withコロナの最先端!バーガーキングが2021年に“非接触型店舗”をスタート

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海外事例
  • コロナ禍において、飲食業界は接客や商品提供の方法に大きな変化を求められている
  • バーガーキングはテイクアウトに主軸を置いたタッチレス店舗のスタートを発表
  • 独自の取り組みと新店舗の建設でスタッフと顧客の接触をほぼ0にすることを掲げている

はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的な不況が起き、飲食業は特に深刻なダメージを受けた業界の1つです。日本では4月に緊急事態宣言が発令された際、約7割の上場飲食企業の売り上げが5割以上減った*というデータも出ています。
そんな飲食業界にあって、売上を好調に伸ばしたのが感染リスクの比較的低いとされるファストフード店のドライブスルーです。それを裏付けるようにファストフード大手のマクドナルドでは、4〜5月の売り上げの半分以上をドライブスルーが占め、業界全体でも同時期にドライブスルーの売上が24%上昇*しました。このことからドライブスルーでの顧客獲得が、コロナ禍の飲食店にとって大きな課題となってきていると言えます。
そこで今回は、今後建設業界でも重要視されてくる「非接触」というキーワードを、飲食業界の事例から考えてみましょう。

*上場企業(外食産業)月次売上高動向調査(2020年4月分速報)
*NPDグループ

バーガーキングが挑戦!非接触店舗の3つの取り組み

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大手ハンバーガーチェーンとして知られ、アメリカのフロリダに本社を置くバーガーキング。実は同社、数年間かけてレストラン内のデザイン・システム変更に注力し、より高品質な体験価値の実現を目指していました。ですが、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、これまでの取り組みから大きな方向転換を迫られる事態に。そこで考えを改めた同社は、2021年にドライブスルーとテイクアウトにフォーカスしたタッチレス店舗展開を開始すると発表しました。それは、これまでの店舗から建物や提供システムを一新し、人と人との接触をほぼ100%削減を掲げています。ではこのタッチレス店舗、実際にはどのような取り組みがあるのか、詳しく見ていきましょう。

1.アプリと連携したフードロッカーで非接触提供

画像引用元:https://www.restaurantdive.com/news/burger-king-to-build-mobile-focused-restaurant-model-in-2021/584659/

飲食店において、商品を提供する瞬間はどうしても人と人の接触が避けられないシーンになりがち。それはファストフードにおいても例外ではなく、コロナ禍において解決しなければならないポイントの一つとなっていました。そこでバーガーキングが打ち出したのがこのフードロッカーと呼ばれる提供方法です。これは、アプリを介して事前に注文をしておけば、キッチンで作られた商品がベルトコンベアーを通じてロッカー内に運び込まれ、顧客はロッカーから取り出すだけでスムーズに受け取りを完了させることができます。これによって顧客、スタッフの双方が感染リスクに晒される心配がなく、加えてスタッフの人件費削減・労働力不足解消への貢献が期待できます。

2.商品を車まで提供するドライブインサービス

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タッチレス店舗が打ち出した2つめの仕掛けがこのドライブインサービスです。どのようなサービスかというと、その名の通り車を所定の位置に駐車させ、QRコード経由で注文をすることで商品が車まで届けられるというもの。これによって顧客は車外に出ることなく食事を受け取ることができ、かつドライブスルーのように慌ただしく受け取る必要もない、まるで駐車場までレストランが延長したかのような体験をすることができます。

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また、ドライブインスペースの屋根には全面太陽光パネルを採用。ここで作られた電気が、店舗に送られ、システムへの電源供給の一翼を担っています。

 

3.需要高まる宅配サービスにも対応

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コロナウイルスの感染拡大の影響で人々が外出を自粛する中、一気に台頭してきたのが配送サービス。これに対しバーガーキングは、より円滑に配送サービスとの連携を強めていく必要があると考え、タッチレス店舗では配送業者専用の駐車スペースを完備させています。これによって配送時間が一般顧客の混雑に影響されず、フードロッカーも用意されているので時間のロスなく商品の受け取りを済ませることが可能になりました。

店舗面積60%縮小!レーン充実のデザインに

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先ほどから本記事でご紹介しているのは、2020年9月3日に同社のプレスリリースによって公開されたタッチレス店舗の完成イメージです。この発表の中で、従来のバーガーキングと比較して座席スペースは60%減少させ、車の通行スペースを大幅に増やすという方針が示されました。加えて、地上スペースを確保するためにキッチンを2階に移動させるなど、これまでとは全く違った店舗デザインが話題を呼んでいます。

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同店のコンセプトが顕著に現れているのが、2~3レーンに増設されたドライブスルー。車での来店に主軸をおき、店舗スペースを縮小したからこそ実現したこのシステムには、混雑緩和と生産性の向上が期待されています。
ちなみにカーレーンの隣にはバイク用のレーンも用意され、より効率的な運用が可能となりました。

環境配慮への取り組みも実施

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同じく同社が2021年のスタートを掲げているのが、再生可能な容器の販売です。顧客はハンバーガーやコーヒー、炭酸飲料の提供時に保証金を支払うことでこの容器を選択することができ、食後には容器と交換で保証金も返却される仕組み。このような取り組みをする理由として同社は「顧客に対し、再生可能な取り組みへの参加を選択肢に用意することに大きな意味がある。まずはニューヨーク・ポートランド・東京での販売になるが、他のエリアにも拡大させていく予定」と話しています。

この取り組みは、何度も再利用して容器を使うことができる同社の環境配慮運動の一環で、一見感染症対策とは相反するように思えます。しかし、本製品は「安全に洗浄し、補充する」をコンセプトに作られており、感染症対策と環境配慮を両立させていく一つのモデルケースになるという期待の声も寄せられています。

ちなみに、類似した取り組みを大手コーヒーチェーンのスターバックスが行っていますが、タンブラーを購入して自宅から何度も持ち込む必要のあるスターバックスに対し、バーガーキングは上記のようなフローで容器をレンタルする点が大きな違いだと言えます。

まとめ

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バーガーキングのコロナ禍における新たな取り組み、いかがでしたでしょうか。まずはマイアミ、ラテンアメリカ、カリブ海の3つのエリアでスタートするというタッチレス店舗ですが、その後日本に上陸する日もそう遠くはないかもしれません。売上の落ち込みが著しい飲食業界において、このようなテイクアウトやITとの連携にフォーカスしたサービスは増え続けると考えられています。同社のみならず、今後の飲食業界の動きに注目していきましょう。