ソフトバンク・ビジョン・ファンドが1200億円出資!Viewがつくる未来のガラス

海外事例

  • シリコンバレーのViewというスタートアップ企業がソフトバンク・ビジョン・ファンドより1200億円の出資を受ける。
  • Viewは「スマートガラス」による不動産・建設のイノベーションを目指している。

はじめに

11月5日、ソフトバンク・ビジョン・ファンドがアメリカの建材スタートアップView(ビュー)への1200億円の 出資を発表しました。建設業界注目の大型買収。この記事ではViewとはどのような会社か、彼らの手掛ける「スマートガラス」とは?その全容に迫っていきます。

スマートガラススタートアップのViewとは

2006年創業のViewは、創業後数年間は地道な研究開発に費やし、2012年に現在の「スマートガラス」を発売しました。

Viewのイノベーションの背景にあるのは、業界全体を巻き込んだ強いパートナーシップの構築です。建設業界は古い慣習が残りバリューチェーンも複雑な業界です。Viewも操業当初この難関にぶつかりました。どのように自社ガラスを生産段階に組み込んでもらうのか、また開発段階での資金繰りといった点で大きな困難があったようです。
現在、Viewはビジョンファンドからの出資を含め合計1800億円(2018/11時点)を調達しております。

多くの企業との提携によりこの困難を乗り越えたViewの「スマートガラス」は現在では650もの建物に導入されています。あのFacebook本社ビルにも採用されるほどに成長を遂げています。近年の成長率は年間100%にもなります。

Viewの手掛ける「スマートグラス」

Viewが手掛けるのが彼らが「スマートガラス」と呼ぶIoT窓ガラスです。では「スマートガラス」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

「スマートガラス」は複数のガラスを積層させ、それぞれに調光・遮熱などの機能を持たせ、さらにインターネ ットに接続することによってスマートフォンなどの端末から用途や場面に応じてフレキシブルに性能を変えられるようにした窓ガラスです。

スマートガラスの基礎技術はスマートガラスの基礎技術はローレンス・バークレー国立研究所で生まれ、2枚のガラス板の間に酸化タングステンの層を挟み、電圧を加えることで色を変化させるテクノロジーです。

このスマートガラスは通常のガラス窓の4倍近いコストがかかりますが、消費エネルギーを約20%削減できると言われています。

こうした太陽光を自在に調節できるガラスは50年以上も前から考えられてきましたが、それを実際に商用化したのがViewでした。

「守る」ガラスという新たなコンセプト

「スマートガラス」が実現するのは省エネルギーや快適性だけではありません。各窓にはマイクロチップと言われる半導体が埋め込まれ、それらの情報がクラウド上で一括管理されます。これによって例えば窓ガラスが何者かによって割られた時にその位置情報を容易に特定することができるようになります。

2017年にはアメリカ・ラスベガスで窓ガラスが割られ、そこから無差別銃撃が行われるというテロが起こりました。「スマートガラス」の技術があれば、こうした事故を防止する、「守る」ガラスが実現できます。

孫正義がViewに出資した理由

ソフトバンク・ビジョン・ファンドはなぜ大型出資に乗り出したのか。Viewのラオ・マルプリCEOはソフトバンクの孫正義氏の出資の理由に関して2つの理由があると語っています。

1.空間自体をまるごと変化させる可能性
「スマートガラス」が空間を「丸ごと変えてしまう」という点です。

従来ブラインドによって遮られていた外への視界が開けるなど、「スマートガラス」の導入によってガラスの空間でありながら快適な住環境が実現できるようになります。その魅力が大きかったようです。

2.圧倒的な省エネルギー性能
「スマートガラス」の導入によって約20%ものオフィスビルエネルギーが節約できることが知られています。太陽光を取り入れることによって室内照明の消費電力を減らすことができるだけでなく、ガラス自体に遮熱性能があることによって空調設備も使う必要がなくなります。

世界中のブラインドが付いているガラス窓の全ては「スマートガラス」に代替できると言えます。この巨大なスケーラビリティこそがこの巨大投資の理由と言えるでしょう。

1200億円の投資は、ミシシッピ州での製造の拡大、そして前述のセキリュティを含めたアプリケーション開発に使われるようです。

また、Viewの競合のSAGE Glass社を、フランスの大手ガラスメーカーSaint Gobain社(サンゴバン)が2013年に430億ユーロで買収しています。

スマートガラスの市場規模

2017年の世界のスマートガラス市場を32億2000万ドルで、2026年には142億4000万ドルの予測されています。
また、主なターゲットとなる2020年には建設用ガラスの世界市場を1,150億ドルと予測されます。

まとめ

viewが当初導入に苦労したように、「スマートガラス」を実際に一気に建築に導入していくには日本ではまだハードルが高いと言えるでしょう。しかし、窓ガラスで囲まれた空間は従来、建築的には「暑そう」「寒そう」を思われがちでした。こうした技術により建築の可能性が大きく広がっていくことでしょう。

さらには省エネルギーやセキュリティのためにもなる窓ガラスということで大きく広がっていくことには様々な期待が膨らみます。今後もガラスのイノベーションから目が離せません。