- 建設重機整備市場は年346億ドル規模と拡大中だが、整備士不足とディーラー遅延により現場では深刻なダウンタイムが発生
- Heaveは整備士を即時マッチングし、透明な価格で迅速かつ多ブランド対応の修理を可能にするオンデマンド型サービス
- 導入企業では修理費削減と24時間以内の復旧が実現し、生産性向上やコスト最適化につながっている
はじめに
画像引用元:Heave公式ホームページ
建設重機の整備市場は、2024年時点で約346億ドル(約5兆4,300億円)とされ、2034年までに約526億ドル(約8兆2,500億円)へと、年平均4.3%で成長すると見込まれています。この市場拡大の背景には、建設機械の平均使用年数が上昇し、より頻繁な修理・メンテナンスが求められていることがあります。また、車両の稼働状況をデジタル化するテレマティクスやIoT、予知保全などの技術導入が進むことで、点検効率が高まり、稼働停止時間の削減が可能になってきています(Global Market Insights 2024)。
一方で、建設現場では「整備士を確保しにくい」という深刻な課題が浮き彫りになっています。ディーラー整備は慢性的な人手不足に加え、技術者の高齢化が進んでおり、現場からは数日から数週間待たされるケースも珍しくありません。重機整備は高度な専門技能を要する一方、就労人口は減少傾向にあり、地域ごとの技術者偏在も顕著です。その結果、重機が故障してもすぐに対応できる整備士が見つからず、現場のダウンタイムが長期化するという問題が各地で発生しています。
こうした状況の中で注目されているのが、整備士と建設会社を直接つなぐオンデマンド型サービスの存在です。特にHeave(ヒーヴ)は、慢性的な整備士不足によって生じるダウンタイムや高額な整備費用といった課題に対し、新しい解決策を提示するプラットフォームとして急速に導入が進んでいます。一体どのような企業なのでしょうか。詳しくみていきましょう。
Heaveとは
Heaveは、建設現場の重機トラブルに迅速に対応するため、オンデマンドで整備士を手配できるプラットフォームを提供する米国スタートアップです。創業者は、ディーラー業界で長年経験を積んだアレックス・クラフト氏で、従来の整備体制が「遅く、高く、現場のニーズと合っていない」という課題を痛感したことが事業構想の出発点となりました。Heaveはこうした課題に対し、必要なタイミングでモバイル整備士を手配できる仕組みを構築し、重機ダウンタイムの削減に取り組んでいます。
同社はフロリダ州・テキサス州を中心に急速に存在感を高めており、現在は全米で総数850名以上の整備士ネットワークを持ち、そのうち300名以上がアクティブに稼働しています。月間600台超の重機をサービスしており、早期対応を重視する建設業界で高い支持を得ています。
資金調達面では、2024年にシリーズAとして700万ドル(約10億9800万円)を調達し、累計調達額は1,300万ドル(約20億3800万円)に達しています。出資者にはOutsiders Fundをはじめ、FJ Labs、Long Journey Ventures、Slow Venturesなど、建設テックやマーケットプレイス領域に強みを持つ投資家が名を連ねています。今回の資金は、サービスエリアの拡大、顧客獲得、チーム拡充に充てられる予定です。
Heaveが解決しようとしているのは、建設業界における深刻な「重機ダウンタイム」の問題です。重機が止まることで現場は1時間あたり1,000ドルの損失が発生するとされ、従来のディーラー整備は対応まで数日〜数週間かかるケースも珍しくありません。Heaveは、整備士を直接マッチングする仕組みにより、多くの利用者が24時間以内に整備士を確保できる状況を実現しました。また、ブランドに縛られない整備体制を整えており、複数メーカーの機械を同時に対応できる点も特徴です。
整備士側にとってもHeaveは新たな働き方の選択肢となっています。Heaveは完全な独立請負モデルを採用し、整備士は自身のスキルや稼働時間に応じて働くことができます。中には収入が従来比で600%増となるケースも報告されており、高収入と柔軟な働き方を両立できる環境を提供しています。
Heaveの建機整備士マッチングサービス
画像引用元:Heave公式ホームページ
Heaveは、建設現場で発生する重機トラブルに迅速に対応するため、整備士とオペレーターを直接つなぐオンデマンド型のマッチングサービスを提供しています。従来はディーラーへの依存が一般的だった建機整備の分野で、Heaveは独立系の整備士のネットワークを拡大し、より効率的で柔軟な整備体制を実現しています。
利用者がアプリから修理リクエストを送信すると、10分以内に3〜4名の整備士が候補として提示され、作業内容や日時を直接交渉することができます。この仕組みにより、全体の約80%の案件が24時間以内に完了しており、建機オペレーターはディーラーの派遣を待つことなく、早期に現場へ復帰することが可能となっています。
整備士側は、自身で時間単価や交通費を自由に設定することができ、スキルや予定に応じて柔軟に働くことができます。アプリは整備士ごとの料金を自動計算し、利用者に分かりやすく提示します。費用はディーラー経由の整備より約3割安い傾向があり、これはディーラー整備に含まれる管理コストが不要になるためです。独立系整備士が直接作業を行うことで、中間コストが抑えられ、結果的に利用者の負担が軽減されています。
このようにHeaveは、建機整備における「スピード」「透明性」「コスト効率」を同時に高めるサービスモデルを提供しており、従来のディーラー中心の整備体制に新たな選択肢を提示しています。今後はサービス提供地域の拡大や整備士ネットワークの強化が進むことで、建設業界のダウンタイム削減にさらに貢献していくことが期待されます。
Heaveの活用事例
画像引用元:Heave公式ホームページ
Heaveは全米でサービス範囲を拡大し、実際の活用事例も蓄積されています。
フロリダ州タンパのBurgess Civilでは、32名の整備士を通じて569件の修理を完了しています。創業者であるベン・バージェス氏は、複数ブランドの建機を抱える同社にとって、Heaveが技術者の質と手配スピードの両面で大きな競争力になっていると述べています。フリート担当のカルロス・デトレス氏は、ディーラーから3〜5万ドルの見積もりが出た修理を、Heaveの整備士が2,000ドルで解決した事例を挙げ、コスト削減効果を強調しています。
テキサス州DFWエリアでユーティリティ工事を手掛けるRich & Burns Utilitiesでは、18名の整備士によって363件の修理が完了しました。副社長のジョシュ・ジャクソン氏は、当初は懐疑的だったものの、実際に利用したところダウンタイムが大きく減少し、現在では同社の主要な整備手段になっていると評価しています。
同じく地下インフラ工事を手掛けるEIII Underground Utilitiesでは、13名の整備士によって37件の修理が対応されました。フォアマンのアダム・ラム氏は、以前はディーラー整備に数週間待たされていたのが、Heaveでは24時間以内に技術者が手配できる点を高く評価し、現場管理のストレスが大幅に減ったと述べています。
整備士側の事例も複数紹介されています。フロリダ州のOnsite Equipment Service Repairを運営するチャド・ローワー氏は、Heaveを利用することでキャッシュフロー、請求処理、スケジューリングが改善したと話しています。また、Heave最初の登録技術者であるActive Equipment Repairのロバート・グレイ氏は、迅速な支払いと明確なコミュニケーションの存在を、ビジネス拡大の後押しになったと述べています。
これらの事例を通じて、Heaveはこれまでに総額3億300万ドル以上のコスト節約と、42,000日超のダウンタイム削減を実現しており、建設業界における整備プロセスの新しい標準として評価されつつあります。
まとめ
画像引用元:Heave公式ホームページ
いかがでしたか?今回は、建設重機のダウンタイムという業界最大級の課題に対して、Heaveがどのように新しい解決策を提示しているのかをご紹介しました。オンデマンドで整備士を手配できる仕組みは、従来のディーラー中心の整備体制では実現できなかったスピードと柔軟性をもたらし、現場の生産性向上に大きく貢献しています。
導入企業の事例からは、コスト削減、待ち時間の解消、複数ブランドへの対応など、具体的な効果が明確に示されています。また、整備士側にとっても働き方の自由度が高まり、収入向上につながるなど、双方にメリットのあるプラットフォームであることが分かります。
重機の稼働が現場の進行を左右する建設業界において、Heaveのようなサービスは今後ますます重要な役割を担っていくと考えられます。





