たった30日で家が建つ⁉︎ 住宅建設サービスのDiamond Ageとは?

画像引用元:https://www.diamondage3d.com/
海外事例
  • アメリカでは住宅の供給が追いつかず、深刻な住宅不足が発生している。
  • Diamond Ageは3D印刷やロボット工学による住宅建設の自動化を目指している。
  • 自動化によって人的労力を55%削減し、建設工期を9カ月から30日に短縮させる。

はじめに

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2008年のリーマンショックの影響により、当時のアメリカは住宅不況に陥り、建設労働者の約30%が転職を余儀なくされました。その結果、現在でも住宅建設業界では深刻な労働力不足が続いており、住宅需要が高まる一方で供給が追いつかず、住宅価格の高騰が引き起こされています。

今回ご紹介するDiamond Age(ダイアモンドエイジ)は、最新のロボット技術や3Dプリントによって、建設の自動化や建設期間の短縮を目指している企業です。

Diamond Ageとは?

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Diamond Ageは2019年にアメリカのカリフォルニア州のサンフランシスコベイエリアにて、Jack Oslan(ジャックオスラン)氏とRussell Varone(ラッセルヴェローネ)氏によって設立されました。同社は3D印刷やロボット工学を組み合わせた建設スタイルによって、住宅建設の自動化を目指しており、そうすることで、人的労力を55%削減し、一世帯住宅の建設工期を9カ月から30日に短縮できるのこと。

同社の建設技術はまだ完成段階にはありませんが、住宅事情が逼迫しているサンフランシスコベイエリアでの活用を最初の目標として開発が進められています。

2021年には、Prime Movers Lab (プライムムーバーズラボ)とAlpaca VC (アルパカ)が主導するシードラウンドにおいて、800万ドル(約9億1300万円)の資金調達に成功。そして、この資金を基にした、ロボットプラットフォームの拡張及び1100平方フィート(約102.2㎡)のデモンストレーションハウスの建設を行うことを発表しています。

それでは、こうして注目を集めるDiamondageが展開予定のサービスとは一体どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

アメリカにおける住宅不足問題

現在アメリカではミレニアル世代が世帯形成の最盛期をむかえた事によって、住宅需要が急激に増加。加えて、2020年にはコロナウィルスの影響により、広いスペースを求めて住宅購入を希望する世帯が増えた事や、景気悪化に対する救済措置の一環として住宅ローン金利が引き下げられて事によって、住宅需要が更に増加しています。

しかし、一方で住宅の供給は間に合っておらず、アメリカの大手不動産検索サイトRealtor.comの最新のレポートによると、2020年時点で約524万戸の住宅不足がアメリカ国内において発生しているとのこと。

そして、これらの住宅不足問題の大きな原因となっているのが、住宅需要の急激な増加やウッドショック(木材価格の高騰)による資材不足、冒頭でも触れさせていただいた建設業界における労働力不足などです。

*参考 https://www.realtor.com/

住宅建設を自動化するDiamond Age’s Factory in theField™

 

こうした状況下にあって声を上げたのが、今回ご紹介するDiamond Age。同社が展開する住宅建設サービスDiamond Age’s Factory in theField™は、3D印刷技術とロボット工学技術を使用する事によって、建設における多くの過程を自動化し、工期を大幅に短縮することを目標として開発されています。

画像引用元:https://www.diamondage3d.com/

Diamond Age’s Factory in theField™がどの様な仕組みなのかというと、壁面を生成する事のできる3Dプリンターと、26種類の特殊なアタッチメントが装着可能なロボットアームが取り付けられた骨組みをサイトに置く事で、住宅を建設する事ができます。

画像引用元:https://www.diamondage3d.com/

試験段階であるため詳細な作業工程などは不明ですが、大まかな流れは、3Dプリンターで住宅の外内壁をコンクリート建設し、その後にロボットアームで3Dスキャンやカット、塗装までを一貫して手がけていきます。。

他社でも3Dプリンターを使った建設事例はいくつもありますが、その中の多くは3Dプリントする箇所が限定的であったり、工場で作成したパーツを現地で組むというスタイルを撮っています。対して同社のサービスは、建設作業行程のほぼ全てを自動化し、かつ現地で完結させることができるというものになっています。

そして先程もご紹介させていただいたように、これらのサービスが実装された際には、人的労力を55%削減し、一世帯住宅の建設工期を9カ月から30日に短縮できるとのことです。

3Dプリンター住宅事情

画像引用元:darts.co.jp/ 世界初の3Dプリンター賃貸住宅

建設業界における労働力不足や住宅不足は世界的にも深刻な問題となっており、多くの国で3Dプリント技術を応用した住宅建設技術の活用が進められています。加えて、3Dプリントで建設した住宅は材料の無駄が出ず安価に建設できる事から、環境面やコストパフォーマンスの観点からも、大きな注目を集めています。

実際にドバイでは、2030年までに3Dプリンティング技術を使用して建物の25%を建設することを目標としたドバイ政府の3Dプリンティング政策が打ち出されていたり、今年4月にはオランダで世界初の3Dプリンター住宅の賃貸住宅が登場するなど、世界的に3Dプリント住宅の普及が始まっています。日本では建築基準法などの関係で、導入はまだ先となりそうですが、導入は必然的なのではないでしょうか。

まとめ

今回は住宅建設を自動化するDiamond Ageをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

同社のサービスは3Dプリント技術だけではなく、ロボット工学を組み合わせることで住宅建設における多くの過程を自動化できるので、労働力不足の解決だけではなく、建設作業の大幅な効率化にもつながる事がわかりました。

同社のサービスは構想段階ではありますが、多くの資金調達にも成功しているので、近い将来の実現が期待されます。

そして、今回ご紹介したDiamond Age以外にも、当メディアではICOBranch Technologなどの3Dプリンター建設企業についても取り上げておりますので、ぜひチェックして見て下さい。