建設現場の“自動点検”を実現!?「vHive」のAI×ドローン技術とは

画像引用元:https://www.vhive.ai/
海外事例
  • これまで大型の建設物を点検する際、大きなコストと時間がかかっていた
  • vHiveはこれをドローンによって自動化。大きなコスト削減に成功
  • 高所での作業から人間を解放し、建設現場での安全性も向上させた

はじめに

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建設現場で使用されるクレーンや、高層ビル、橋など、我々の身の回りには大型の建造物や機械が数多く存在します。もちろん、これらは安全面から定期的な点検を必要としているのですが、その際には人間が高所に登らざるを得ず、非常に危険な作業となっていました。ですが昨今、このような問題に対してドローンを使った解決法が注目を集めています。人命に関わる作業リスクを減らし、効率も上げる、そんな革新的な技術をご紹介します。

自律型ドローンを現場に導入!vHiveとは

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「vHive(ブイハイブ)」は、複数の自律型ドローンを用いてフィールドオペレーションをデジタル化する、クラウドベースのソフトウェアを開発・提供しているイスラエルの企業です。同社は2018年11月に、携帯電話基地局の点検をドローンによって完全自動化するシステムを発表しました。それ以降様々な分野に技術を応用し、クレーンやビル、橋の点検など、人の到達が難しい場面での点検を実現し続け、これまでの常識を覆しつつあります。

同社は2017年のシードラウンド、2019年のシリーズAの投資ラウンドにおいて、投資会社Octopus VenturesとStageOne Venturesから合わせて750万ドルの資金調達に成功。更に充実したサービスの提供が期待されています。それでは、vHiveの提供するサービスとは一体どのようなものなのか、早速みていきましょう。

点検・分析・報告が全自動

冒頭にも述べたように、従来の人が登って点検をするという行為には膨大なコストと時間を要していました。それに対してvHiveは、複数のドローンを同時に制御することで、対象となる機械や建物の点検を行います。迅速かつ安全に動作し、点検から分析結果の報告まで、ほぼ全自動で実現してみせました。
現在500を超える企業での導入実績を持つvHiveが実際どのようにして機能し、使われているのか、順を追ってご紹介します。

画像引用元:https://www.youtube.com/watch?v=XWW-N7dPTFU&t=56s

まずはvHiveを操作し、点検する対象に合わせてドローンの飛行エリアを設定します。これはマウス操作で簡単に設定することができ、その範囲内でAIが各ドローンの点検ルートを自動で生成してくれます。
また、点検するタワーの種類やクレーンタイプなどに合わせた点検方法にAIが自動で切り替わる上に、法律で定められている「飛行禁止」ゾーンも自動で回避することが可能です。視線の維持、高度制限の遵守、飛行禁止区域の回避など、実際の規制を遵守した活動を行ってくれますので、ドローンを操作する上での安全面にも期待ができそうです。

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革新が進む費用見積技術

画像引用元:https://www.vhive.ai/

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ドローンが飛行を開始すると、AIが様々な高度、角度から画像をキャプチャ。こうしたデータ収集を経て、現場の非常に正確な2Dおよび3Dモデルを作成します。このようにフィールドデータをビジュアル化することで状況を把握しやすくなり、より良い意思決定を可能にしてくれます。

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また、vHiveは点検をして終わりではありません。検出されたデータは、ビジネスニーズに合わせた注釈やタグを添えたレポートとして出力され、利用者は点検の結果をスムーズに社内外へと共有することができます。同社によれば、vHiveは企業が自律ドローンを展開して、現場の運用をデジタル化することのできる唯一のソフトウェアソリューションです。その言葉通り、運用コストを激減させ、作業現場の安全面を向上させるvHiveは、今後の現場作業を変えていく革新的な存在だと言えそうです。

 

それでは、実際にvHiveを導入している業界を見ていきたいと思います。

CASE01.携帯電話基地局

画像引用元:https://www.vhive.ai/telecommunications/

携帯電話などの基地局を持つ電気通信事業者は、通信インフラ展開、基地局の運用、保守に重点を置いています。いかにして運用コストを削減するかが求められる彼らにとって、点検作業は継続的な運用の基礎である一方、多大なコストを発生させる悩ましい存在でもありました。しかも昨今、5G回線の登場により、人口密集地域の基地局が増え、検査の複雑さが増したことで、より多くの調査・点検作業が必要になり、作業員の負担が増大しているのです。一般的な検査では、タワークライマーが非常に高いタワーを登って写真を撮り、危険にさらされた状態で調査は実施されます。そのため、この作業には長時間かかり、安全のため現場に数名の現場要員がいるなど、今まで以上に高コストな状態が生まれていました。
こうした現状に、vHiveのドローン技術は最適だったと言えます。現在、多くの電気通信事業者がvHiveを導入し、1箇所あたりの点検時間を30〜40分に短縮することに成功。作業に関わる人間も減らすことができ、より多くの基地局で点検を行うことが可能になりました。

CASE2.建設現場のクレーン

画像引用元:https://www.vhive.ai/cranes/

建設現場においても、vHiveは頻繁に利用されています。それは、多くの大規模プロジェクトで重要なツールとしての役割を担う、クレーンの点検においてです。クレーンの点検は法律で義務付けられた重要な安全タスクなのですが、点検中のクレーンは当然ながらダウンタイムとなり、営業利益の損失に直結します。
その上、クレーンの点検は包括的に行う必要があるため、一度後退させて作業現場の外の指定された検査エリアに移動させなければなりません。結果として、その間はプロジェクトを何時間も中断することになり、生産性を著しく低下させていました。
そこに革命をもたらすのが、vHiveのドローンソフトウェアソリューションです。自律型ドローンを点検に使用することで、あらゆる角度からクレーンを分析し、高解像度のデジタルデータとして収集が可能になりました。既存の検査プロセスにかかっていた時間とコストを大幅に減少させ、プロジェクトを滞りなく進行させる助けになることも期待されます。

vHiveの見据える未来

今回は、フィールドオペレーションをデジタル化し、全自動で建物・機械の点検を行うドローンソフトウェアに関してご紹介しました。同社の共同創設者でCTOであるTomer Daniel(トマー・ダニエル)は次のように続けています。「vHiveの顧客が増えれば、それだけ蓄積するデータの量も増えていく。私たちの目標は、より学習したAIと高度なデータを使用して、更に精度の高いデータを分析できるようにすることです」。同社の今後の活躍から、目が離せません。