財務・工程管理の自動化とAI業績予測で収益を改善!建設業向けCPMプラットフォームのBriq

画像引用元:Briq公式ホームページ
海外事例
  • 建設業界の業績管理は煩雑で予測が難しい
  • Briqは建設業界向けのCPM(業績管理)プラットフォームを提供している
  • Briqのプラットフォームは、財務・工程管理の自動化とAI業績予測を通じて建設事業者の収益を改善する

はじめに

画像引用元:Briq公式Twitter

建設業界の業績管理は煩雑で予測が難しいとされています。その背景には、一つの建設プロジェクトに対して複数の事業者が施工に関わり、各事業者ごとに支払いの方法やタイミングが異なるということや、工期の遅れ、建設資材価格の変化等により原価の正確な補足が難しいといった建設業界ならではの理由があります。

特にCovid-19の感染拡大に伴い、資材の輸出入は大打撃を受けています。例えば材木価格は前年度に比べて平均188%の上昇となっており*、建設事業者は利益を守るためにより厳しい原価管理を必要としています。

建設事業者が正確な財務・工程管理を行い、収益改善に資する業績予測を立てるためには、業務自体を自動化し、データを活用した業績予測を実施することが必要です。今回ご紹介するBriq(ブリック)は、財務・工程管理の自動化とAI業績予測を組み合わせたCPM(業績管理)プラットフォームを提供しています。一体どのような企業なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

注)Fortune “Lumber prices are up a staggering 188%—when will the wood shortage end?

建設業向け業績管理プラットフォームを提供するBriqとは?

Briq(ブリック)は2018年にアメリカ合衆国カリフォルニア州にて創業された、建設事業者向けのCPM(業績管理)プラットフォームを提供している企業です。

共同創業者のBassem Hamdy(バセム ハムディ)氏は、建設プロジェクト管理ソフトウェアを開発運営するProcore(プロコア)の管理職出身で、建設業界向けのITプラットフォーム分野を得意とする連続起業家です。なお、Procoreは2021年5月に時価総額8000億円超えで上場を果たしています。

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Briqは2021年5月に同社としては4回目の資金調達を実施しており、これまでの調達総額は4,600万ドル(50.9億円)に達しています。シリーズBとなる今回の資金調達を率いたのは、急成長株のソフトウェア企業を中心に投資を行う、Tiger Global Management(タイガー グローバル マネジメント)です。同ファンドはユニコーン企業への積極的な投資で知られ、投資件数はソフトバンクGやテンセントを抑えて堂々の1位となっています。

Briqも急成長株の企業の一つで、2020年1月から2021年1月までの年間経常収支(ARR)成長率は200%、従業員数は35人から100人へと大幅に増加しています。

Briqの急成長の背景には、プロジェクトのコストやビジネスの収益性を予測することが難しいという、建設業界特有の理由があります。例えばある建設プロジェクトの各工程に関わる施工事業者は垂直統合されておらず、複数の施工事業者が工事を請負って参画することになります。そのため、契約関係が複雑に交わされ、全体のコストを把握することが難しくなるのです。建設プロジェクトの多くは予算を超過することとなり、その超過の程度は平均して予算額の28%*にものぼるとされています。

こうした予算超過を抑制し正確な予算管理を行うことで、建設事業者は収益性を改善する余地がありました。そこで、BriqのCPM(業績管理)プラットフォームが役立っているのです。

*Propeller調べ

Briqの提供する2つのサービス

提供しているサービスは大きく2種類に分けられます。1つ目のサービスはCPM(業績管理)プラットフォームで、2つ目のサービスは、請求書や支払いを管理する “Briq Cash”(ブリック キャッシュ)です。Briq Cashは2021年4月から提供開始されています。

両サービスともSaaS(サース)型のソフトウェアとして設計されており、導入や保守管理にかかるコストが低いことが特徴です。

財務・工程管理を自動化し、AIが業績を予測するCPM(業績管理)プラットフォーム

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BriqのCPM(業績管理)プラットフォームは、① 建設プロジェクトの財務・工程管理の自動化、②これらのデータを元にAI(人工知能)が業績を予測する機能、という2つの機能を備えています。

多くの建設事業者は、プロジェクトの工程や財務をスプレッドシートと呼ばれるPC上の帳簿で管理しています。ところがスプレッドシート上での手入力では入力ミスや関数ミスが不可避的に生じ、結果として損失を生んでいます。例えばプロジェクトマネージャーがスプレッドシートを複製し、財務担当者に共有するというワークフローの場合、データを修正した際にプロジェクトマネージャーが改めて最新版を共有するという二度手間が発生したり、複数のバージョンが残ってしまうといった危険が生じます。

そこでBriqは建設現場のプロジェクトマネージャーから財務担当者、取引先の建設事業者がデータを一元化して管理することができるプラットフォームを開発しました。

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BriqのCPM(業績管理)プラットフォームでは、建設現場のマネージャーが記録したプロジェクトの進捗状況や、財務管理者が整理した業績予測がリアルタイムで同期されます。プラットフォームのUI(ユーザーインターフェイス)は一見普通のスプレッドシートのように見えますが、プロジェクト進捗に関するデータや財務データは、関数やAIによる予測機能によって、さらに活用しやすいデータへと変換されるように構造化されています。

建設事業者は建設プロジェクトのいかなるタイミングでも、本プラットフォームにより事業の財務状況をスナップショットのようにリアルタイムで切り取って把握することができるので、将来の意思決定に役立てることができるのです。

請求書発行から支払いまでを自動化するBriq Cash(ブリック キャッシュ)

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Briq Cash(ブリック キャッシュ)は① 請求書の発行や支払いの自動化、② 建設資材や建設工具等の購入やレンタルに利用できるリワード(ポイント)機能、という2つの機能を備えています。

Briqでは先述のCPM(業績管理)プラットフォームの中で建設プロジェクトごとの支払いや請求の金額や期日を管理することができますが、これに加えてBriq Cashは請求書発行や支払いに関する業務を自動化することで、財務担当者のコストを削減することができます。

例えば中規模の建設事業者のキャッシュフローを想像してみましょう。毎月、複数のプロジェクトが同時並行で進んでおり、数十人の従業員が建設資材や工具を必要に応じて購入したり、レンタルを行っています。こうした決済情報を事後的に把握しようとすると、財務担当者は従業員が購入した物品の領収証を集めたり、精算のために計算を行わなければなりません。

Briq Cashでは、従業員の決済情報をリアルタイムで記録し、精算や財務への反映も自動化することができ、上記の手間を大幅に削減することができるのです。

本サービスにはデビットカードや従業員の支払いカードの発行機能も付与されており、従業員が建設資材や工具等を購入した際にも財務管理にすぐに反映できるだけでなく、購入価格に応じたポイント還元といった特典もあります。

まとめ

Briqは建設業者が「計画から支払いまで」を1つのプラットフォームで行えるようにすることにより、建設プロジェクトの予算超過という課題を解決することを目指しています。また長期的には、「10年以内に建設業におけるお金のワークフローの80%をBriqで管理する」という野心的なミッションを掲げています。

現在Briqは北米の建設事業者を中心にサービスを提供しているということですが、今後どのように展開していくのでしょうか。今後の動きが注目されます。