5G・EV充電・再生エネルギーのインフラ資産管理を支援するSitenna

画像引用元:Sitenna公式ホームページ
海外事例
  • 電気通信インフラ需要の急増に伴い、インフラのポートフォリオ管理市場が拡大している
  • イギリスのスタートアップSitenna(サイテナ)は、電気通信インフラへのポートフォリオ管理支援プラットフォームを展開
  • 用地取得プロセスを24ヶ月から6ヶ月に短縮し、インフラ管理の効率化を実現

はじめに

画像引用元:grandviewresearch.com “Infrastructure Asset Management Market Size, Share & Trends Analysis Report By Application, By Component, By Service Type (Strategic, Operational, Tactical), By Region, And Segment Forecasts, 2023 – 2030”

インダストリー4.0(第四次産業革命)と呼ばれる情報通信技術を中心とした社会変動の最中において、無線5G技術やEV充電設備、再生エネルギー設備などの、電気通信インフラ管理が課題となっています。電気通信インフラの投資には広大な敷地を計画的に取得・運用する必要があり、プロジェクトのコストが莫大なものとなるためです。

そのためインフラのポートフォリオ管理市場は、2020年時点のアメリカにおいて81億ドル(約1兆1600億円)で、2030年までに約160億ドル(約2兆3000億円)へと年平均成長率7.1%で拡大していくことが予測されます。そこで今回は、電気通信インフラへのポートフォリオ管理を支援するイギリスのスタートアップ、Sitenna(サイテナ)をご紹介します。一体どのような企業でしょうか。詳しくみていきましょう。

Sitennaとは?

Sitennaは2020年にイギリスはバーミンガムにて創業された、電気通信企業とインフラ用地の所有者向けの資産管理プラットフォームを展開するスタートアップです。Sitennaはブランド名で、商号はSatara Technologies, Inc.(サタラ テクノロジーズ)です。2023年5月にシードラウンドにて270万ユーロ(約4億2300万円)の資金調達を実施。合計調達額を520万米ドル(約7億3100万円)としました。

同社は2022年にYコンビネーターと韓国のサムスン出資のアクセラレータープログラムにおいて、210万ドル(約3億200万円)のシード投資を受けています。現在はイギリスのリムリック、ロンドン、バーミンガムにオフィスを設置し、今後アメリカのジョージア州アトランタにもオフィスを新設する予定です。今回の資金調達は、北米での事業拡大やリムリックに拠点を置くエンジニアリング・チームの拡大に充てられる予定です。

2023年の資金調達について公式発表では調達元は明かされていませんが、本ラウンドではMSouth Equity(エムサウス・エクイティ)のパートナーでSitennaのアドバイザーに加わったマーク・ファイドラー氏や、アクセンチュアのグローバル・コミュニケーション・メディア・テクノロジー部門の元グループCEO、ロバート・E・セル氏が含まれています。

Sitennaのサービスは通信インフラの展開と管理を効率化するB2B SaaSプラットフォームを提供するというもの。主に、5G無線通信インフラ、電気自動車(EV)充電インフラ、スマートシティ技術、再生可能エネルギーインフラの領域をカバーしています。同社のプラットフォームは、土地取得プロセスをデジタル化します。すでに33の自治体で事業を展開し、ボーダフォンやタワープロバイダーなどで知られるコーナーストーンとパイロット契約を締結しています。

直近では2024年4月に通信インフラ業界での豊富な経験と専門知識を持つパラディン・テクノロジーズとの戦略的パートナーシップを発表しました。パラディンの持つ顧客関係管理ノウハウを生かしたプロダクト改善を進めています。さらに、顧客向けヘルプ機能の向上のため、Helpjuice(ヘルプジュース)との連携を行いました。

用地取得プロセスを24ヶ月から6ヶ月に短縮

画像引用元:Sitenna公式ホームページ

Sitennaは、5Gネットワークの展開に必要なセルタワーやアンテナの配備プロセスを効率化するためのプラットフォームを開発しています。従来、適切な用地の選定から契約交渉、展開まで最大24ヶ月かかる複雑なプロセスを、Sitennaのプラットフォームは大幅に短縮します。

このプラットフォームでは、無線通信事業者が地図分析機能を使用して新しいアンテナ用地を簡単に検索し、契約交渉や支払いを含む関係者間の協力を容易にします。また、インフラプロバイダーがタワーや不動産の所有者間で迅速に連携できるよう支援し、展開プロセスを加速します。

今後の課題としては、携帯電話事業者やタワー所有者、不動産所有者を迅速にプラットフォームへ誘引し、アンテナ配備とリースのプロセス全体を合理化することが挙げられます。Sitennaは、展開までの時間とコストを削減しながら、関係者に利用の動機付けを提供します。さらに、配備後もメンテナンスや契約管理を支援するソリューションを提供することで、契約ライフサイクル全体を通じた収益の多様化を図っています。

まとめ

画像引用元:https://www.businesspost.ie/

いかがでしたか?今回は、電気通信インフラへのポートフォリオ管理支援プラットフォームを展開するイギリスのスタートアップ、Sitenna(サイテナ)をご紹介しました。同社のソリューションは、従来、適切な用地の選定から契約交渉、展開まで最大24ヶ月かかる複雑なプロセスを6ヶ月まで短縮し、5Gネットワークの展開に必要なセルタワーやアンテナの配備プロセスを効率化します。

情報通信インフラ需要の拡大という市況において、Sitennaは今後どのように展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。