円)の資金調達に成功。同社のこれまでの資金総調達額は5億9700万ドル(約750億)となっています。新しくユニコーン企業(評価額10億ドル以上)の仲間入りを果たしました。

それでは、こうして注目を集めるVeevが展開するモジュール建設とは一体どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

Veev 独自のモジュラーパネル

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Veevが展開するモジュール建設では、自社工場で製造された壁パネルがトラックで現地に運ばれ、Vフィールドチーム(5人)によって組み立てられます。同社CEOのHaller (ハラー)氏によると、従来の家を建てるのに必要な労力の約10分の1で建設が可能とのこと。そして、住宅タイプは平屋建てから8階建てのアパートまで多くのバリエーションが用意されているのも魅力の一つです。

壁パネルには製造段階で、機械・電気・配管・センサー(MEP)などが取り付けられる為、現場での取り付けが不要になり、従来のモジュール建設よりも、スピーディーな建設が行えます。また、工場の製造ラインは、デジタルベースで管理及び自動化されており、効率的なパネル製造を実現しています。

優れた機能性を持つライトゲージスチールを使用

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一般的に住居の材料には木材が使用されますが、同社の建設には、機能的かつ持続可能な鋼であるライトゲージスチール(LGS)が使用されています。そして、ライトゲージスチール使用の主なメリットは下記となります。

・木材よりも高精度かつ高速にモジュールパーツの製造を行える。

・気候による膨張などがなく、取り扱いが容易。

・優れた耐震耐久性や耐火性、湿気や害虫に対する耐性を有している。

・木材に比べて価格のブレが少なく、供給も安定している。

・廃棄物がほとんどでない為、環境への負担を軽減できる。

このように木材に代わりLGSを使用する事によって、住居のクオリティーを確保しながらも、スピーディーかつ低コストな住居の建設が可能になります。また、環境への負担に関しては、従来の建設資材と比較して、製造の際のCO2排出量が47%削減されるそうです。加えて、同社は2022年の目標としてCO2排出量をさらに25%削減することを発表しています。

高性能な表面加工

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壁やドアなどのほとんどのパーツには、High Performance Surface(HPS)と呼ばれる素材が使用されています。同素材は従来のものに比べて劣化が少なく、手触りが良いのが特徴です。また、防カビや防臭性能にも優れており、汚れがついてしまった際には、拭きあげることで簡単に汚れを落とすことができます。

このように同社の作る建設物は衛生的にも優れた機能性を持つことから、住宅だけではなく、医療施設などでの活用も期待されています。

Veev Digital Home

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Veevが提供する全ての住宅はスマートホームに対応した造りとなっており、壁に内蔵された専用のスマートパネル又は携帯の専用アプリから、住宅設備の管理や運用を行う事ができます。具体的な内容としては、照明のオン/オフやドアの施錠、ブラインドの開閉、空調の操作などをアプリまたはパネルで操作する事ができます。

また、同スマートパネルは複数のセンサーが組み込まれており、Power over Ethernetなどの低電圧コンポネートと組み合わせることによって、エネルギー運用効率の向上を図れます。

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アプリでは水道光熱費の確認が可能なだけではなく、過去のデータと比較する事によって、どの程度の節約が行えているのかを確認する事ができます。また、同アプリには、電気の消し忘れを通知する機能やVeevのカスタマーサポートとのチャット機能、清掃サービス依頼フォームなど、充実した機能が備えられています。

まとめ

今回はモジュール建設のVeevをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?同社のモジュール建設では、独自のモジュールパネルや材料選びによって、大幅に建設が効率化されているだけでなく、環境への負担が少ない次世代の住宅建設を実現している事がわかりました。同社は今後の展望として、モジュールの製造拠点を増やしていくことやモジュールパネルのアップグレードを行なっていくことを発表しているので、同社の動向には注目です。