- 建設業界におけるICT化の中でドローン活用が大きな注目を浴びている
- DroneDeployは世界180か国以上でドローン向けクラウドサービスを展開している
- ドローンによるデータ収集から情報共有までをクラウド上で一元管理
はじめに
昨今建設業界ではICT化が急速に進められていますが、その中でも急成長を遂げているのが、建設現場におけるドローンの活用です。実際に2018年の調査では、建設現場でのドローンの使用量が1年間で239%も急増している事がわかりました。
ということで、今回は日本を含む世界180か国以上で建設ドローン向けのクラウド型ソフトウェアサービスを展開するDroneDeploy(ドローンデプロイ)についてご紹介いたします。
*参考:DronDeploy
ドローン向けマッピング、分析サービス DroneDeployとは?
DroneDeployは2013年にアメリカ合衆国サンフランシスコにて創業されました。同社は、ドローンの飛行管理や地図作成、分析とその共有をクラウド上で行えるサービスを、建設や農業、エネルギー業界向けに展開。ドローン向けソフトウェア業界では最大手であり、現在世界180か国以上の40万ヶ所を超える現場にサービスを提供しています。
創業者でCEOのMichael Winn(マイケルウィン)氏は、以前南アフリカで働いていた際に、サイの密猟が横行している事と、広大な敷地であるために取り締まりの目が行き届いていない事を知りました。そこで、同氏はそれらの問題を解決する為、広大な敷地を低コストかつ効率的に監視する手段としてドローンを活用する事を思いつき、2010年に野生動物の保護を目的としたドローンサービスを開始。そして、それらのドローン技術が他にも活かせるのではないかと考え、2013年に創立されたのがDroneDeployです。
DroneDeployは2020年2月にシリーズEラウンドで、テクノロジー企業を支援するベンチャーキャピタルファンドAirTree Ventures(エアーツリーヴェンチャーズ)やEnergize Ventures(エナジャイズベンチャーズ)から5,000万ドル(約54億円)の資金調達に成功。そして、2021年にはシリーズFラウンドにおいて、SaaSサービスを中心に投資している有名ヴェンチャーキャピタルBessemer Venture Partners(ベッセマーベンチャーパートナーズ)からの追加投資を受けています。そして、同社はこれまでに計10ラウンドの資金調達を行っており、総額1億4260万ドル(約157億9,000万)の資金調達に成功しています。
それでは、こうして注目を集めるDroneDeployが提供するドローン向けクラウドサービスとは一体どのようなものなのか、早速見ていきましょう。
完全に自動化されたドローン測量
DroneDeployのクラウド型ソフトウェアは、大手ドローンメーカーであるDJI社製のドローン向けに開発されており、利用者は同社が提供するアプリを使うことによってドローンを操作することが可能です。
操作方法はとても簡単で、測量や地図作成を行いたい地点をタブレットまたはPCで範囲選択し、飛行高度や障害物回避などの撮影条件を入力するのみとなっています。こうすることで自動でドローンが測量や撮影を開始してくれます。
加えて、Livemapと呼ばれる機能も搭載されており、ドローンが飛んでいる地点の空撮データをオンラインでのアップロードを必要とせずに、リアルタイムでデバイス上で確認することもできます。この機能により即時に現場の進捗状況などを確認できるようになるだけではなく、事故や災害などが発生した際の行方不明者の発見や災害対応の活動支援に役立ちます。
また、同ソフトウェアは360度カメラを搭載したSpot(スポット)と呼ばれる地上型のドローンとの互換性も有しており、空からのデータだけではなく、屋内のデータもドローンによって自動で取得する事が可能。地上型ドローンの運用には、2021年8月に同社が買収したニュージーランドの企業Rocos(ロコス)のロボット制御プラットフォームが応用されています。
この技術によって、利用者は屋内のデータを取得できるだけではなく、遠隔でサイト内の管理を行う事ができる様になります。
Spotについては以前も当メディアでご紹介しているので、気になる方は是非チェックしてみてください。https://contech.jp/trimble/
クラウド上での高精度なデータ処理&情報共有
Drone Photogrammetry | Drone Photogrammetry Software | DroneDeploy | DroneDeploy
画像引用元:https://www.dronedeploy.com/
ドローンによって取得した空撮データは、クラウド上で1時間に20234~89034平方メートルのスピードで処理が可能で、高精度な2D・3Dマップや放射熱マップ・DSMマップ(数値表層モデル)を作成する事ができます。
そして、これらのデータを元に、設計図と照らし合わせた進捗状況のオーバーレイ、コメントを書き加えたレポートの作成、指定した範囲の距離・面積・体積の計算、切土や盛土の備蓄量計算、作物被害の分析(追加アプリケーションによる機能拡張が必要)を行う事ができます。
また、屋内の撮影データもクラウド上で処理及び管理する事ができます。屋内のデータは過去の撮影データと照らし合わせることによって、建設の進捗管理だけではなく、問題を発見するのに役立ちます。
そして、これらのデータはクラウド上の管理ソールでメンバーと簡単に共有する事ができます。多くのドローン向けソフトウェアはデータの処理や情報共有に高価なハードウェアの購入が必要ですが、同サービスは一貫して全ての工程をクラウド上で完結する事ができるので、低コストかつシームレスにドローンの運用が可能。
豊富な拡張アプリケーション
DroneDeployが展開するサービスでは、同社が運営しているApp Marketで提供されている100種類以上の外部拡張アプリケーションやAutodesk・Procore・Bluebeam・OneDrive・Googledrive・Dropboxなどの他社サービスとの連携が可能であり、用途や目的に合わせたシステムのカスタマイズが可能。この様な拡張機能により、業界や形態に囚われる事なく、さまざまな現場で最大限のパフォーマンスを発揮する事ができます。
まとめ
今回はドローン向けクラウドソフトウェアのDroneDeployについてご紹介致しましたが、いかがでしたでしょうか?ICT化が急速に進む建設業界において、ドローンの活用は最重要課題であるといえます。今回ご紹介したDroneDeploy意外にも、当メディアではSkycatchなどの建設ドローン関連企業についても取り上げておりますので、是非チェックしてみて下さい。