衛星画像を活用してたった26秒で屋根の修繕費を見積もるRoofr

海外事例

  • Y combinator を中心とする投資家らがスタートアップのRoofrに400万米ドルを出資。
  • Roofrは衛星画像を利用し、即座に屋根の修繕費用を見積り、業者と顧客を繋げるサービス

はじめに

2019年2月にY combinator (ワイコンビネーター)を中心とする投資家らがスタートアップ企業の屋根修繕の見積もりプラットフォームのRoofrに400万米ドルを出資しました。

屋根の修繕マーケットは、北米では毎年500万件ほどの屋根の修繕工事が実施されていることから、投資家の視点からも魅力的な市場と言われています。

Roofrは屋根の張り替え作業の効率化と市場の透明化を図る事を目標としています。この記事ではそんなRoofrの全容に迫っていきます。

衛星写真を利用してたった26秒で屋根修繕費を見積もるRoofr

Roofr は2016年に Richard Nelson 氏がCEO としてZachary Melo氏と Kevin Redman氏と共に立ち上げた会社です。

Roofrは、カリフォルニア州のシードアクセレレーターである、Y combinatorの企業育成プログラムを修了し、インキュベーターらから400万ドルの資金を提供を受けました。本社は、はじめにカナダのオンタリオに置かれていましたが、後にカリフォルニア州サンフランシスコへ移動しました。

企業理念は、「顧客が家という最も大切な財を守るために必要な屋根を安価に提供すること」と掲げています。

創業者でCEOのRichard Nelson 氏は1988年に屋根修繕職人の3代目として生まれ12歳から屋根修繕の仕事に携わっていました。Nelson 氏は、屋根の張り替え作業の際に発生する際に、多くの業者が顧客の都合よりも自らの利益を優先し不適格な素材を不当な価格で売りつけることが多いという業界の問題を見てきました。

長年の知識と経験を持っているNelson氏は、テクノロジーを用いることで家の修理工事の中で最も高額な費用を要する屋根建設の透明化の可能性を感じ、Roofrを創設しました。

Roofrが考える業界の課題と将来の展望

Roofrは、現在の屋根の建設業界は、経験値が不足した業者が劣悪なサービスを提供してきたため、多くの家主の屋根の張り替えサービスに対する信用度は未だに低く、それを変革することが課題であると述べています。

実際に、信用度という点でサービス開始当初は苦戦を強いられたものの、Roofr のサービスを受けた家主らは、高い満足度を得た結果、圧倒的な速度で成長しているそうです。2017年9月の時点で、総流通総額は20万ドルを記録しており、前月に比べ50パーセントの成長を見せています。

将来の具体的なビジョンとしては、

・5年以内に、北米の全ての大都市を市場としてサービスを提供する

・屋根の建設業者が衛星を使って測量する用のアプリを無料で提供する

また、Roofrはソーラーパネルを屋根に導入する際の見積もりをする際の活用を期待しているそうです。

Roofr のサービスを受ける手順

①Roofrのサイトで住所を入力します。


②住所を元にGoogleの衛星画像を用いて、屋根の面積と勾配の測量を行います。


③屋根の状況確認は1分以内に無料で行うことができます。

修繕作業はRoofrが契約している信頼できる業者へ24時間以内に委託されます。作業が完了した後に顧客が業者へ料金を払うという流れになっています。

こちらがサービスの流れをまとめた動画です。

Roofrを利用するメリット

Roofrのサービスがもつ魅力は、家主と業者の双方が利益を得ることができる点です。

家主側は、衛星を活用したサービスにより、住所を入力するだけですぐに費用の見積もりを確認することができます。更に、従来、張り替え業者は全ての屋根材を取り扱っているわけでは無いので、的確な材質を専門とする業者を選定することは困難です。

自分で複数の業者を比較する手間と中間業者によるコストの増大を避けるため、最終的には20パーセント程のコスト削減が見込まれています。

もう一方でRoofrと契約している業者側は、Roofr を通して屋根修繕を行ったときのみ手数料を支払う成果報酬型になります。

顧客の情報を見るだけでも手数料を取られてしまう他の多くの大きな会社に比べ優しい点がRoofr の魅力であると言えるでしょう。

屋根を点検する日本のサービス

日本でも、2018年9月からドローンを活用した測量サービスを提供している株式会社テラドローンが、Terra Rooferというアプリの提供を開始しています。

こちらはドローンをつかった屋根の測量などに特化したサービスになります。

顧客自らがアプリ上でドローンの飛行高度を設定、屋根を撮影することができます。屋根に登る必要も、点検を業者に委託する必要が無いため、たとえ高い建物や勾配が急な屋根の点検も安全に安く完了する事ができます。

まとめ

高額な費用を要しながら、不透明感が強かった屋根建設市場にテクノロジーを導入することで時間とコストの削減を可能にしたRoofr。

今後も、屋根修繕作業の効率化をサポートすることで、業者の利益と顧客の満足度、両方の増大を目指すRoofr の発展に期待が持たれます。