たった60秒で見積り完了!オンライン住宅保険のhippoとは?

画像引用元:https://www.hippo.com/
海外事例
  • 保険とテクノロジーをかけ合わせた、インシュアテック市場が急成長している
  • hippoは先進的な取り組みを評価され、2019年にユニコーン企業に仲間入り
  • 最先端のAIやIOT技術を活用したオンラインベースの住宅保険を展開

はじめに

画像引用元:https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/insurtech-market

昨今、保険業界ではInsurance(保険)とTechnology(テクノロジー)をかけ合わせた

「InsurTech」(インシュアテック)に関する取り組みが急速に増加。実際にInsurTech市場は世界的に急成長を遂げており、市場調査およびコンサルティング会社であるGrand View Research(グランドビューリサーチ)の調査によると、世界のInsureTech市場規模は2020年には約27.2億ドル(約2998億円)と評価され、2021年から2028年にかけては48.8%の複合年間成長率(CAGR)で拡大すると予想されています。

今回はオンラインで住宅・家財保険を提供するアメリカのスタートアップhippo(ヒッポ)についてご紹介します。

*参考Grand View Research

オンライン住宅保険のhippoとは?

画像引用元:https://www.hippo.com/

hippoは2015年にアメリカ サンフランシスコに設立され、2017年よりオンラインベースの住宅保険の提供を行なっているスタートアップ企業です。創設以来、順調にシェアを広げている同社は、現在ではアメリカ国内37の州でサービスを展開しています。

共同創設者兼CEOのAssafWand(アサフワンド)氏は、住宅保険の仕組みが非効率的なものであると同時に、アメリカ国内において住宅所有者の約6割が住宅保険に加入していないという事実にビジネスチャンスを見出し、同社の設立に至りました。

同社は2019年には評価額が10億ドル(約1,065億円)以上に達したことで、ユニコーン企業への仲間入りも果たしています。そして、先進的な取り組みを買われ、これまでに8つの投資ラウンドで​​、三井住友海上保険株式会社やFelicis Ventures(フェリシスベンチャーズ)、Comcast Ventures(コムキャストベンチャーズ)などの大企業から、合計約7億900万ドル(約777億8,387万)の資金調達に成功。

また、2021年3月には特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて米国株式市場への上場を発表しており、評価額は50億ドル(約5400億円)と見込まれています。

それでは、こうして注目を集めるhippoが提供する住宅保険とは一体どのようなものなのか、早速見ていきましょう。

hippoの住宅保険サービスの特徴とは?

画像引用元:https://www.hippo.com/

1.正確かつスピーディーなオンライン見積り

hippoが展開するオンライン住宅保険サービス最大の特徴に、独自のデータベースやAI技術を活用した正確かつスピーディーな見積りが挙げられます。従来の住宅保険は見積りを出すために、建物の構造や状態などの複数の情報を代理店へ提出する必要があり、非常に面倒なものでした。そして、代理店に必要情報を提出した後も、審査や相談は代理店職員によって行われるため、見積りの結果が出るまでには一定の時間を要する事も。

しかし、同社が展開する住宅保険サービスでは、住所・住居タイプ(一軒家かマンションか)・同居人の有無・住居の建立年の4つの情報をオンライン上で入力するだけで、AIが公共機関の建物記録や衛星画像、自社のデータベースなどを元に自動で見積りを算出します。その間、約60秒。加えて、保険に適用される割引を確認するためのいくつかの質問に回答すると、最終的な見積りと支払い詳細が提示され、4分以内にオンラインで契約を完了する事ができます。

このように、保険に関する見積りや手続きがスピーディーかつ正確に自動化されることによって作業が大幅に効率化すると共に、運用コストを抑えられることから保険料の引き下げにもつながります。実際に同社の保険料は、従来のアメリカにおける住宅保険料の平均に比べて、最大25パーセント程安価であるとのこと。

2.幅広い補償範囲

画像引用元:https://www.hippo.com/

 hippoは通常の住宅保険にみられる動産補償、住居補償、賠償責任補償などの標準的な補償以外に、幅広い補償プランを展開。その中でも特徴的な補償が以下の4つです。

1.コンピュータとホームオフィスの補償 – ホームオフィス機器やコンピュータに対する補償額が他社の4倍。

2.電化製品と電子機器の補償 – 電化製品全般や空調設備などの修理・交換。

3.ライフライン保険-ガス・水道・下水道などのライフラインの消耗や事故があった場合、修理や再構築にかかる費用をカバー。

4.フル・リプレイスメント・コスト – 標準的な保険では、交換や修理にかかる費用を、減価償却後の価値などで補償しますが、同補償では新品の価値で補償がされる。

生活において使用頻度が多い電子機器や電化製品などが補償対象となっているだけではなく、補償内容も手厚いので、同社の住宅保険は他社に比べて非常に魅力的であると言えます。また、今回ご紹介した補償プラン以外にも多数の補償プランが用意されており、多くの顧客のニーズを満たす充実した住宅保険となっています。

3.独自のスマートホームシステムと割引プラン

画像引用元:https://www.hippo.com/

hippoは​​SimpliSafe、Kangaroo、NotionといったIoTツールやサービスを展開している企業とパートナーシップを結んでおり、保険契約者に対して無料でIoTスターターキット(センサーやブリッジなど)を配布。センサーを水周りや窓付近・玄関ドアなどに設置することによって、利用者は水漏れや室温変化、ドアの閉め忘れなどが感知された際に通知を受け取る事ができます。

また、より高度なセキュリティーを希望の利用者には月額約15ドル(約1600円)でSimpliSafe Professional Monitoringというプランも用意されています。同プランにはカメラ・水センサー・侵入センサー・煙探知機などの複数のスマートホームデバイスが組み込まれており、24時間365日プロが監視する緊急通報サービスを受ける事が可能です。

この様なスマートホームシステムを導入することによって、事故の発生率を大幅に下げる事が可能に。さらに利用者には保険料の割引が適用され、平均してスターターキットで年間64ドル(約7000円)、SimpliSafe Professional Monitoringで年間91ドル(約9900円)が割引されます。

4.充実したサポート体制

画像引用元:https://www.hippo.com/

hippoの住宅保険の特徴の1つに、24時間体制の充実したサポートも挙げられます。同社のカスタマーサポートは24時間体制で受付を行なっており、急な住宅設備トラブルや保険の相談がいつでも可能。

同社のサポートサービスの中でも特徴的であるのが、スマートフォンなどのテレビ通話機能を使用してのトラブルシューティング。利用者は住宅設備に故障が発生してしまった場合やメンテナンスが必要になった場合に、ホームケアエキスパートとテレビ通話をしながら、修理や点検を行う事ができます。同サービスによって、利用者が余計な修理代を支払わずに済むと同時に、修理者が現地に赴く手間を省く事ができます。そして、専門家による修理が必要となった場合には、サポートスタッフが地域の専門サービスプロバイダーを紹介してくれます。

また、このようなリモートでの修理サービスは以前にご紹介したHomeXなども展開しており、今後広く普及していく事が期待されています。

画像引用元:https://www.hippo.com/

また、hippoは2019年にSheltr(シェルター)というホームメンテナンスを専業とするスタートアップを買収しており、同年から保険契約者を対象に年2回の住宅設備メンテナンスサービスを行なっています。このメンテナンスサービスでは、煙感知器の電池交換・空調設備のフィルター交換・乾燥機の清掃などのホームメンテナンスを行うだけではなく、パイプの水漏れなどの潜在的な問題を発見し、高額な修理になる前に対処します。そして毎回の点検後、利用者には点検内容の詳細が記載された「ホームウェルネスサマリー」が渡されるので、そのデータを元に、利用者は新たなプランへの加入の思索や修理の依頼を行う事ができます。

まとめ

今回はオンライン住宅保険サービスを展開するhippoをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?同社のサービスは、現在アメリカ国内の限られた地域のみで展開されていますが、今後は世界中に進出していく事が予想されます。そして、サービス内容も多岐に及んでいく事が期待されるので、今後の同社の動向やインシュアテック市場に注目です。