日本におけるConTech(建設テック)関連のニュース 2020年7-9月分をまとめております。
2020年9月
建設職人324万人「就労管理構想」の高すぎる壁(Link)
2019年4月に国土交通省主導で建設業界に導入されたITシステム「建設キャリアアップシステム(CCUS)」が、厳しい運営状況に陥っている。CCUSは、建設技能労働者324万人全員に身分証となるカードを保有させ、さまざまな工事現場を渡り歩いて働く労働者の就労履歴を記録し管理するためのITシステム。5年で普及率100%を目指ししていたが、現在7%止まり。さらに事業者登録数も4万社と、建設許可業者数47万社の8%程度となっている。
グーグル兄弟会社が描く「次世代道路」の青写真(Link)
グーグルの親会社である米アルファベット傘下の米Sidewalk Labsは、カナダの主要都市トロントの再開発事業に道路ごとに特定の移動モードを優先させ、制限速度を変えるアイディアや道路空間の境界を柔軟に変化させるアイディアの実現のために5000万ドル(約53億円)もの資金を投入する方針だ。
コロナ時代が追い風…月額オフィス家具のサブスクライフが30億円調達(Link)
オフィス向けを中心とした月額制の家具サブスクリプションを展開するsubsclifeは9月14日、YJキャピタルをリードインベスターとする約30億円の資金調達の実施を公表した。同社のサブスクサービスへの問い合わせは、ここのところサテライトオフィスを開くための問い合わせのほか、縮小移転も含めた「移転」目的の企業などが増えているという。また、大手企業からの問い合わせも4月以降、明らかに増加した。
建設テック カオスマップ 2020年9月版が公開(Link)
建設・土木の生産支援サービス「Photoruction」を開発・運営するフォトラクションは、国内で展開されている建設業向けITサービスをまとめた建設テックのカオスマップ 2020年9月版を発表した。
ランドデータバンクは建設業界向けの立て替え・決済サービスを開始(Link)
建設業界は完工後に工事代金が入金されるため、着工時に必要な資材調達費や人件費の支払いに伴う資金繰りの課題を常に抱える。建設会社は工事受注後に資材会社に支払いをするが、その費用をLDBが立て替える。立て替え額は最大1億円で、手数料は1%、期間は最長10カ月。
インテリア写真SNS「RoomClip」が約10億円を調達、EC事業など新規立ち上げ(Link)
住まいと暮らしの実例写真共有サービス「RoomClip」は、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資および融資により総額約10億円の資⾦調達を実施したと発表した。同社の累計資⾦調達額は22億円超となった。今回の資⾦調達により、住⽣活産業関連企業が、よりRoomClipユーザーとのつながりと、RoomClip上でのビジネス機会を築くためのクラウドサービスの開発、膨⼤な実例写真やユーザーの声など、RoomClip資産を活⽤した、新たな購買体験を提供するEC事業⽴ち上げを行う
2020年8月
拡大するスマートメーター活用ビジネス(Link)
デンマークのKamstrup社は、北米市場に向けてノイズパターンから漏水を検知する、最新の水道用スマートメーターソリューション「flowIQ 2200」の提供を開始した。これまで困難だった漏水のノイズパターンを分析して正確にスポットを特定し、ユーザーや水道事業者に早期に通知することを可能とする。
建設業界もDX 有力VCが注目する2つの技術(Link)
労働集約型で作業者の経験やノウハウによる部分が大きく、アナログな印象がある建設業界。だがこの分野でもソフトウエアやロボットを活用し生産性を高めようとする建設テックスタートアップが増え、少しずつデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む。プロジェクト管理とドローン(小型無人機)活用の2つの技術分野に投資マネーが集まる。
米ロケット・カンパニーズがIPO ネットで住宅ローン(Link)
住宅ローン専門の米ロケット・カンパニーズ(Rocket companys)は8/6、新規株式公開(IPO)を実施し、18億ドル(約1900億円)を調達した。1985年設立の同社は「ロケット・モーゲージ」のブランドでネット経由で住宅ローンを提供し、デジタル技術を活用し、住宅ローンの申し込みから設定までを短期間で済ませる利便性が受け急成長していた。市場シェアは8%と5年前の5%から伸び、米銀大手ウェルズ・ファーゴやJPモルガン・チェースを抜いて業界トップとなっている。
2020年7月
天候の予報と関連情報を提供するClimaCellが24億円超を調達、建築や運送での的確な判断を支援する基礎研究と戦略部門を強化(Link)
天候の予測と天候関連の情報を提供しているClimaCellは2300万ドル(約24億2000万円)を調達したことを発表した。本調達によって総調達額は1億ドル(約105億円)を超えた。気象予報士でなくても事業者が事業に対するスマートな意思決定を支援するサービスを提供している。例えば建設企業の場合(ClimaCellリリース)は、嵐のときに現場の安全を確保し、風のためにいつクレーンの運転をやめるべきかを判断できる。
オフィスビルの賃料をAIで正確に判定するestieが2.5億円調達、ゼンリンとの提携で都内20万件の入居企業情報も取得(Link)
オフィスビルを借りたい法人、管理事業者や仲介事業者などを対象にした不動産データプラットフォームを開発・運営するestieは2億5000万円の資金調達を明らかにした。オフィスビルの賃料はネット上に集約されておらず、これまでは地域の不動産会社などに問い合わせて賃料などの情報を入手するのが一般的だった。同社は各地域のオフィスビルのおおよその賃料を調べられるほか、全国7万棟の基礎物件情報、2万件の空室情報、東京23区のビル入居テナント情報なども収集・解析。50社を超える不動産デベロッパーや管理会社、仲介会社の独自情報を集約してデータの精度をより高め、市場予測や業務プロセスの改善を進める。
建築プロジェクト管理「ANDPAD」、GCPなどから40億円調達(Link)
建設現場の効率化を手掛ける「ANDPAD」を運営するアンドパッドは20日、グロービス・キャピタル・パートナーズをリード投資家に、既存投資家のDNX VenturesやSalesforce Ventures、BEENEXTを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は約40億円で、さらに今年9月までに総額で60億円の資金調達を目指すとしている。
西松建設と長崎大、水力発電所トンネル点検用の“飛行船ロボ”を開発(Link)
国内の水力発電所水路トンネルの老朽化が進行しており、地震や長期運用の影響もあり、トンネル表面にひび割れなどが発生し、耐久性が低下して崩落の危険性が高まっている。また、これまでの点検方法は、人が断水時の水路トンネル内部に入って調べていたが、点検距離の長さと崩落危険の問題でロボットに置き換えることが求められていた。トンネルマンボウは、マルチロータ型飛行船ロボットで、サイズは全長3.7メートル、直径1.2メートル。水路トンネルを自律飛行して、水路トンネル壁面全周を撮影して点検する。実証実験では最長6キロの水路トンネル点検が可能となっている。