- 調達(Procurement)業務ソフトウェア市場は2024年時点では81.7億ドルで、2029年までに132.7億ドルへ、年平均にして10.2%で成長
- 2018年にオレゴン州ポートランドに創業されたSourceは、建設資材のB2Bマーケットプレイスを展開
- Sourceは世界最大のFF&E(家具・備品・什器)カタログを保有し、全米の建設設計・デザイナー事業者のパートナーとしての地位を築きつつある
はじめに
建設、製造、販売などの業界では、資材や備品の購買を担当する、調達(Procurement)業務が重要な役割を果たしています。この業務の最大の課題は、必要なモノを必要なタイミングで必要な分だけ調達すること。近年ではこの調達業務に特化したオンラインマーケットプレイスや、業務効率化のためのソフトウェアが発達しています。全世界における調達業務ソフトウェア市場は2024年時点では81.7億ドル(約1兆2300億円)で、2029年までに132.7億ドル(約2兆円)へ、年平均にして10.2%で成長していくことが予測されています(注)。
そこで今回ご紹介するのは、家具・備品・什器(Furniture, Fixture, Equipment: 以下FF&E)に特化した企業間取引(B2B)専用オンラインマーケットプレイスSource(ソース)です。一体どのような企業なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
Sourceとは
Sourceは2018年にアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにて創業された企業で、FF&Eに特化したB2Bオンラインマーケットプレイスを展開しています。なお法人名はkrowdsourced, LLC(クラウドソース)です。このプラットフォームでは調達に加え、サンプル取得、ルックブック作成、建築士やデザイナーとのコラボレート、予算編成やプロジェクト管理などが可能です。
同社は2023年7月にシリーズAで850万ドル(約12.8億円)を調達し、累計調達額を1220万ドル(約17.7億円)としました。シリーズAを率いるのは、カリフォルニア州に拠点を置きコーマス業界での投資に強みを持つM13で、その他にオレゴン州のローカルVCの
Rogue Venture Partners、Oregon Venture Fund、ワシントンDCに拠点を置くRevolution’s Rise of the Rest Seed Fund、Founders’ Co-opが参画しました。それより前のラウンドでは住宅テック特化VCのMetaPropが参画しています。
買収や業務提携も多数実施しています。2022年6月には、炊事場やシャワールーム関連のリノベーション専門のRemodelmate(リモデレート)を金額非公開で買収。2022年7月には、建設・インテリアデザイナー向けの調達を担うWildwood House(ワイルドウッドハウス)の調達部門を金額非公開で買収。2022年8月には、FF&E調達業界のリーディングカンパニー、Hatch Purchasing Corporation(ハッチパーチェイシングコーポレーション)を金額非公開で買収。2022年9月には、Contech Magでもご紹介した建材サンプルのマーケットプレイスMaterial Bank(マテリアルバンク)との業務提携を発表。2023年4月には、建設・デザイナー向けに商品のオンラインライブラリーを構築するOrganized Corporation(オーガナイズドコーポレーション)を金額非公開で買収しました。
Sourceは現在、ホスピタリティ業界(ホテル最大手のヒルトンやマリオットを含む)、住宅、テナント領域に注力しており、これまでの2年間で流通額の成長率平均が700%、現在の流通額は年間4000万ドル(約60.1億円)、累計流通額は60億ドル(約9000億円)となっています。
Sourceの調達プラットフォーム
FF&Eは購買後に長期間継続して使用されるものであり、購買計画は事業計画と整合するように設計される必要があります。Sourceの調達プラットフォームは、購買のオンラインマーケットプレイスであるだけでなく、ルックブック作成、建築士やデザイナーとのコラボレーション、予算編成やプロジェクト管理を可能とします。
Sourceはすでに世界最大のFF&Eカタログを持ち、デザイナーは、Sourceの製品カタログにある250,000点もの製品を確認してルックブックを作成することができます。AIを製品リコメンドエンジンに統合しており、自動化されたデザイン・アシスタントを立ち上げる予定です。
プロジェクト管理機能を使えば、建築士やデザイナー、購買担当者が協働して活用できるプラットフォームになります。このプラットフォームではコラボレーターの追加や削除、権限の設定、プロジェクトの期限設定や文書管理ができます。購買部門の担当者は予算を設定し、発注書の作成、リードタイムの管理ができます。サプライヤーはバイヤーと連絡を取り、在庫状況、価格、リードタイムを更新し、取引を進めることができます。文書作成機能も充実。Sourceではこれまで1週間かかっていた1000行以上の発注書を数分で完成させることができます。
まとめ
いかがでしたか?今回はFF&Eに特化したB2Bオンラインマーケットプレイスを展開するSourceをご紹介しました。Sourceは世界最大のFF&Eカタログを保有し、直近2年では流通額ベースで年平均700%の成長を達成しています。
全米には65,000のデザイナー・設計事務所があり、今日Sourceはその重要なパートナーとしての地位を固めつつあります。同社は今後どのように展開していくのでしょうか。今後の動向が注目されます。