- 急成長を遂げるインド建設業界では、建築資材を扱うBtoB-ECが注目されている
- Infra.Marketは建設業界向けのBtoB-ECを展開
- アプリ一つで高品質かつ低価格な建築資材の発注が可能
はじめに
インドの建設市場は2025年までに世界第3位の規模になると予測されています。実際に2017年のインド国内市場における外国直接投資(FDI)の受け入れ先として、建設部門は第2位となっており、大きな期待が世界から寄せられている事がわかります。
この様に、大きな成長が期待されているインド建設業界ですが、その中でも急増しているのが、建設資材を扱うBtoB-EC。代表的なインドのBtoB-EC企業にはInfra.Market(インフラマーケット)・Moglix(モグリックス)・OfBusiness(オフビジネス)が挙げられ、3社共にユニコーン企業(評価額10億ドル以上)の仲間入りを果たしています。
今回は上記3社の中でも、建設資材販売に特化したサービスを展開しているInfra.Marketについてご紹介していきたいと思います。
Infra.Marketとは?
Infra.Marketは2016年にインドにて、 Aaditya Sharda(アーディータ・シャルダ)氏とSouvik Sengupta(ソヴィク・セングプ)氏によって設立された、ムンバイを拠点とする会社です。同社は建設資材を扱うBtoB-ECを展開しており、インド国内外の400社以上の大口顧客と3,000社以上の小規模小売業者に資材を販売。海外市場での売上は総売り上げの15%を占めており、ドバイ、シンガポール、ヨルダンなどを中心に事業を展開しています。
CEOであるSouvik Sengupta氏は、鉄鋼資材が比較的安易に調達できるのに対して、それ以外の材料調達には手間がかかる事に課題を感じたことから同社を設立。
設立5年目の同社は、2020年度の売上高が351億ルピー(約535億円)でしたが、21年度には1243億ルピー(約1894億9000万円)の売上高を達成しており、売上高3.5倍という飛躍的な成長を遂げています。また、2021年にはRDCコンクリート社や建機レンタルのEquiphunt(絵クイファント)社の買収も行なっており、事業拡大が期待されています。
同社は2021年2月にAccel(アクセル)やTiger Global Management(タイガーグローバルマネージメント)が主導するシリーズCラウンドで、1億ドル(約113億3,900万)の資金調達に成功し、ユニコーン企業へ仲間入りを果たしています。加えて、同社は40億ドル(約4579億8000万円)を超える評価額で、2億ドル(約228億8000万円)の新ラウンドを調整中とのこと。そして、同社はこれまでに、6ヶ月サイクルという驚異的なスピードで計9ラウンドの資金調達を行い、総額2億9900万ドル(約339億円)の調達に成功。
それでは、こうして注目を集めるInfra.Marketが展開するサービスとは一体どのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
急成長を遂げるインド建設市場
急成長を遂げているインド建設業界ですが、急成長の要因として考えられるのが、2014年からインド政府によって進められている”Make In India”(メイク・イン・インディア)政策です。Make In Indiaはインドの高い経済成長と雇用創出のために、従来依存していたサービス業から製造業へと成長の軸足をシフトさせ、海外からの投資促進による製造業の発展を目的としています。
Make In Indiaでは製造業の成長を促す様々な政策が打ち出されていますが、中でも注目したいのが、電子商取引のマーケットプレイスモデルにおけるFDI上限の100%引き上げ。この政策からわかる事は、今回ご紹介させていただくInfra.MarketのようなBtoB-ECを展開する企業がインド建設市場の成長の要として期待されているという事です。
Infra.MarketのECプラットフォーム
Infra.Marketが展開するサービスは建設事業者向けとなっており、専用のアプリから建設資材の発注が可能。従来は資材の発注先が多岐に渡る上に、電話や紙などのアナログな方法での発注が多く、手間と時間が掛かっていました。ですが、同サービスでは1つのプラットフホーム上でまとめて資材を発注する事ができます。また、即時見積もりや商品のリアルタイム追跡もアプリ上で行う事ができます。
また、同サービスでは各クライアントに専任のリレーションシップマネージャーが割り当てられるなど、手厚いサポート体制も整えられています。
高品質かつ低価格な製品
同サービスで販売されている商品の25%は、同社の厳しい品質基準をクリアした外部製品の委託販売。いわゆる、マーケットプレイス方式となっています。そして、残りの75%は中小規模の製造業者と提携して作られた高品質な自社製品(Ready MIx Concrete・フライアッシュ・骨材・混和剤・セメント等)。
同社は自社製品の品質を保証するために、外部製造設備にロードセルを追加。さらにより良い原材料を提供し、価格設定のガイダンスを提供できる他の企業との連携を支援。また、同社は事業者と緊密に連携することで、期日通りの納品を徹底しています。
そして、同社の魅力は品質の高さだけではありません。InfraMarketは大口の取引で販売商品の仕入れを行うことによって、低価格での商品提供も実現しています。同社のサービスによって資材調達効率が向上するだけではなく、平均5%〜7%の節約が見込めるとCEOのSharda氏は述べています。
充実した販売サポート
Infra.marketのサービスは買い手だけではなく、売り手にとっても魅力的なサービスです。というのも、同社は大手建設資材メーカーだけではなく、多数の中小メーカーとも提携をしており、それらの企業への支援も積極的に行なっています。具体的な支援内容としては、品質を担保するための製造設備へのセンサーの取り付けや、商品を売れやすくするためのアドバイスが挙げられます。
加えて、中小メーカーは同サービスの売り手として名を連ねる事によって、これまでに取引機会のなかった大口顧客にも販売を行えるようになり、国内外での事業拡大を期待する事ができます。
まとめ
今回は建設業界向けのBtoB-ECを展開するInfra.Marketをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?急成長を遂げているインド建設業界において、同社は順調に業績を上げており、更なる事業拡大も目指しているようなので、今後の動向には注目です。
そして、今回ご紹介したInfra.Market以外にも、当メディアでは米国のSupplyHogなどの企業についても取り上げておりますので、ぜひチェックして見て下さい。