- 建設コラボレーションソリューション市場は、プロジェクトの複雑化とデジタル化の加速を背景に急成長している
- Digsのコラボレーションソリューションは、建設企業とオーナー間での情報管理・活用を一元化
- 手戻り、遅延、保険対応といった業界課題を解消し、生産性向上とコスト削減に大きく貢献している
はじめに
画像引用元:Digs公式ホームページ
建設プロジェクトは年々複雑化し、関係者も多様化しています。現場・オフィス・協力会社・施主が常に最新情報を共有しながら進めなければ、手戻りや予算超過、スケジュール遅延がすぐに発生してしまいます。このような環境において、リアルタイムで情報を共有し、正確に意思決定できるコラボレーションソリューションの重要性はこれまでになく高まっています。
特にクラウド型のコラボレーションソリューションは、いつでもどこからでも図面や資料にアクセスでき、関係者が同じ情報を元に判断できる点で大きな価値を持ちます。現場でスマートフォンから進捗を確認したり、その場で図面の更新を共有したりできる仕組みは、建設企業にとって生産性向上の鍵となっています。また、プロジェクト管理や書類共有、安全規制への対応を効率化したいというニーズも追い風となり、建設業界での導入は急速に進んでいます。建設コラボレーションソリューションの市場規模は2024年時点で85億ドルであったところ、2033年までに175億ドルへと、年平均成長率(CAGR)7.5%で成長がみこまれています(Data Horizzon Research 2025) 。
この流れの中で登場したのが、建設業界に特化したコラボレーションソリューションのDigs(ディグス)です。いったいどのような企業なのでしょうか。詳しくみていきましょう。
Digsとは?
Digsは、建設業界向けにAIを活用したコラボレーションプラットフォームを提供している企業で、オレゴン州ポートランド近郊に本社を構えています。創業以来、全米およびカナダの建設企業に採用され、住宅建設のデジタル化を加速させる存在として注目されています。
同社は2025年11月に500万ドル(約7億8,400万円)の追加資金調達を発表し、シリーズA前の累計調達額は約2000万ドル(約31億3,000万円)となりました。今回のラウンドはSPLY Capitalが主導し、既存投資家のOregon Venture Fund、Fuse Capital、Flying Fish Venturesが続投、さらに顧客であるLanthorne Homesも出資しています。この調達により、SPLY CapitalのTyler Williams氏が取締役会に参加することになりました。
建設業界は、設計図の非効率な運用、関係者間の情報断絶、建設後の保証業務の煩雑さなど、多くの課題を抱えています。特に、効率化やコスト削減、顧客体験の改善は、建設企業各社にとって喫緊の経営課題です。
Digsはこうした課題をAIで解決します。図面から自動で3Dモデルやフォトリアルなレンダリングを生成し、建設チームや住宅所有者からの質問に即時回答する機能を備えています。また、建設前のコラボレーションやマークアップ、図面管理から、引き渡し後の3Dデジタルツインと保証管理までを一元化し、プロセス全体をデジタル化します。DigsCareというAI活用の保証管理ソリューションも開始し、コスト削減と顧客体験の向上に寄与しています。
CEOのRyan Fink氏は、Digsを「住宅版CarFax(米国の自動車履歴情報サービス)」Homefaxと表現し、住宅の価値や改善履歴を蓄積する新しい住宅所有体験を目指しています。すでにプラットフォームには約1万棟が登録され、120億ドル超の建設案件を扱う建設企業も参加しており、業界内での存在感を高めています。
Digsのソリューション
画像引用元:Digs公式ホームページ
Digsのソリューションは、ファイル管理から設計、引き渡し後の保証対応まで、住宅建設プロセス全体を一貫してデジタル化し、建設企業の効率と顧客体験を大きく向上させます。まず「DigsCloud」では、Dropboxと連携したAI搭載のファイル管理基盤を提供し、図面・仕様書・写真などの資料を安全に保管し、高度な検索で瞬時に必要な情報にアクセスできます。AskDigsというAIチャットを使えば、質問を投げかけるだけで関連資料を即座に提示でき、情報探索にかかる時間を大幅に削減します。QRコードリンクや電子署名にも対応しており、現場でのアクセスや承認作業もスムーズです。
「DigsCanvas」は、事前設計とコラボレーションを強化するプラットフォームとして機能します。標準的なPDF図面からAIが2D・3Dのデジタルツインを自動生成し、変更点やコメントを一元管理できます。マークアップ、図面の寸法計測、スケジュール管理などがすべて最新状態のまま共有され、チーム全体の“単一の情報源”として活用できます。視覚的に分かりやすいインターフェースにより、施主との認識相違やコミュニケーションロスを防ぐことができます。
さらに「DigsCare」は、引き渡し後のアフターケアと保証対応を近代化するためのソリューションです。施主には自宅のデジタル版を一度で手渡すことができ、AI搭載のホームオーナーポータルが質問に自動回答します。不具合が出た場合も、施主がデジタル平面図にピンを打つだけで位置情報や写真が共有され、迅速に状況を把握できます。保証依頼が一元的に管理されるため、散らばった連絡に悩まされることなく、スピーディでストレスのないアフターサポートが可能になります。
このようにDigsは、建設企業が抱える手戻り、情報散在、コミュニケーション不足といった課題を根本から解消し、プロジェクト全体をよりスマートに進めるための包括的なデジタル基盤を提供します。
Digsの活用事例
画像引用元:Digs公式ホームページ
Digsは、規模拡大に伴って複雑化する住宅建設プロジェクトの管理を大幅に効率化するツールとして、多くの建設企業に活用されています。特にJD Powell Construction、Cascade West Development、Longo Custom Buildersといった成長著しい建設企業は、Digsを導入することで「情報の一元管理」と「現場とオフィスの連携強化」を実現し、業務負荷の増大を抑えながら高品質な顧客体験を維持しています。
JD Powell Constructionは年間50件以上の案件を同時進行する中で、現場からの問い合わせや分散したファイル管理が大きな負担となっていました。Digsを導入することで、図面、仕様、コミュニケーションを単一のワークスペースに集約し、現場スタッフが必要な情報に即アクセスできる環境を構築しました。その結果、無駄なやり取りが減り、スケジュール遵守と品質維持が容易になっています。
年間100棟以上を手がけるCascade West Developmentは、高い施工量を維持しながら個別対応の質を下げないことが課題でした。Digsは、各種プラン、アップデート、施主の選択情報を「一元化された情報源」として管理できるため、営業担当、現場監督、ベンダー、施主が常に同じ情報を共有できます。これにより、規模が大きくなっても混乱を招かず、安定した顧客体験を提供できる体制が整いました。
Longo Custom Buildersは、カスタム住宅特有の「高いパーソナライゼーション」と「丁寧な顧客対応」を保ちながら成長するためにDigsを活用しています。初期の設計打合せから引き渡しまで、視覚的なプランニングツールやリアルタイム更新、専用の住宅所有者ポータルを提供することで、施主は常に安心してプロジェクトを進められます。複雑なやりとりもDigs上で整理され、長期的な信頼関係構築につながっています。
これらの事例が示すように、Digsは規模拡大によって発生しがちな混乱を抑え、プロジェクト全体を一元管理しながら、現場・オフィス・施主の三者がスムーズに連携できる環境を提供します。どれだけ案件数が増えても、安定した品質と顧客体験を実現できることが、Digsの大きな価値となっています。
まとめ
画像引用元:Digs公式ホームページ
いかがでしたか?今回は、建設業界のデジタル化を支えるコラボレーションソリューションと、その中でも注目を集めるDigsについてご紹介しました。ファイル管理から設計、引き渡し後の保証対応までを一元化するDigsは、建設企業が抱える情報管理の課題を解決するプラットフォームです。AIとクラウドを活用した先進的な仕組みにより、今後さらに多くの現場で活用が広がることが予想されます。Digsの今後の展開がますます注目されています。





